【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
595 / 683
第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪

第十四幕 エピローグ 『繋がる運命の輪』

しおりを挟む

 荒涼たる大地を征く私達一行。
 先頭を歩くのは、案内役となったロランさん。

 その道すがら、彼は自身の事情を話し始めた。


「……あの、300年前の決戦の時。俺は魔王に致命的な一撃を貰って気を失ってしまったんだが……」

 そのシーンは夢で見た。

 あの戦いの後の彼の生死は分からなかったけど……生き延びて、こうして私達の目の前に現れるとは思いもよらなかった。


「次に目が覚めたとき……もう既に、俺は魔族となっていたんだ。場所も別の何処かに移動させられたらしく……『軍師』の野郎が、俺の身に何が起きたのか教えてくれた」

 『軍師』……フォルトゥナの話によれば、私を『黒き神の神殿』に招こうとしているらしいが……
 300年前より存在し、魔王の信頼も厚いという。

 一体何者なのか?
 そして、何を企んでいるのか?
 ここ最近の黒神教絡みの事件は、全て彼の筋書き通りなのか?


「奴が言うには……リシィを喰らおうとした『黒き魂』は、既のところでテオフィール様のシギルの力で祓われたんだが、それは完全じゃなかったらしい。その残滓が生き残ろうとして今度は手近にあった俺を喰らおうとしたんだ。だが……力の大部分を失っていたため、完全に食らうことは出来なかったようだな」

「それじゃあ……私と同じように、人間としての自我を保つことが出来た……という事?」

「そうだ。俺とお前は、同じ『黒き魂』に喰われかけ、共に人間のまま魔族になった。……言ってみれば、魂の絆で結ばれてるって訳だな!」

「っ!?」

 ロランさんの言いように、シェラさんがまた顔を赤くする。
 ものは言いようだねぇ……


「あなた、そんな性格だったかしら?……ま、まぁ、こうしてここに居る理由は分かったわ。それで?何で黒神教なんかに力を貸していたの?」

 少し怒ったように、シェラさんが問う。
 自分達が戦っていた相手に与してきた事が納得いかないのだろう。
 

「お前の手によって魔王が封印された事も、軍師から聞いたんだ。そして、いつかその封印が解けるであろう事も」

「……」

「封印が解けた時、きっとお前は再び魔王と対峙する。そう思った俺は、完全に魔族になったフリをして……いつの日かお前とともに戦う日が来ると信じ、黒神教の一員として内部から情報を探ろうとしたんだ」

「……あ!?もしかして……アグレアス侯爵に情報を流していたり?エフィ……エフィメラ皇女を逃したのも……」

 グラナ皇家とアグレアス侯爵家の繋がり。
 もしかして、そこに関与してたのが彼なのでは……?


「それとなくな。あまり大っぴらには動けなかったから、大した事は出来なかったが……リシィの仲間だって事で、グラナ皇家の信頼はある程度得られたんだ。……あるいは、軍師の奴は全部お見通しだったかもしれんがな」


 なるほど……これで一つ謎が解けたね。
 エフィが無事にイスパルに亡命できたのも、黒神教の幹部に協力者がいたのであれば納得だ。


「それで、それ以来300年間……軍師の奴は色々画策していたようだが、黒神教としては雌伏の時を過ごし、目立った動きは無かったんだが。それが動いたのが20年ほど前の事だ」

 20年前……シェラさんが目を覚ました頃だ。
 その数年後には、グラナによるカルヴァード侵攻が行われている。


「来る『黒き魂』の増大期に合わせて、再び活動を活発化させたって訳だ」

「……15年前の大戦。あれは、何だったんですか?」

 一つ考えられる理由としては……人々を不安に陥れて、負の感情で地脈が【陰】の気を帯びることで、異界の魂を呼び込み易くする。
 これは、かつてウパルパ様に聞いた話からの推測だ。

 だけど、それだけじゃ無い気がしていたんだ。


 私の質問に、ロランさんは眉根を寄せて答える。

「さぁ……な。奴の思惑がどういうものだったのか、よく分からんが。………いや、奴は何か言ってたな」

 と、過去を思い出そうとする素振りを見せる。

 そして、暫しそうした後……彼は言った。









「そうだ、確かこんな事を言ってたな。『イベントの予行演習』だと」

「!!?」 


 イベント……?

 イベントだって!?


 その言いよう……まるで『ゲーム』みたいじゃないか!!

 それじゃあ……『軍師』の正体は……まさか?

 いや、あり得ない!!






 私が、自分が思い至ったその可能性に混乱していた、その時……



 空気が一変するのを感じた!!



「なっ!?なんだ!!?」

「何ですの!?この禍々しい気配は……!!」

「うぅ……気持ち悪いの……」


 突如として、世界が暗転するかのような禍々しい気配があたり一面に満ち溢れたのだ。


「何なの?これは……!!風が淀んでる……?」


「まさか……邪神……?」

「かも知れねぇ……この気配、向う先の方から放たれてるみたいだぜ」


「……行こう!!そして、全ての決着を付けよう!!!」


 そして私達は走り出す。

 禍々しい気配の元……邪神を奉じる『黒き神の神殿』へ……!!



















 次々と明らかになる事実。

 鎖のように繋がった運命の輪。

 その果てに、私は辿り着こうとしている。



 果たして、そこで待ち受けるのは……?


 そして、遥かな太古から続く『黒き魂』や『邪神』との戦いに、全ての決着が付くのか……?



 その運命を切り開く事が出来るのは………私たち次第だ。




ーー 第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪 閉幕 ーー
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...