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次の日、私は朝早くから目を覚まし、身支度を済ませると部屋を出た。そして宿を出て人探し屋へと向かうことにする。


「すみません、人探しをお願いしたいのですが」


受付の女性に話しかけると彼女はにっこりと微笑んできた。


「かしこまりました。ではどのような方をお探しでしょうか?」


私は依頼人であるエルナの父親の特徴を伝えた。すると受付の女性は何やら考え込んでいるような素振りを見せた。どうかしたのかしら?


「分かりました、少々お待ちください」


彼女はそう言って席を離れると、奥の部屋へと消えていった。しばらく待つこと数分、再び戻ってきた彼女の手には一枚の紙があった。


「こちらが依頼人の情報です」


こんなに早く見つかるとは思わなかったわ……。でもこれでエルナのお父様を見つけることができるわね……よかったわ……。


「ありがとう」


私はお礼を言うとその紙を受け取り、すぐにその場を後にした。そして早速、転移(テレポート)でエルナのお父さんがいる街まで飛ぶ。


「さあ、これでようやくエルナにお父さんと会わせてあげられるわ」


私は逸る気持ちを抑えながら街の中を歩き出した。するとすぐにお父さんらしき人物を発見することができた。


(あれがエルナのお父様ね……)


私は彼に近づいて声をかけた。


「あの、すみません」


「ん? なんだい?」


「あなたがバーンズさんですか?」


そう尋ねると彼は驚いたような表情で私を見つめてきた。まあ急に話しかけてきた見知らぬ女の子に名前を言われたら驚くのも無理はないわね……。でもすぐに冷静さを取り戻して私に質問を投げかけてくる。


「確かに俺はバーンズだけど、どうして俺の名前を知っているんだ?」


「エルナさんに頼まれてあなたを探しに来たんです」


そう言うと彼はさらに驚いた様子だったけど、すぐに納得したような顔になる。どうやら彼はエルナの父親で間違いないようだ。


「すまないが娘と会う気はない。帰ってくれないか」


彼はそう言うと、そのまま立ち去ろうとする。だけどここで引くわけにはいかない!


「エルナさんはあなたを探してずっと一人で頑張ってきたんです! そんな娘に対してあなたは冷たい言葉をかけるのですか!?」


私は感情的になりながら必死に説得しようとする。しかし彼は冷めたような表情で私を見てくるだけだった……。そしてこんな言葉をかけてきたのだ……。


「……私は昔借金をしてしまってね……。それであの子には苦労ばかりかけたんだ。だからこれ以上苦労させたくないんだよ」


「そんな……」


私は言葉を失ってしまう……まさかエルナのお父さんがそんなことを思っていたなんて……。そして彼は私に背を向けると、再び立ち去ろうとする……だけど私は諦めなかった!


「待ってください!」


私が呼び止めると彼は足を止めるが振り返ってはくれなかった。それでも構わずに彼に近づいていくと、数人の男たちが現れる。


「バーンズの知り合いか?」


「だから何よ」


「奴は俺たちから多額の金を借りてる。知り合いならお前が金を払え」


どうやら彼らは借金取りのようね……。それなら話は簡単だわ……。


「いいわ、全員叩きのめしてあげる」


「なんだと!? この女調子に乗りやがって!!」


男たちは武器を構えると一斉に襲いかかってきた。私はその攻撃をかわすと、逆に男たちを返り討ちにした。そして一人残らず気絶させると、金の入った袋を置く。


「これで借金はチャラよ」


その光景を見たバーンズさんは目を丸くしていた。


「君は何者なんだ……?」


「ただの冒険者よ」


私はそれだけ告げるとその場を後にした。そして再び転移(テレポート)を発動してエルナのもとへと向かうのだった……。


「お父さん……?」


エルナは目の前の光景が信じられないといった様子だった。無理もないわよね……だって目の前にいるのは彼女の父親だもの。


「エルナ……なのか?」


「お父さんっ!!」


エルナが勢いよく駆け出すと、そのまま彼に抱きついた。バーンズさんは最初は戸惑っていたみたいだけど、やがて優しい表情を浮かべて娘の頭を優しく撫で始めた。そして彼は涙を浮かべながら謝罪の言葉を述べるのだった……。


「すまないエルナ……。お前に苦労ばかりかけてしまって……」


「ううん、私は全然気にしてないよ! それにこれからは私がお父さんを守ってあげるから!」


親子の絆が戻ってきた瞬間だった。これでもう大丈夫よね……。二人はしばらく抱き合っていたが、やがて離れると今度はエルナからバーンズさんに抱きついた。彼は少し驚いた様子だったけどすぐに笑顔を浮かべると優しく娘の頭を撫でた……そしてこれからは親子二人で頑張って生きていくことを決意したのだった……。


「よかったわね……」


私は二人の様子を見ながら静かにそう呟くのだった……。
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