カウントダウン

梨花

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12月7日

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頭、イタイ。
目がさめると私の固いベッドではなかった。
横を見ると男の寝顔があった。
あたし、寝てしまったのか…。
「っ…。」
「美雪、どこにもいくな。」
あたしの体に絡まった腕に力が入る。
「藤田先生…。」
「みゆ…。」
寝言だった。
昨日は飲み過ぎて藤田の家にお持ち帰りされたようだ。
あの日みたいに。
あの日と違うのは、もう何度も相手の体に触れ合った仲だということだ。
しかし。
いきなり結婚て何考えているんだ、この男は。
それも川島先生のいる前で、だ。
そっと藤田の腕を外してベッドから降りた。
「さむっ。」
時計を見るとまだ5時だ。
今日は日勤だから家に帰らないと。
今回は抱かれていないみたい。
下着姿だけど、全裸じゃないからそうなのだろうと判断する。
椅子に丁寧に畳まれていたニットとジーンズを身につける。
コートを着てマフラーをつけてバッグを持った。
「ありがとう。さようなら。」
ベッドの寝顔にそう告げてあたしは部屋を出た。

こういう時オートロックの部屋は便利だ。
出て行く時に鍵がなくてもいい。
コンビニでサンドイッチとカップスープを買って家に戻る。
エアコンのスイッチを入れてからシャワーを浴びてお湯を沸かし、その間に髪を乾かした。
朝食を摂って痛み止めを飲む。
まだ少し頭は痛いけど仕事前には治るだろう。


「おはようございます。」
いつもの通り出勤する。
いつもと変わらない朝だ。

申し送りが終わって病室をまわる。
「篠崎さん、藤田先生と付き合っているって本当ですか?」
カーテンをタッセルでとめていると鶴見さんが言ってきた。
「付き合ってないですよ?」
あたしは即答した。
「全く、誰ですか、そんな嘘を鶴見さんに言ったの。」
「藤田先生です。」
「あの男はっ!」
「『篠崎看護師は俺の女だから手を出すな。』と言われました。」
「藤田とは同期ですし、御飯を食べに行ったりもしますけどね?アレに恋愛感情はありませんよ。」
「じゃあ藤田の片思いですね。」
「そういうことになりますかねー?」
藤田の気持ちなんか知らない、とは言えないけど。
なんで鶴見さんに釘さすような事を言うかな。
「今度、デートしませんか。」
「へ?」
血圧計を腕に巻いてるとそんなことを言われた。
「少しぐらいなら外出許可も取れるんじゃないかと思いますし。
こんな形でなく、ちゃんと話がしてみたいんです。」
「お見合い、しましょうか。」
あたしはにこりと笑った。
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