【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
552 / 683
第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪

第十四幕 2 『聖域』

しおりを挟む

 私に『賢者リュートの足跡を見せる』……メリアさんにそう言われた私は、彼女に連れられてウィラー王城を後にする。
 途中、テオに事情を話して一緒に来てもらうことにした。
 客室付きのメイドさんに、メリエルちゃんへの伝言も頼んである。






「それで……どちらに向かうんですか?」

「取り敢えずは街を出ましょう。西門の方ね」

 そう言って私達を先導して街路を行くメリアさん。

 森都の西門から伸びるのは『青の街道』だ。
 デルフィア王国の王都デルフィニアを起点に海沿いを通り、ウィラー王国に入ると大森林に入って森都の北門に至る。
 そして、森都の西門から再び大森林を抜けて海沿いに出て……遥かアダレットまで至る長大な街道である。
 その行程のほとんどが海沿いを通るため、そう呼ばれている。


 西門から街の外に出ると、深い森の中を広い街道が真っ直ぐ伸びていた。
 天を覆う枝葉の間から柔らかな木漏れ日が降り注ぐ美しい光景に目を瞠る。
 これが本来の街道の姿なんだ。



「街道はすっかり元通りだな。人の往来も」

「そうだね、結果としては早期解決できて良かったよ」

「あなた達が力を貸してくれたお陰ね。元女王……の影として、お礼を言うわ」

 もう何度目かになるメリアさんのお礼を聞く。
 伝説上の人物が目の前にいることに、改めて不思議な気分になった。


「さて、暫くはこのまま街道を進んで……そうね、だいたい一刻くらいかしら」

 約2時間の旅程か。
 それほど遠い場所ではないんだね。

 暫くは木々の爽やかな香りを楽しみながら、私達は街道を進んでいくのだった。





















「ここよ」

「ここ……?」

 メリアさんの言った通り、およそ一刻程の後に辿り着いた場所……
 一見して今まで通ってきた街道の光景と何ら変わった様子は見られない。

 しかし、ほんの微かに……魔力の揺らぎを感じる?


「何か隠蔽されている……?」

「あら、流石ね。そう、ここには秘密の入口が隠されているのよ。こっちよ」

 そう言ってメリアさんは街道から外れ、木々の間に分け入っていく。
 この辺りは少し薄暗く、下生えも深くはないので歩くのにそれほど苦労しない。

 そして、街道が見えなくなるくらいまで森の中に入っていくと……


「凄い大きさだな。森都の精霊樹、とまではいかないが……」

 テオが見上げながら言うように、森の中に分け入った私たちの目の前に現れたのは、巨大な樹。
 それこそ森都の精霊樹を思わせるようなものだった。

「こんな巨大な樹が……街道から見えても良さそうだったけど?……あ!そうか!あそこで感じた魔力はこれを隠蔽していたのか」

「その通り。ウィラー大森林の各地にはこういった大樹がいくつかあってね。『王樹』へと至るの目印になってるのよ」

 王樹……?
 と聞くと、かつてのアクサレナダンジョンでの嫌な記憶が呼び起こされるけど。


「ちょっと待っててね」

 メリアさんはそう言って大樹に近付いていき、手を添えて……

『緑の王たる我が意に応え、ここに道を示せ』

 これは……神代語?


 すると、大樹に添えた彼女の手を起点にして波紋のように緑の光が広がっていく。


「おぉ……」

「凄い……」

 テオと私の口から感嘆の声が漏れた。

 光が収まったとき……メリアさんが手を触れていたところには、まるで門のように大きなうろ・・が空いていた。

 中を覗き込むと、奥の方に外のものらしき光が見える……これが、『王樹』に至る道?


「さあ、行きましょう」


 メリアさんを先頭に中に入り、光に向かって進む。

 やがて出口から外へ……眩しさに少しだけ目を細める。
 そして、目の前に広がった光景は。


「これが……『王樹』」

「綺麗……」


 先程の大樹が霞むくらいの壮大な景色が飛び込んできた。

 鮮やかに花々が彩る広々とした草原の真ん中に、天に届かんとばかりにそびえ立つ巨木。
 森都の精霊樹よりも更に大きく見えるその樹こそが『王樹』なのだろう。


「ようこそウィラーの聖域へ。『緑の王』メリアドール=ウィラーの影たる私は、賢者リュートの後継者であるあなたを歓迎いたします」


 感激に浸っている私に向かい、メリアさんは厳かに告げるのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...