世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する

26

翌日、目が覚めるとすでに日は高く昇っていた。俺は慌てて起きると急いで支度を始める……


「おはようございます、アベル様」


部屋に入ってきたのはリーゼロッテだった。どうやら起こしに来てくれたらしいな。俺が礼を言うと彼女は笑顔で頷いてくれた……今日もいい一日になりそうだな……そんなことを思いながら俺は朝食を食べに向かったのだった……

朝食を終え執務に取り組むことにするが、今日はリーゼロッテが手伝ってくれることになっているのでかなり楽だな……書類の整理なども順調に進んでいき、すぐに終わらせることができた……これで午後からはゆっくりと過ごせそうだな……俺はそんなことを考えながら午後からの時間をどう過ごすかを考えることにした。


「アベル様、何をしますか？」


リーゼロッテが尋ねてくるので俺は少し考えた後、彼女に微笑みかけた。


「たまにはのんびり過ごそうかと思っているよ」


俺がそう答えると彼女は微笑んだ……そして俺の傍にやってくると手を差し出した。


「では一緒にお茶でも飲みましょう」


俺は頷くと彼女をエスコートして食堂へ向かった。途中でメイドたちに呼び止められたが、俺とリーゼロッテの姿を見て微笑みながら去っていったな……別に変な関係じゃないぞ？ 食堂に着くと早速お茶の準備を始める……リリアナとリーゼロッテは楽しそうに会話しながら準備をしているな……そんな二人を見ていると俺も心が安らいできたよ。しばらくすると準備が整ったようだ。三人でテーブルを囲みながらお茶を楽しむことにした……こうして穏やかな日々が続くといいのだがな……


「アベル様、少しよろしいでしょうか？」


俺が自室で休んでいるとリリアナが部屋に入ってきた。どうしたんだ？何かあったのか？俺が尋ねると彼女は首を横に振った……どうやら違うらしいな。


「お暇なら一緒に散歩でもしませんか？」


なるほど、そういうことか……俺は頷き彼女と共に部屋を出た。屋敷の外に出ると心地よい風が吹いていて心地いい……俺は自然と笑顔になったよ。リリアナも嬉しそうに微笑んでいるな……さてどこに行こうかと考えていると彼女が提案してきたんだ。


「浜辺のほうに行ってみませんか？」


ああ、それもいいな！ せっかくだし行ってみることにしよう……俺たちは屋敷を出て浜辺に向かうことにした。しばらく歩くと潮の香りが漂ってきたな……海に近づくにつれて波の音が聞こえてくるようになったな……


「やはり海はいいですね……」


リリアナがしみじみと言うので俺も頷いてしまったよ。海は本当に綺麗だからな……いつまでも眺めていられる気がするよ。そんな風に思っていると突然彼女が俺の手を掴んできたんだ……驚いて彼女の顔を見ると少し恥ずかしそうな表情をしていた……どうしたんだ？俺が尋ねると彼女は小さな声で答えてくれた。


「手を繫いでもいいですか？」


ああ、もちろんだ。俺が答えると彼女は嬉しそうに笑った……そんな彼女の笑顔を見て思わずドキッとしたよ……すると彼女は俺の手を強く握ってきたんだ。俺もそれに応えるように握り返すとさらに強い力で握り返されたよ……


「ありがとうございます……」


リリアナが小さな声で呟く……俺は微笑んでみせると彼女も微笑み返してくれた……そのまましばらく俺たちは手を繫いだまま浜辺を歩いて行ったんだ……なんだかとても幸せな時間だったな。屋敷に帰ってからもリリアナは俺の手を離そうとしなかったな。よほど気に入ったらしい……


「今日は楽しかったですね」


リリアナが笑顔で話しかけてくる。そうだな、俺も楽しかったよ……リリアナが満足してくれたみたいで良かった。これからも一緒に思い出を作っていこうな……俺がそう言うと彼女も頷いてくれたんだ。俺は嬉しかったよ、こんな可愛い女の子たちとこれからも一緒に過ごせるなんてな……幸せ者だよ、俺は……そんなことを思いながら夜は更けていくのだった……