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カフェです。
「ありがとうございます。」
大樹はあたしに付き添ってくれた彩華に頭を下げていた。
「ちょっと待って下さい。あたしはあなたにお礼を言われる筋合いはないです。」
「そんなことはありません。どうぞお掛け下さい。」
大樹は席を勧める。
カフェの喫煙席の窓からは遠い、一席ずつのソファになっている席。
あたしが彩華の隣に座ろうとすると、
「深和はこっち。」
大樹の隣に座らされた。
彩華は呆れ顔だ。
「無事に来れてよかった…。」
ぎゅっとあたしの手を握りしめ大樹はあたしにだけ聞こえる声で言った。
相原が連絡したのか…。
カフェの店員が来ても大樹は手を離そうとはしなかった。
彩華はホットを、あたしはカフェラテを頼む。
「一体どういうことなのかしら?」
彩華は訳が分からないと言いたげだ。
「どういう、とは?」
「確か深和が婚約破棄されてから10日しか経っていないのに高校時代に付き合っていた人が恋人のような顔をしているのかしら?」
「簡単に言えばオレが金曜日に口説いたから。」
簡単だけど確かにそうとしかいいようがない。
「深和、そんなに単純でいいの?」
あたしはこくりと頷く。
「あぁ、もう、信じられない。12年前に別れた相手でしょ?」
「相手のことが嫌になって別れたんだったら、こんなことはしてないね。」
「それでも。
12年の間に変わってしまうものだってあるわけでしょう?」
彩華は大樹を単に確認したいだけ、なのだろうか。
そして、大樹も?
「それはもちろん。
変わらないほうがおかしいでしょう?でも、深和さんは根っこの部分が変わってなかったから。オレもありのままの自分をぶつけることになってしたんだ。」
「ふうん。」
店員がコーヒーを持ってきて、あたしと彩華はそれに口をつける。
「深和は、どうなの?」
「彩華、知ってるでしょう?
あたしだって12年、彼しか本気になった人はいなかった。付き合う人はいつでも彼に何処か似ている人だった。付き合う人に失礼だと思ってあたしは努力したつもりだったけど、けどダメだった。相手の人はいつも何処か引いた感じで、あたしの求めているものはくれなかった。」
「その、隣にいる人はくれたの?」
「成田でいきなり抱き締めてくる人とだよ?」
「正直、深和にはずっと側にいてあげられる相手じゃないとダメだと思ってるけど。それもクリアしてしまうんだから…。」
彩華は人事だから知ってるのか…。
「再会して数日で深和の壁がなくなってるんだから、仕方ないというか、何というか。いろいろ頑張ってください。」
「ありがとう。」
「頑張りはしますが状況が状況なのでよろしくお願いします。」
「協力させていただきますとも。」
大樹はあたしに付き添ってくれた彩華に頭を下げていた。
「ちょっと待って下さい。あたしはあなたにお礼を言われる筋合いはないです。」
「そんなことはありません。どうぞお掛け下さい。」
大樹は席を勧める。
カフェの喫煙席の窓からは遠い、一席ずつのソファになっている席。
あたしが彩華の隣に座ろうとすると、
「深和はこっち。」
大樹の隣に座らされた。
彩華は呆れ顔だ。
「無事に来れてよかった…。」
ぎゅっとあたしの手を握りしめ大樹はあたしにだけ聞こえる声で言った。
相原が連絡したのか…。
カフェの店員が来ても大樹は手を離そうとはしなかった。
彩華はホットを、あたしはカフェラテを頼む。
「一体どういうことなのかしら?」
彩華は訳が分からないと言いたげだ。
「どういう、とは?」
「確か深和が婚約破棄されてから10日しか経っていないのに高校時代に付き合っていた人が恋人のような顔をしているのかしら?」
「簡単に言えばオレが金曜日に口説いたから。」
簡単だけど確かにそうとしかいいようがない。
「深和、そんなに単純でいいの?」
あたしはこくりと頷く。
「あぁ、もう、信じられない。12年前に別れた相手でしょ?」
「相手のことが嫌になって別れたんだったら、こんなことはしてないね。」
「それでも。
12年の間に変わってしまうものだってあるわけでしょう?」
彩華は大樹を単に確認したいだけ、なのだろうか。
そして、大樹も?
「それはもちろん。
変わらないほうがおかしいでしょう?でも、深和さんは根っこの部分が変わってなかったから。オレもありのままの自分をぶつけることになってしたんだ。」
「ふうん。」
店員がコーヒーを持ってきて、あたしと彩華はそれに口をつける。
「深和は、どうなの?」
「彩華、知ってるでしょう?
あたしだって12年、彼しか本気になった人はいなかった。付き合う人はいつでも彼に何処か似ている人だった。付き合う人に失礼だと思ってあたしは努力したつもりだったけど、けどダメだった。相手の人はいつも何処か引いた感じで、あたしの求めているものはくれなかった。」
「その、隣にいる人はくれたの?」
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「正直、深和にはずっと側にいてあげられる相手じゃないとダメだと思ってるけど。それもクリアしてしまうんだから…。」
彩華は人事だから知ってるのか…。
「再会して数日で深和の壁がなくなってるんだから、仕方ないというか、何というか。いろいろ頑張ってください。」
「ありがとう。」
「頑張りはしますが状況が状況なのでよろしくお願いします。」
「協力させていただきますとも。」
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