行き倒れを助けたら、追放された王子様でした

8

翌朝、目が覚めると隣には穏やかに寝息を立てているラインハルトの姿がある。その姿を見るだけで幸せな気分になれる自分がいることに気づいたのだ……


（今日も一日頑張ろう）


心の中でそう呟きながら俺はベッドから抜け出したのだった……。

それから身支度を整えて朝食を食べ終えると、俺はラインハルトを連れて森へと向かった。今日は薬草の採取に行く予定なのだ……。


「よし、今日も頑張ろうぜ！」


俺がそう言うとラインハルトは笑顔で頷いた後で言った。


「うん！ よろしくね」


彼はそう言って俺の手を取るとぎゅっと握りしめてきたので、俺もそれに応えるように優しく握り返してやった……


（ああ～癒されるなぁ）


そんなことを考えているうちに目的の場所に到着したようだ。今日はここで薬草を採取することになるのだが、彼が手伝ってくれるおかげで捗るのだ……


「じゃあ俺はあっちを探すからラインハルトはそっちを頼む」


俺が指示を出すと彼は素直に従ってくれたのでホッとした。何かあった時に守りながら戦うのは難しそうだからである……


（さて、頑張るか！）


気合いを入れて作業に取り掛かることにしたのだった。


（ふぅ……こんなものか？）


2人で協力して薬草を採取したおかげでかなりの量が手に入ったため、一旦街に戻ることにした。


「そろそろ昼時だな……飯でも食いに行くか？」


俺が尋ねるとラインハルトは嬉しそうに頷いてくれた。なので俺たちは近くのレストランへ向かうことに決め、歩き始めたのだった……。


「いらっしゃいませ」


店内に入ると店員が出迎えてくれた。俺たちは窓際の席に座るとメニューを開いた後で注文することにした。


「俺はこれにするかな」


俺が指差したのは特製ハンバーグセットだった。ラインハルトはカルボナーラを頼んだようだ……


（楽しみだなぁ）


心の中で呟きながら待っている間、俺は窓の外を眺めていた。するとそこには散歩をしている人たちがいて楽しそうに歩いているのが見えたので思わず微笑んでしまうのだった……。


「お待たせしました～」


注文した料理が届いた後、俺たちは手を合わせてから食べ始めた。ラインハルトはフォークを手に取ると、早速カルボナーラを口に運んだ後、幸せそうな表情を見せた後でこちらを見てきた。そんな様子を見ているとこっちまで幸せな気持ちになってくるのだった……。


（ああ～マジで可愛いなぁ）


そんなことを考えながら俺もハンバーグを食べ進めていく。やはりここの店の味は最高だ……そう思いながら食事を進めることになったのだった……


「ごちそうさまでした」


食事を終えた後、俺達は会計を済ませて店を出た後で街の中を散策することにした。大通りを歩いていると様々な出店が並んでいるのが見えたので、二人で見て回ることにする。特に欲しいものはなかったが、ラインハルトが興味を持ったものがあれば買ってあげるつもりだ……。


「これどう？　可愛くない？」


彼が手に取ったのは猫のぬいぐるみだ。俺はそれを受け取ると優しく頭を撫でた後で言った。


「たしかに可愛いな」


すると彼は嬉しそうな笑顔を見せた後で言った。


「じゃあこれ買う！」


（やったぜ！）


心の中でガッツポーズを決めながらも平静を装うことにした。その後、俺達はしばらく買い物を楽しんだ後で帰路に就くことにしたのだった……。