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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 21 『ラストショット』
しおりを挟む両者マッチポイントを迎えた最終局面。
熱い試合内容に観客たちも大盛り上がりである。
その一方で選手たちは、激しい攻防の繰り返しによる疲労のため、皆肩で息をしている。
陣地の中を駆け回りながら幾度となく魔法を放つのだから、そうなるのは当然だろう。
「いや~、初めて観たけど……これはかなりアツいね!」
レティがかなり興奮した様子で言う。
この娘、武神杯の時も大興奮で応援していたらしいので、スポーツ観戦が好きなんだろうね。
(前世でもスポーツ観戦好きだったの?)
(うん。サッカーとか野球は良く見てたよ。スタジアムにもたまに行ってた)
へぇ……何だか意外。
いや、レティは頭の中が鉄道で一杯だと思ったからスポーツ観戦が結びつかなくて……
まぁそれは偏見だと思うけど、意外に思ったのは事実だ。
(カティアは?)
(私はサッカーやってたけど、観るのはそんなに…)
(お?サッカーやってたんだ)
(うん。県大会決勝までは行ったことあるんだよ)
(へえ~、凄いじゃない!!)
ぶいっ!
(でも、その試合中に怪我しちゃってね~。そのまま引退)
(ありゃ、残念だね)
そして、最後の戦いが始まる。
これまで幾度となく繰り返された攻防だが、やはり疲れによるものだろうか、時折ボールを外したりするなど、みんな魔法の精度が落ちてきている。
それでも……一所懸命戦う姿は美しいと思う。
「みんながんばれ~っ!!」
「最後までしっかりねっ!!」
クラスメイトたちからも大きな声援が飛ぶ。
その声に後押しされるように、最後の力を振り絞る選手たち。
どっちのチームも報われてほしいとは思うが、勝者となるのは1チームだけ。
その決着のときは近づいてる。
ふと気が付けば……最初のメリエルちゃんのゴールのときと同じように、今度はシフィルが足を止めて集中力を高めている。
ここに来て何か大技を使うつもりだね…!
パァンッ!!
トール君の雷撃魔法によって、ボールはコート中央付近、その上空へと大きく舞い上がった!!
「シフィルさん!頼みます!!」
「ええ!![風神招来]!!!」
シフィルの身体がボールを追って大空へと舞い上がる!!
武神杯の私との戦いで見せた彼女の奥の手だ。
杖の影響のためか、その飛翔スピードは遅くなってるが、ボールの横にピタリと着けて……
「行けっ!![陣風龍・改]!!!」
シフィルが突き出した右腕から渦巻く緑光が……小型の竜巻が放たれる!!
あの技は本来シフィル本人が竜巻の中心になって突撃する技だった。
『改』はその点が改善されたと言うことか。
しかし、いつの間に編み出したんだろう……
……あの時これを使われてたら、私は勝てなかったかもしれないね。
そして、小型の竜巻はボールを巻き込んで、そのままゴールに向かう!!
しかし、メリエルちゃんたちもそれを黙って見ている訳ではない。
「[雷矢]!!」
「[石弾]!!」
二人の魔法が竜巻に襲いかかるが……!
バシュッ!!
「「弾かれたっ!?」」
二人の魔法は無情にも弾かれ、そして……!
バスッ!!
ゴールネットに突き刺さる!!
ピピィーーッ!!!
「ゴールッ!!!ゲームセット!!!」
ついに、激闘の決着が付くのだった!!
「うう~……負けた……やっぱりシフィル強いよ」
「メリエルも強かったよ。殆ど互角だったもの。私もとっておきをここで出すことになるとは思わなかったわ」
試合を終えて、メリエルちゃんは悔しがりつつもシフィルを讃える。
そして、シフィルも。
「いつの間にあんな技編み出したの?」
「カティアに負けてから、どうにかして改良出来ないか試行錯誤してたのよ。まだ完全じゃないんだけど……ふふ、ホントは隠しておきたかったんだけど」
「次の武神杯に向けて?」
「そう。でも、こっちも負けたくはないからね」
負けず嫌いだねぇ……まぁ、私もだけど。
ともかく、苦戦しながらも我がクラスは初戦を突破する事が出来たね。
まだまだ快進撃は続く!
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