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第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪
第十四幕 30 『大戦の始まり』
しおりを挟むその報せがもたらされたのは、私がイスパルに帰国してから数日後の事であった。
日に日に緊張感が高まっていると言う話は聞いていたので、それは時間の問題ではあったが……ついにこの時が来たか、というのが率直な感想だった。
しかし悠長に構えてる余裕などない。
グラナによるカルヴァード侵攻。
大きな戦いが……もしかしたら、この世界の命運を左右するかもしれない、大きな戦いの幕が上がるのだ。
「では、此度の戦いではカティア様のご助力は頂けない……と?」
「ええ、私とテオは少数の精鋭を選抜した上で黒神教の本拠地を叩きます」
今、私は緊急に招集された軍議に参加し、自身の行動方針を説明している。
事ここに至っては、迷ってる暇などない。
今しがた宣言した通り、急ぎ『黒き神の神殿』へと向かわなければならない。
しかし、私の[絶唱]のスキルを期待していた上層部の面々は戸惑いを隠せない。
まぁ、それも当然だろう。
「皆様の懸念は当然のものと思います。しかし、ただ侵略に対処するだけでは根本解決にはなりません。侵略の実質的な指導者……黒神教を打倒しなければ、同じことが繰り返されるだけです。これは父様にも了承いただいてます」
私の説明に、無言で父様が頷く。
実はこの数日の間で、父様や母様……それに、父さんたちエーデルワイスの皆にも、【俺】の前世と賢者リュートの因縁についての全てを話している。
テオやルシェーラ達に話をしたときと同じように、怖いと思う気持ちはあったけど……きっと受け入れてくれると言う確信もあった。
そして、それはその通りで……何だか重荷が降ろせたような気がしたんだ。
「私は、すべての決着を付けるため、『黒き神の神殿』へ向かうのです。……しかし、グラナ侵攻に対応しなければならないのも、もちろん承知してます」
「今はまだ、敵方も先遣隊程度で小競り合いが生じてるに過ぎないが……大きな戦いに発展するのも時間の問題だろう。我々イスパルはグラナと国境を接しないが、これはグラナ対カルヴァード大陸連合の戦いだ。我々も十分な戦力を派遣しなければならぬ」
古の盟約もあるが、つい先日のサミットでも協力体制を取ることを確認したばかりである。
父様が言う通り、カルヴァード大陸の諸国連合として対処しなければならない。
既にリュシアンさんを総大将とした派遣軍が、防衛のため前線に向かってるはずだ。
「カティアの[絶唱]の力は確かに惜しいが……だが、今回はそれ以上の助力が得られるやも知れぬ」
「カティア様の[絶唱]よりも……?そんなものがあるのですか?」
その疑問には私が答える。
「ウィラーの戦いで、エメリナ様がご降臨されたのはご存知でしょう?」
「え、ええ………まさか!?」
「そうです。私が『黒き神の神殿』に向かう間、カルヴァードは神々が護ってくださる……そのように約束して下さいました」
その話に、議場のそこかしこでどよめきが起きる。
驚き、戸惑い……それはやがて歓喜となっていく。
「何と……神々が再び我々の前にお姿を……」
既にリナ姉さんと言う実績があるからね。
この場で疑いを持つ人はいなかった。
私はこれから『黒き神の神殿』へ向うメンバーを選別し、リル姉さんに言われた通りエメリール神殿総本山から神界へ向う。
そして、アスティカントで大転移魔法を使い……全ての決着を付けに行くのだ。
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