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第十五幕 転生歌姫の最終決戦
第十五幕 36 『明かされる転生の謎』
しおりを挟む「最初に答えを言ってしまえば、私をこの世界に転移させたのは『黒き神』……邪神だ」
「……!!」
……やっぱり、そうだったのか。
聖域のリュートの話を聞いてから、もしかしたら……と、その可能性も考えていた。
異なる世界から転移させるのは、空間神シャハル様の力を持ってしても不可能に近いという事だった。
つまり、琉斗をこの世界に呼び込んだのは、12神を超えた力を持つ者である可能性がある……と。
そんな存在はごく限られる。
遥かな太古にこの星の生命を滅ぼしかけた邪神ならば、それくらいの力を持っているかもしれないと思ったんだ。
だけど……何で琉斗を?という疑問が残る。
その私の疑問を察した琉斗は、さらに続ける。
「なぜ私をこの世界に転移させたのか。もちろんちゃんと理由がある。それを語る前に……君は『超ひも理論』を知ってるだろう?」
?
何を突然……?
「名前と概略くらいなら……」
【俺】の前世の世界で提唱されていた物理学の理論だ。
相対論と量子力学と言う、相反する理論を結びつける万物の理論となる可能性を秘めてる……らしい。
専門に勉強したわけではないから、詳しいことは分からないけど……
何でも、物質の構成要素である素粒子を大きさのない『点』ではなく、大きな次元を持つ紐として考える……だっけ?
「あらゆる物質を構成する最小要素には余剰次元が存在する……というものだな。それで、まぁ……細かい理屈は置いておくが、私の居た世界とこの世界では、その余剰次元の数に違いがあるのだ。世界のポテンシャルの違い、とでも言おうか。そのポテンシャルは、転移前の世界の方が高い……という事になる」
おいおい……随分とスケールが大きな話になって来たね……
「話は戻るが……邪神はその強大な力故に、この世界で実体化するために必要な『器』がこの世界には存在しないんだ」
……つまり。
琉斗がこの世界に呼ばれたのは……
「つまり私は、邪神の依代になるためにこの世界に呼ばれたんだ。最も適合する器としてね……この世界に順応するために身体の構造まで作り変えられて」
邪神の器として呼ばれた?
そんな……
あまりの話の内容に、私は反応することすら出来ずに呆然と佇む。
だが、琉斗はなおも話を続ける。
「結局……この世界に転移してから邪神復活の未来を憂いて行動したのも、思考を誘導された結果だったんだ。そして、この神殿に足を踏み入れたその時から、私は少しずつ邪神の意識に侵食されていった」
「…………」
「それは私の魂をも蝕み、私という存在そのものが邪神へと置き換わっていく……そしていつしか、私の身体は魔族と化し、若々しさを保ち続け寿命も無くなった。邪神が完全に復活するその時まで、長い時を過ごす事になったんだ」
その声は悲しみの色を帯びていた。
それはつまり……
「……今のあなたは、完全に邪神に意識を奪われているようには見えない」
「その通りだ。今の私は矛盾だらけの存在だ。琉斗の意識は邪神の滅びを願い、邪神の意識はこの世界に同胞たちを呼び込んで、自らの世界へと変貌させる事を願っている。その矛盾する思いが複雑に絡み合った存在が私だ」
「それじゃあ、私は一体……」
「君は……邪神に完全に侵食される前に切り離した琉斗の魂の一部。琉斗が未来に希望を託した存在だ。琉斗の魂と同化した邪神を倒しうる存在として。そして同時に……邪神の意識も君を欲している。完全な復活のために、琉斗の魂が完全である必要があるからだ」
だから、私をここに呼んだのか。
邪神を倒しうる希望として。
邪神を復活させるための鍵として。
私もまた、矛盾する存在ということか。
「さて……話はここまでだ。謎は全て解けたかい?」
「……ええ。結局のところ、あなたを倒せば良いって事だよね」
ごちゃごちゃ難しい事を長々と喋ってたけどさ。
要するにそういう事でしょ!!
大体、【俺】の因縁なんて知ったこっちゃないよ。
今の私はカティアなんだから!!
細けぇこたぁいいんだよ!!!
「ははは!!!良いぞ、その意気だ!!!それじゃあ、ラスボス戦と行こうじゃないか!!!」
そう言って、琉斗は魔王から奪い取って弄んでいた『闇』……邪神の力をその身に取り込んだ。
見た目は変らないが……その存在感が圧倒的なものとなる。
さぁ、今度こそ正真正銘の最終決戦だよ!!!
全てに決着を付けるんだ!!!
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