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12月17日
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店内はかなり混み合っていた。
「どなたかとお約束ですか?」
店員に声をかけられてあたしは頷く。
「川島さんと…。」
「お客様のお名前を頂戴してもよろしいですか?」
「篠崎といいます。」
「かしこまりました。ご案内します。」
チェックが厳しい感じ。
案内されたのは窓際の正方形のテーブル。
窓を背にして川島先生が、その横には藤田が。
だけど2人ともキチンとスーツを着ていてあたしは何も言えなかった。
「来てくれてありがとう、篠崎さん。」
川島先生に言われてあたしはハッとした。
「こちらこそ誘っていただいてありがとうございます。
同級生の城田くんです。」
「初めてまして、城田といいます。」
「2人とも立ってないで。」
川島先生に言われてあたしたちはスツールに腰を下ろす。
城田くんが藤田の向かいに座ったのであたしは川島先生の向かい、藤田と城田くんに挟まれる感じだ。
「僕は篠崎さんの勤める病院の内科医で川島です。こっちは同僚で外科医の藤田。」
「初めまして、よろしく。」
店員がおしぼりを持ってやってくる。
「俺はジントニックを。」
何にしようかな。
「篠崎はカシグレ?」
藤田が言って、あたしは頷いた。
「かしこまりました。」
店員が去り、城田くんが。
「藤田先生は篠崎とよく飲みに行くんですか?」
「だいたい3人で飲んでるよ。」
「そうなの?」
あたしに確認するのか…。
「うん。だからさっき言ったじゃない、飲み友達だって。」
「そんなこと言ったって相手はドクターだろ?」
「城田くんは、篠崎のナイトなんだな。
すごく心配性。」
くすくすと藤田は笑った。
「な、ナイトとかそういうのじゃないですけどっ…。」
城田くんは言われて真っ赤になる。
「川島先生っ、あたし藤田先生がいるなんて聞いてないんですけど?」
「だって藤田も勉強会参加してたし。
篠崎さん、何も聞かなかったよね?」
「そおですけどっ。」
「お待たせしました。」
ジントニックとカシグレがきた。
「とりあえず、お疲れさまでした。」
川島先生が言って4人で乾杯する。
「城田くんはどんな仕事してるの?」
川島先生が尋ねる。
「医療機器の販売です。」
言って名刺を出してきた。
うちの病院でも使っている会社だった。
「ねぇ、これ、もらってもいい?」
川島先生は城田くんと話をしだす。
藤田はそんな2人を眺めている。
川島先生は実家に帰ってからの事を考えて話をしているようだ。
「藤田先生、今日は素敵ですね。」
「何俺にお世辞言ってるの?」
「本当のコト言っているダケですよ。」
藤田はふっと表情を崩した。
「その服、喜多原の見立てだろ?」
「はい。」
「よく似合ってる。」
「ありがとうございます。」
「あれ?川島先生、かわいい子連れてるじゃない?」
声がしてそちらを見るとスーツ姿の男性3人。
年齢は30代後半ぐらいかな。
香水の匂いがする。
少しきつめで気持ち悪い。
あたしの苦手な匂いだ。
「都築先生もこちらに?」
川島先生がいい、この人も医師なのだとわかった。
こんな人のいる病院はいやだな。
それにしても都築ってもしかして。
「うん、彼女、紹介してよ。」
「自分の勤務している病院で看護師をしている篠崎さんです。」
「ふうん?
どこの看護学校出たの?」
「神座医大の看護学部です。」
答えると都築先生は食いついてきた。
「神座医大。
うちの病院に来ない?
君ならすぐに主任になれるよ?
いや、看護師長かな?」
「考えておきます。」
「えー、つれないコだねぇ。
うちの病院の師長って給料いいんだよ?」
「そんな責任のある仕事に就くにはまだ未熟で若輩ですので。」
「かわいくない子。」
「えぇ、よく言われます。」
「よく、かわしたな。」
藤田はほめてるんだろうか。
「ざけんなよっ。誰がてめぇの愛人になるかっ。」
「…篠崎。」
城田くんは引きつった顔だ。
「篠崎さん、大変よく頑張りました。
愛人の話だってよくわかったね?」
川島先生、知ってたのか…。
「地元じゃ有名な話ですよ?
都築整形外科の院長は看護師長とできてるの。副医院長も一緒ってことですよね…。」
「まああの人は学生の頃からあんな感じだからな。」
「そう、なんですね。」
「あの人の奥さん、俺たちの同級生で篠崎とは友人だったんですよ。」
城田くんは言った。
「それで、なんだ?」
川島先生が言いあたしは頷いた。
そういう理由で、医者の嫁になりたくないんです。
「もうこんな時間。」
「篠崎、送るよ。」
城田くんがいう。
「俺が家まで送りましょうかね?」
藤田がいう。
くすくすと川島先生は笑った。
この二択どちらも取りたくない。
「城田くん、藤田先生の家とあたしの家ちかいから藤田先生に送ってもらうね。」
「篠崎実家じゃないの?」
城田くんは驚いていた。
「うん。夜勤があるから職場の近くに1人暮らししてる。」
「そう…。じゃあ残念だけど。」
そうして城田くんと川島先生とはホテルで別れ、あたしは藤田とタクシーに乗った。
「どなたかとお約束ですか?」
店員に声をかけられてあたしは頷く。
「川島さんと…。」
「お客様のお名前を頂戴してもよろしいですか?」
「篠崎といいます。」
「かしこまりました。ご案内します。」
チェックが厳しい感じ。
案内されたのは窓際の正方形のテーブル。
窓を背にして川島先生が、その横には藤田が。
だけど2人ともキチンとスーツを着ていてあたしは何も言えなかった。
「来てくれてありがとう、篠崎さん。」
川島先生に言われてあたしはハッとした。
「こちらこそ誘っていただいてありがとうございます。
同級生の城田くんです。」
「初めてまして、城田といいます。」
「2人とも立ってないで。」
川島先生に言われてあたしたちはスツールに腰を下ろす。
城田くんが藤田の向かいに座ったのであたしは川島先生の向かい、藤田と城田くんに挟まれる感じだ。
「僕は篠崎さんの勤める病院の内科医で川島です。こっちは同僚で外科医の藤田。」
「初めまして、よろしく。」
店員がおしぼりを持ってやってくる。
「俺はジントニックを。」
何にしようかな。
「篠崎はカシグレ?」
藤田が言って、あたしは頷いた。
「かしこまりました。」
店員が去り、城田くんが。
「藤田先生は篠崎とよく飲みに行くんですか?」
「だいたい3人で飲んでるよ。」
「そうなの?」
あたしに確認するのか…。
「うん。だからさっき言ったじゃない、飲み友達だって。」
「そんなこと言ったって相手はドクターだろ?」
「城田くんは、篠崎のナイトなんだな。
すごく心配性。」
くすくすと藤田は笑った。
「な、ナイトとかそういうのじゃないですけどっ…。」
城田くんは言われて真っ赤になる。
「川島先生っ、あたし藤田先生がいるなんて聞いてないんですけど?」
「だって藤田も勉強会参加してたし。
篠崎さん、何も聞かなかったよね?」
「そおですけどっ。」
「お待たせしました。」
ジントニックとカシグレがきた。
「とりあえず、お疲れさまでした。」
川島先生が言って4人で乾杯する。
「城田くんはどんな仕事してるの?」
川島先生が尋ねる。
「医療機器の販売です。」
言って名刺を出してきた。
うちの病院でも使っている会社だった。
「ねぇ、これ、もらってもいい?」
川島先生は城田くんと話をしだす。
藤田はそんな2人を眺めている。
川島先生は実家に帰ってからの事を考えて話をしているようだ。
「藤田先生、今日は素敵ですね。」
「何俺にお世辞言ってるの?」
「本当のコト言っているダケですよ。」
藤田はふっと表情を崩した。
「その服、喜多原の見立てだろ?」
「はい。」
「よく似合ってる。」
「ありがとうございます。」
「あれ?川島先生、かわいい子連れてるじゃない?」
声がしてそちらを見るとスーツ姿の男性3人。
年齢は30代後半ぐらいかな。
香水の匂いがする。
少しきつめで気持ち悪い。
あたしの苦手な匂いだ。
「都築先生もこちらに?」
川島先生がいい、この人も医師なのだとわかった。
こんな人のいる病院はいやだな。
それにしても都築ってもしかして。
「うん、彼女、紹介してよ。」
「自分の勤務している病院で看護師をしている篠崎さんです。」
「ふうん?
どこの看護学校出たの?」
「神座医大の看護学部です。」
答えると都築先生は食いついてきた。
「神座医大。
うちの病院に来ない?
君ならすぐに主任になれるよ?
いや、看護師長かな?」
「考えておきます。」
「えー、つれないコだねぇ。
うちの病院の師長って給料いいんだよ?」
「そんな責任のある仕事に就くにはまだ未熟で若輩ですので。」
「かわいくない子。」
「えぇ、よく言われます。」
「よく、かわしたな。」
藤田はほめてるんだろうか。
「ざけんなよっ。誰がてめぇの愛人になるかっ。」
「…篠崎。」
城田くんは引きつった顔だ。
「篠崎さん、大変よく頑張りました。
愛人の話だってよくわかったね?」
川島先生、知ってたのか…。
「地元じゃ有名な話ですよ?
都築整形外科の院長は看護師長とできてるの。副医院長も一緒ってことですよね…。」
「まああの人は学生の頃からあんな感じだからな。」
「そう、なんですね。」
「あの人の奥さん、俺たちの同級生で篠崎とは友人だったんですよ。」
城田くんは言った。
「それで、なんだ?」
川島先生が言いあたしは頷いた。
そういう理由で、医者の嫁になりたくないんです。
「もうこんな時間。」
「篠崎、送るよ。」
城田くんがいう。
「俺が家まで送りましょうかね?」
藤田がいう。
くすくすと川島先生は笑った。
この二択どちらも取りたくない。
「城田くん、藤田先生の家とあたしの家ちかいから藤田先生に送ってもらうね。」
「篠崎実家じゃないの?」
城田くんは驚いていた。
「うん。夜勤があるから職場の近くに1人暮らししてる。」
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