行き倒れを助けたら、追放された王子様でした

10

翌日、俺はまたラインハルトを連れて森へと向かった。今日も薬草の採取を行う予定なのだが……


「なあ、今日は別のことをしたいと思っててさ……」


俺がそう切り出すとラインハルトは首を傾げながらこちらを見てきた。その仕草はまるで小動物のようでとても可愛らしいものだった……


（ああ～マジで癒されるぅ～）


そんなことを考えつつも話を続けた。


「いつも採ってる薬草以外にも使えるものがあるから、それを探しに行こうぜ」


俺がそう言うとラインハルトは納得した様子で頷いた後で言った。


「うん！　分かった！」


それから俺たちは森の奥深くへと足を踏み入れていった。道中で見つけた薬草を採取しながら奥へと進むうちに、俺はあるものを見つけた……。


（お、あれってもしかして……？）


そこにあったのは大きな木だった。その周りに生えている草花は不思議な形状をしているように見えたのだ。


「これだよ」


そう言って俺が指差した草花を見てラインハルトは首を傾げた後で言った。


「何これ？」


「これは回復薬に使われる薬草だ。お前のために採ったんだよ」


俺がそう言うと彼は嬉しそうに笑顔を浮かべた後で言った。


「ありがとう！」


その笑顔を見ると心が温かくなるような感覚を覚えるのだった……。


（ああ～マジで可愛いわコイツ）


そう思いながら俺はしゃがみ込むと薬草を摘み始めた。ラインハルトも同じように手伝ってくれたので、スムーズに作業を進めることができて助かったな……


「終わったー！！」


それからしばらく時間が経った後、俺たちは達成感を感じながら帰路に就いたのだった……。


（楽しかったなぁ）


そんなことを考えつつラインハルトの方を見ると彼も満足そうに微笑んでくれた。それだけで幸せな気分になれるのだから不思議である……。


「また一緒に来ような」


俺がそう言うと彼は笑顔で頷いてくれたので、さらに幸せな気分になるのであった……。

ラインハルトと過ごすようになって2週間が過ぎた頃だろうか？彼はすっかり俺の家に馴染んだ様子だった。今日も一緒に映画を観たり食事を楽しんだりした後で就寝することになったのだが、そこである問題が発生したのだ……。


「ねぇ、一緒に寝ても良いかな？」


彼が突然そんなことを言い出したのだ。俺は一瞬戸惑ったものの快く承諾することにした。


（まあ、たまにはこういうのもアリだよな）


そんなことを考えながらベッドに入ると、彼は嬉しそうに微笑んでくれた。その姿を見ると胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚がするのだったが、不思議と嫌な感じはしなかった……。


（まあ、良いか……）


心の中でそう呟きながら眠りにつくことにしたのだ……。