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剣聖の娘、裏組織と戦う!
叙任式前
しおりを挟む「叙任式……?」
「はい。何でも……騎士登用試験で優秀な結果をおさめられた方に前倒しで入団して頂くそうです」
朝食を終えたエステルが、今日はこれからどうしようか……と考えていた時、クレハがそんな話をした。
「優秀な成績って……たぶんクレイの事だよね」
「お二人いらっしゃると聞いております」
「じゃあ、あの大っきい人かな?たしか……ギ、ギ……ギリアムさんだっけ?」
『ギ』しか合ってない。
幼馴染の友人になった人の名前くらい、ちゃんと覚えましょう。
エステルが試験会場でざっと見たとき、その二人が突出した力を持っていたので彼女はそのように予想した。
「それで、エステル様もご参観されないか……と、アルド陛下から伝言がございました」
「あ、行く行く!行きます!」
一も二もなくエステルはその話に食いつく。
彼女には後宮の警護の任務がある(と思っている)が、流石に一日中ここにいるのも退屈だと思っていたのだ。
(それに……騎士団本部なら、ついでに稽古もさせてもらえるかも!)
結局……幼馴染の晴れ舞台よりも、彼女にとってはそちらのほうが重要なのかもしれなかった。
一方そのころ。
叙任を受ける当の本人達はと言えば……
「…………」
「おいおい、今からそんな緊張してどうする?全く……図体のわりに案外気が小さいんだな……」
「だってよ……いきなり今日からって言われたってなぁ、心の準備ってもんがまだ出来てねえんだよ」
呆れたように言うクレイの言葉に、ギデオンが反論する。
彼らは今、王城にある王国騎士団本部に向かっているところ。
約束の時間にはまだ早いが、遅刻するわけにはいかない……と、早めに行くことにしたのだ。
「しかし……俺たちを前倒しで入団させてまで、どんな任務をさせるってんだろうな?」
「さあな。その話も今日聞けるんだろ。少なくとも、いきなり他の騎士たちと連携して……なんてことはないんじゃないか?だとすれば……純粋な戦闘要員として期待されてるんだろうな」
「なるほど……じゃあ、あの嬢ちゃんの役割ってぇのは何だろうな?」
「それこそさっぱりだが…………一人軍隊とか最終兵器みたいなやつだからな。騎士団があいつの力を把握してるなら……裏組織の中枢に単騎特攻させて暴れさせるとか、竜の巣に放り込んで暴れさせるとか言われても驚かん」
「いや、いくら何でもそりゃ無ぇだろ……」
ギデオンはそう言うが、クレイの予想はあながち間違ってもいないところが恐ろしい。
「どっちにしろ、嫌な予感しかしないわ……」
『極秘任務!』などと、エステルがはしゃいでいた事を思い出すクレイ。
その時に彼女が言っていた極秘任務とやらは、今回の作戦とは関係ないのだが……
クレイは彼女がこれまで巻き起こしてきた数々のトラブルも思い出して、今回もただではすまないだろう……と、今からゲンナリするのだった。
そうやって、あれこれ話しながら二人が騎士団本部の建物にやって来ると……
「お?お前たち、早いじゃないか。関心関心。」
クレイたちの姿を見て声をかけてきたのは、ちょうど同じタイミングでやって来たディセフだった。
「あ、ディセフさん……おはようございます。今日からよろしくお願いいします」
「よ、よろしくお願いします!」
「ああ、こちらこそよろしく頼む。叙任が終われば俺たちは同じ騎士の仲間……ってことだな」
クレイとギデオンが挨拶をすると、笑顔でディセフは答えた。
「よし、少し早いが……もう準備をしてしまおうか」
そう言って彼はクレイたちを騎士団本部に招き入れた。
「今回は略式と言っても陛下から直々に騎士階級を賜るのは変わらないからな。服装もそれなりの格式が必要だ」
ディセフが案内したのは、着替えをする場所のようだ。
彼がいった通り、叙任式にあたっては二人とも騎士の礼装に着替えることになっている。
ディセフは既にその礼装を纏っており、二人にも自身と似たような服を手渡す。
黒を基調とし、所々に金糸で刺繍や縁取りがされた、いかにも由緒正しき服装といった感じだ。
ギデオンは感慨深げに、クレイも年相応に嬉しそうな笑顔を浮かべてそれを手にする。
「おぉ、似合うじゃないかギデオン。立派な騎士様って感じだぞ」
「お前もな」
私服から着替えた二人は、まさしく騎士といった雰囲気である。
このままパレードにでも参加するかのようだ。
そしてその後は……まだ時間が余っているので、先にディセフが騎士団本部の施設案内をしてくれた。
やがて、二人の叙任式が執り行われる時間となるのなった。
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