婚約破棄後の荒れた日常を立て直したい!

梨花

文字の大きさ
37 / 44

大波ではなく嵐が荒らして行きます。

しおりを挟む
ややあたし達の態度に驚いているようだが、あたし達は譲歩して座布団を用意しているのだからありがたいと思って欲しい。
あたしは入り口に置いた丸椅子に座る。
「この度は息子が急なことを申しまして心苦しく思っています。」
向こうの父がいう。
「で?
そちらがどのように思っているかではなく、用件を聞きたいのですが。」
「息子が言ったことをなかったことにしていただきたく参った次第です。」
「それはすなわち婚約破棄をなかったことにして欲しいということですか?」
「はい、そうです。」
「だそうだが、深和?」
「お断りします。」
向こうの両親は目を丸くした。
元婚約者は視線を下にしているが、両親はこちらを凝視していた。
「だそうです。よろしいですか?」
「いや、だが…。」
「うちの子のどこがいやなの?
仕事だってできるし優しい子じゃないの。」
母親が言う。
「これは結納金代わりに持ってきました。受けていただければ…。」
緑色の袱紗をだし、札束を見せる。
「断ると娘が言ったのが聞こえませんでしたか?」
「どうして断られるのかこちらとしましてはわかりません。」
「え?」
あたしは思わず口を開いてしまった。
「だって婚約期間中に別の女性と体の関係を持ったんですよね?
そんな人と結婚してもまた浮気されるのが関の山ですよね?」
「浮気は男の甲斐性と言いますし…。」
「あぁ、貴方もそういう考えなんですね。でしたらますます嫁には行けません。
あたしはそういうのは嫌ですし。」
「でもね、深和さん。
貴女だってもう30でしょう?行き遅れって言われたらご両親もお困りになるでしょ?」
「わざわざ行き遅れを引き取っていただかなくても構いません。」
「我々も、別に困りませんがね。逆にうちにいてもらったほうがこれから先何があるかわかりませんからねぇ。」
「ひょっとしてご存知ないんですか?
婚約破棄を言われた2日後の朝に職場に電話がかかってきたり、退社の時に職場に怒鳴り込みに来られてしまって職場で大騒ぎになって、私、移動になったんですよ?
挙句に先週の土曜日には同窓会に行ったホテルの階段でそちらの方の恋人さんに突き落とされて足を怪我してしまったんです。」
父親は目を丸くした。
「でしたら尚更!
移動を機に結婚すればよろしいじゃないですかっ。」
「秘書室へ移動なので益々仕事が忙しくなってしまうので、何人の方と浮気されるかわかったものじゃありませんね。」
父がため息をついた。
母が立ち上がって出て行った。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

私が育てたのは駄犬か、それとも忠犬か 〜結婚を断ったのに麗しの騎士様に捕まっています〜

日室千種・ちぐ
恋愛
ランドリック・ゼンゲンは将来を約束された上級騎士であり、麗しの貴公子だ。かつて流した浮名は数知れず、だが真の恋の相手は従姉妹で、その結婚を邪魔しようとしたと噂されている。成人前からゼンゲン侯爵家預かりとなっている子爵家の娘ジョゼットは、とある事情でランドリックと親しんでおり、その噂が嘘だと知っている。彼は人の心に鈍感であることに悩みつつも向き合う、真の努力家であり、それでもなお自分に自信が持てないことも、知っていて、密かに心惹かれていた。だが、そのランドリックとの結婚の話を持ちかけられたジョゼットは、彼が自分を女性として見ていないことに、いずれ耐えられなくなるはずと、断る決断をしたのだが――。 (なろう版ではなく、やや大人向け版です)

恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ

恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。 王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。 長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。 婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。 ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。 濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。 ※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています

処理中です...