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第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪
第十四幕 17 『熱狂』
しおりを挟む「うふふふふふ………」
……シフィルがヤバい。
魔導杖に頬ずりしながら不気味な笑い声を上げている。
完全にヤバい人になっていた。
「シフィル、しっかりしなさい。メリア様がドン引きしてるわよ」
ステラが嗜めるが、なかなか戻ってこない。
「うふふ……見て、この美しさ。シンプルな形状ながら表面に刻まれた複雑精緻な紋様。これ一つ一つが魔法陣になってるのよ。凄いわ……それに包含する魔力の凄まじさと言ったら。何もかも吹き飛ばす暴風と優しいそよ風が同居する矛盾を抱えながらそれでいて……」
アカン。
訳のわからないことを呟き始めた。
「……リーゼみたいだな。いつもこうなのか?」
「普段はこんなキャラじゃないけど。どうも凄い武器とか魔導具に目が無いみたいで……」
前も競技用魔導杖を手にしてキャラ崩壊してた。
まあ、そんな彼女は置いておいて……
私達は今、聖域をあとにして森都へ帰る道中である。
メリアさんは聖域に残ると思ったんだけど、リナ姉さんが地上にいる間は一緒に行動するとの事。
「森都に戻ったら……取り敢えずエメリナ神殿かな?」
「賢者様に聞いたお話を、神様方に共有するのですわね」
「う~ん……今行って大丈夫かなぁ?」
?
メリエルちゃんが複雑そうな表情でそんな事を言うが……
「どうしたの?」
「こっちに来る前に神殿の様子を見てきたんだけど……ちょっと騒がしかったんだよね。多分、エメリナ様が……」
……それは間違いなくリナ姉さんが原因だろうね。
う~ん……どうしようか。
早く話はしておいた方が良いとは思うけど……
状況次第だね。
夕刻前に私達は森都へと戻ってきた。
そして、王城に戻る前にエメリナ神殿に向ったのだが……
「……凄い人集りだね」
「私が見たときよりも多いよ」
神殿入り口から広場まで人で溢れかえっている。
この人混みをかき分けて中に入るのは……ちょっと無理かもしれない。
「中に入るのは厳しそうですわね……」
「そうだね……出直すか。でも、集まってる理由は知りたいね。……すみませ~ん!」
私は近くに居た年配の女性に声をかけた。
彼女は……いや、その場の誰もが興奮冷めやらぬ様子で神殿の様子を窺っていた。
「あの~、この騒ぎは一体何でしょうか?」
「何だ、知らないのかい?エメリナ様がいらっしゃってるんだよ!みんな一目お姿を見ようと集まってきたんだ!」
あぁ、やっぱりか。
変装していったはずなんだけど……バレたのか、敢えてなのか。
なお、私達も一応変装はしているので、今のところ身バレはしていない。
「エメリナ様がご降臨なさった時に奇跡を起こしてくださっただろう?あの時私の持病も治ってねぇ……お近くに行くのは無理でも、せめて感謝の言葉を届けたいと思ってね」
彼女がそう言うと、近くに居た別の女性も言う。
「私は旦那が国軍の兵士なんだけど……大怪我を負って命を落としかけたところを救っていただいたの!」
「俺の息子も…………」
「私も……」
それを皮切りに、周囲の人達から次々にリナ姉さんへの感謝の言葉が上がり、ちょっとした騒ぎになってしまった。
やはり神の奇跡と言うのは凄いものだと改めて実感した。
だけど、やっぱり神殿に入るのは難しそうだ。
落ち着いてから改めて来る事にしよう。
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