【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
600 / 683
第十五幕 転生歌姫の最終決戦

第十五幕 3 『神威降臨〜勝利の女神・月の女神・技巧神』

しおりを挟む

ーー デルフィア王国 対グラナ戦線 ーー


 デルフィア王国のグラナ国境付近においても、激しい戦いが繰り広げられていた。

 デルフィア王国軍、及び各国支援軍によって構成される連合軍の総大将……ジークリンデ王女は、刻一刻と変わる戦況を本陣にて確認しながら、次々と伝令を飛ばしていた。

 休まる時間など殆どなかったが、ある程度指示を出し終えて僅かながら息をつく事が出来た。


「……ふぅ。中々厳しい状況だな。本当だったら私も前線に赴いて、直接指揮を執りたいところだが……」

 総大将と言う役割を与えられた以上、迂闊に本陣を離れることなど出来ない事は理解しているが、一人の武人としては忸怩たる思いがあるようだ。


「貴方様は我が軍の大将なのです。ご自重くださいませ」

 副官の……それこそ年若いジークリンデなどよりも、よほど歴戦の将といった雰囲気の壮年男性の言葉に、思わず苦笑が漏れる。

「ふ……私などより、15年前の大戦の勇将である貴殿の方が、大将に相応しいと思うのだがな。私は一介の騎士として戦う方が性に合ってる」

「そんな事は有りませぬぞ。各方面への指示も的確でございました。……陛下の親心もございますれば」

「あ~……父上は過保護すぎると思うよ。まぁ、そうは言っても……戦況によっては私も出るぞ。シギルの力をここで使わずして何とするか」

「……」


 ジークリンデの言葉に、複雑な表情をしながらも副官は否定する事が出来ない。

 魔物を主体としたグラナ軍の攻勢。
 今は何とか均衡を保っている状況だが、少しでも戦力が欲しいのは事実だからだ。




「さて……カティア王女の話では、神々のご助力をいただけるかも知れないとの事だったが……」

「……それは、真の話なのでしょうか?」

「少なくとも、ウィラーでの戦いではエメリナ様がご降臨された。それにカティア王女がそう仰ったんだ。私は信じているよ。それまでは、私達の力で頑張るんだ」

 彼女の言葉には、カティアに対する確かな信頼が込められていた。

「随分と、カティア王女を信頼されてらっしゃるのですな」

「ああ、彼女は素晴らしい女性だよ。テオフィルス殿と婚約してなかったら、私のパートナーになってもらいたかったくらいだ」

「そ、そうですか……」

 どこまで本気なのか、副官は計りかねていたが……彼女の目は、冗談を言っているような雰囲気ではなかった。



















 均衡を保っていた戦況は、少しずつ変わり始めていた。

 やはり、地力で勝る魔物が中心のグラナ軍の力は強大で、徐々に連合軍が押され始めているのだ。

 戦線の各所から厳しい報告が相次ぎ、ジークリンデは難しい判断を迫られていた。

「こうなれば……私のシギルの力で反撃を……」

「姫様、なりませぬ。まだ、時期尚早かと存じます」

「だが、グラーツ殿。このまま押し込まれては、反撃する機会もいずれ失われてしまうぞ」

「ですが……」

 副官……グラーツの言葉も、ジークリンデの言葉も……どちらの意見も正しいように思える。


 ジークリンデのシギルは、個人の戦闘能力のみならず、周辺の兵に対して知覚を共有することで、部隊としての戦力を底上げする事が可能だ。

 しかし、その発動時間には限りがある。
 使い所を見極めて、適切に部隊運用しなければ効果が薄くなってしまうだろう。

 だが、このままズルズルと後退して、いざ反撃という時に兵員が減少していたのでは、やはりシギルの力を十全に発揮することができない。



 そんな、難しい判断を迫られた状況……しかしながら、早急に決断は下さねばならない。

 そして、ジークリンデが決断を口にしようとした時、それは起きた。




 戦場の上空を覆っていた雲の切れ間から光が差し……


『『『神威降臨!!』』』


 何者かの厳かな声が響き渡った……!



「おぉ……ついに、神々がご降臨されるぞ!!」

 いち早く状況を察したジークリンデは、歓喜の声を上げた。


 上空より地上に降り立ったのは……

 デルフィアの守護神でもある、勝利の女神エメリリア。
 月の女神パティエット。
 技巧神オーディマ。


 カルヴァード大陸の誰もが存在を知る、伝説の三神。



「さて、待たせてしまったな。だが、私達が来たからには勝利は揺るぎないぞ」

「ええ。自らの可能性を信じ、望むものを掴み取るのです」

「……ワシはあまり戦闘向きでは無いがのぅ。支援程度はやり遂げてみせよう」



 三神が降り立ったデルフィア戦線……この時を堺に、連合軍は反転攻勢をかける事となる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...