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食事会は冴木の望み通り和やかに過ぎた。
「さて。」
お姉さま方のデザートのお皿が空いてきたのを見計らって冴木が口火を切った。
「早速ですが僕から先に皆様にお伝えしたいのは、現在恋人はいませんが片思いしている相手がおり、彼女と付き合う為に色々としている最中だということと、もし僕の恋路を妨害するおつもりでしたらどんな手を使ってでも除去するつもりだという事です。」
【勇者・冴木はボウゲンを吐いた。】
「どんな手を使ってでも、ですか?」
総務部の3年ぐらい先輩の方がおっしゃった。
冴木は笑顔を浮かべたがブリザードが吹くような冷たい笑みだった。
こんな冴木は見たことがない。
「えぇ、ご存知でしょう?先日退職なさった秘書課の主任。」
冴木が言ったとたん部屋の温度が下がった。
秘書課の主任てご実家の都合で退職されたと聞いてるけど違うのだろうか?
「わかったわ。
貴方みたいな人に惚れられた方、かわいそうね。」
企画課のお姉さまが苦笑する。
「いえ、彼女は鈍感でとても手を焼いています。」
「餌付けには成功していると聞いてますけど?」
受付の、メンバーの中ではかわいい系な人が言う。
あれ?
ひょっとして、冴木の好きな人が誰かを知っている感じ?
「食事に誘えば付いてきますけど、彼女は僕のことを意識していないんですよ。
だからと言って邪魔はしないでくださいね。」
「バカバカしい。
私、帰るわ。」
1人が立ち上がりバッグを取って部屋を出る。
「あたしも…。」
「冴木くん、頑張ってね。」
そうして次々と帰って行って。
最後に残ったのは冴木とあたし。
「坂上、お疲れ。」
「冴木も。」
あたしもバッグを取った。
「飯、食いに行くか?」
「んー。
辞めとく。」
冴木に好きな人がいるのならあまり長い時間一緒にいない方がいいだろうし。
「どうした?
いつもなら仔犬みたいに付いてくるのに。」
さっきのような冷たい笑みは浮かんでいない。
「何ソレ。
まるであたしが餌付けされてるみたいじゃない。」
餌付け?
さっきもそんな話でてなかったっけ?
「坂上、今頃気がついたの?」
からかうような口調で、でもその目は笑ってない。
「な、何?」
冴木は体をあたしに寄せてきた。
「坂上にずっと餌付けしてたんだけど?俺。」
「ち、近いよっ。」
さっき言ってた餌付けに成功ってあたしの事?!
「近いっていうのはこういうのを言うんだよ。」
顔を寄せてきた冴木からガードするようにあたしは間にバッグを持った。
ちゅっ。
「ひゃあっ!」
冴木はあたしの耳にキスをした。
「ねぇ、いつになったらただの同期から昇格させてくれるの?」
「無理っ。
絶対無理だからっ。」
「そんな事言うなら俺の家に連れ帰って、教えてあげるよ?俺がどれだけ坂上の事想ってるか。」
「そんなのいらないっ。」
冴木、怖い。
どんどん耳元で囁く声が低くなっていく。
「いらないだなんて言う悪い子にはお仕置きが必要だな。」
「ひっ!」
息が首筋にかかる。
冴木の髪があたしの顎をくすぐる。
息のかかった首筋に温かいモノが押し付けられた。
キス、されてる。
「や、やめてっ。」
吸いついたところを舐められ、更にきつく吸われるのがわかった。
そんなにされたら跡が残る。
「いやぁ…。
冴木、やだよ、こんなの。
やめて…。」
唇を離した冴木は満足そうにあたしを見下ろした。
「うん、綺麗についた。」
ドアをノックする音がして店員が顔を出した。
「タクシー来ましたよ。」
「さて。」
お姉さま方のデザートのお皿が空いてきたのを見計らって冴木が口火を切った。
「早速ですが僕から先に皆様にお伝えしたいのは、現在恋人はいませんが片思いしている相手がおり、彼女と付き合う為に色々としている最中だということと、もし僕の恋路を妨害するおつもりでしたらどんな手を使ってでも除去するつもりだという事です。」
【勇者・冴木はボウゲンを吐いた。】
「どんな手を使ってでも、ですか?」
総務部の3年ぐらい先輩の方がおっしゃった。
冴木は笑顔を浮かべたがブリザードが吹くような冷たい笑みだった。
こんな冴木は見たことがない。
「えぇ、ご存知でしょう?先日退職なさった秘書課の主任。」
冴木が言ったとたん部屋の温度が下がった。
秘書課の主任てご実家の都合で退職されたと聞いてるけど違うのだろうか?
「わかったわ。
貴方みたいな人に惚れられた方、かわいそうね。」
企画課のお姉さまが苦笑する。
「いえ、彼女は鈍感でとても手を焼いています。」
「餌付けには成功していると聞いてますけど?」
受付の、メンバーの中ではかわいい系な人が言う。
あれ?
ひょっとして、冴木の好きな人が誰かを知っている感じ?
「食事に誘えば付いてきますけど、彼女は僕のことを意識していないんですよ。
だからと言って邪魔はしないでくださいね。」
「バカバカしい。
私、帰るわ。」
1人が立ち上がりバッグを取って部屋を出る。
「あたしも…。」
「冴木くん、頑張ってね。」
そうして次々と帰って行って。
最後に残ったのは冴木とあたし。
「坂上、お疲れ。」
「冴木も。」
あたしもバッグを取った。
「飯、食いに行くか?」
「んー。
辞めとく。」
冴木に好きな人がいるのならあまり長い時間一緒にいない方がいいだろうし。
「どうした?
いつもなら仔犬みたいに付いてくるのに。」
さっきのような冷たい笑みは浮かんでいない。
「何ソレ。
まるであたしが餌付けされてるみたいじゃない。」
餌付け?
さっきもそんな話でてなかったっけ?
「坂上、今頃気がついたの?」
からかうような口調で、でもその目は笑ってない。
「な、何?」
冴木は体をあたしに寄せてきた。
「坂上にずっと餌付けしてたんだけど?俺。」
「ち、近いよっ。」
さっき言ってた餌付けに成功ってあたしの事?!
「近いっていうのはこういうのを言うんだよ。」
顔を寄せてきた冴木からガードするようにあたしは間にバッグを持った。
ちゅっ。
「ひゃあっ!」
冴木はあたしの耳にキスをした。
「ねぇ、いつになったらただの同期から昇格させてくれるの?」
「無理っ。
絶対無理だからっ。」
「そんな事言うなら俺の家に連れ帰って、教えてあげるよ?俺がどれだけ坂上の事想ってるか。」
「そんなのいらないっ。」
冴木、怖い。
どんどん耳元で囁く声が低くなっていく。
「いらないだなんて言う悪い子にはお仕置きが必要だな。」
「ひっ!」
息が首筋にかかる。
冴木の髪があたしの顎をくすぐる。
息のかかった首筋に温かいモノが押し付けられた。
キス、されてる。
「や、やめてっ。」
吸いついたところを舐められ、更にきつく吸われるのがわかった。
そんなにされたら跡が残る。
「いやぁ…。
冴木、やだよ、こんなの。
やめて…。」
唇を離した冴木は満足そうにあたしを見下ろした。
「うん、綺麗についた。」
ドアをノックする音がして店員が顔を出した。
「タクシー来ましたよ。」
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