【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
680 / 683
後日談3 学園祭狂詩曲〈ラプソディー〉

モンスター・メイズ(3)

しおりを挟む


 最初のダンジョンエリアを危なげなく突破した一行。
 続く第二のエリアは、鬱蒼と木々が生い茂る森林地帯であった。
 ダンジョンエリアですら、そこが教室の中であるとは到底思えないようなものだったが、それすらまだ序の口だったと思わせるほどの異様な光景である。

 しばし呆然と立ちすくんでいた一行だったが、何とか気を取り直す。
 しかし、ふとカティアは疑問を感じ、フローラに問う。



「たぶん、『緑の支配者プラント・マスター』の力を使ったんだろうけど……ねえフローラさん?これ、学園祭が終わったあとどうするの?後片付けとか」

「…………はて?どうするんですかね?」

「「「…………おい」」」

 カティアの質問にフローラはしばらく考え込んでから明後日の方を見て答えると、一斉にツッコミが入る。


「まあ、メリエルちゃんとリーゼ先生が何とかするんだろうけど……」

「どうかな?あの二人だと後先考えてない可能性も……」

「「う~ん……」」

 きっと何か考えてるだろうという信頼と、しかし暴走したら止まらないという不安。
 相反する思いで唸り声を上げるカティアとレティシアである。


「すみません、私たちは途中から色々と感覚がマヒしてしまって……もはや後戻りはできませんでした。ガエルさんがいたら途中で止めていたかもしれませんね……」

「ガエルくんはメリエルちゃんのストッパーだったのか……」

 寡黙で真面目なガエルは、今ごろは主人であるエフィメラやシェラたちと共にグラナで頑張っているだろうか?
 そんな事がカティアの頭の中を過ったが、取り敢えず時間も限られるので、彼女は攻略に集中するため切り替えることにした。


「とにかく、先に進んでみようと思うんだけど……あそこに向かえば良いのかな?あれってウィラーの王樹がモデルっぽいね」

 その場からでも、取り分け目立って見える巨大な樹を指さしながら、カティアはフローラに聞く。
 流石にウィラー聖域の王樹とは比べものにはならないが、それを連想させる光景ではあった。


「はい、あそこに第三エリアに通じる道があります」

「うん。じゃあ行こうか」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 森林地帯は隠れる場所も多く、現れる魔物も少し強くなって第一エリアよりも難易度は上がったようだが……カティアたちの快進撃は続く。


「ここも何とかなりそうかな?」

「ああ。しかし剣が軽すぎてなかなか慣れないな」

 カイトが普段手にしている聖剣は、彼にとって程々の重量感で良く手に馴染んでいる。
 今持ってる模擬剣では軽すぎて戦い難いのはカティアも同じだ。


「私はこれくらいじゃないと、役に立てないと思います」

「私は魔法が使えないと完全なお荷物だよ。せめて薙刀ならカティアに習ってるから、まだ自衛くらいできそうだけど」

 リディーとレティシア、本職が魔導師の二人はそんな感じだ。


 ともあれ、一行は森林エリアも順調に進んでいくが、制限時間的にはあまり余裕はない。
 残された時間としては40分前後だろうか。

 魔物の襲撃を警戒しながらも、駆け足に近い早歩きで大樹を目指す。





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「ふぅ……着いたね。残り時間もちょうど三分の一くらいかな?」

「ああ、大体そのくらいだろうな」

 やはり危なげなく森林地帯を突破してきたカティアたち一行は、ついに大樹を目前に望む広場に到着した。

 遠目に見えていたその大樹は、霞がかった空まで貫くほどのもの。
 本当に、後片付けはどうするのだろうか……とカティアたちは再び心配になった。


「あ、見て!!樹の根元の方が何か光ってるよ!!」

「ものすごい魔力の波動を感じるな……」


 レティシアが指差した先には大樹の根本に渦巻くような光が見え、リディーが言う通りそこから膨大な魔力が放たれているのが感じられた。

 一行がそこに近づいてみると……


「これ……王都ダンジョンにこんなのあったね。ここから次のエリアに転移するってこと?」

 王都ダンジョン深層の階層には物理的な繋がりがなく、このような光の渦から次の階層に転移したことをカティアは思い出していた。


「はい。[神帰回廊]の派生魔法で、[神帰門]という神代魔法らしいです」

「あぁ……確かシャハル様から教わった空間魔法の知識にあったね。私は使えないけど」

 フローラの解説を聞いて、その事も思い出すカティア。
 やはりメリエルは自重なしということだ。


 そして……


「さて……私が案内できるのはここまでです。最後のエリア、皆さん頑張ってくださいね」

「え?そうなの?……まあ、そういうことなら。ここまで案内してくれてありがとうね」

 そう言って、カティアたちはフローラと別れを告げて光の渦へと飛び込んだ。


 視界がぐにゃりと歪み、重力の感覚が失われ……
 そして一瞬の後、周りの風景が一変した。


 そこはモンスター・メイズの最終エリア。
 果たして何が待ち受けるのか…………!


















「ふははは!!よく来たな、勇者たちよ!!この大魔王メリエルが直々にお前たちの相手をしてやろう!!」

「「「「…………」」」」


 何か現れた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...