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リーゼルのことをどう思っているのかは、聞かなかった。
ジークヴァルトの話を聞く限り、事情があって彼女の傍にいるのだと分かったので聞く必要がないと判断した。
お互いの気持ちは同じところに向いているのだと再確認出来たのだから、今はそれで十分だ。
オリヴィアの中にあった不安も、不満も、上手く拭い去ることが出来たのだろう。
そして授業が終わると、オリヴィアは教室に残ることなく直ぐに邸へと帰っていった。
理由は簡単だ。
ジークヴァルトがオリヴィアのために用意してくれた、ドレスが届いているから。
彼女はそれを早く自分の目で確かめたかった。
「お嬢様、お帰りなさいま……」
「ねえ、わたし宛てに何か届いていない?」
浮き立つ気持ちを抑えてはいるが、オリヴィアは我慢しきれずメイドの声を遮るように問いかけてしまう。
「え……? あ、ジークヴァルト殿下からの贈り物が……」
「ありがとうっ!」
メイドは少し考えた後に、ハッと何かに気付いて答えようとした。
その言葉を待っていたと言わんばかりに、オリヴィアの表情は明るくなっていく。
そして一方的に話を終了させると、オリヴィアは足早に自室へと向かった。
***
扉を開くと、部屋の中へと入っていく。
帰りの馬車に揺られている時から、オリヴィアの胸は高揚しており、鼓動がドクドクと響いていた。
毎年この時期になると、必ずジークヴァルトからドレスを贈られているが、これほどまでに興奮しているのは最近立て続けに嫌なことばかりが続いていた所為なのだろう。
だから喜びもひとしおだった。
テーブルの上には大きな箱と、その傍にはピンク色の薔薇の花束が置かれていた。
オリヴィアはテーブルの前に立ち、置かれている物には一切触れることなく、それらをただ眺めていた。
今までドレスと共に花束を贈られたことはなかった。
ピンク色の薔薇の花言葉は『感謝』
ジークヴァルトはどんな気持ちで、この花を選んだのだろう。
薔薇を眺めていると、その答えはわりと直ぐに見つかった。
彼はオリヴィアのことを、婚約者としてちゃんと認めてくれている。
だけど今は事情があって、あまり会うことが叶わない。
そこでこのピンク色の薔薇に気持ちを込めたのだろう。
……そんな気がする。
(最高のプレゼントね……)
眺めていると次第に感慨深い気持ちに包まれていって、目元がじわりと熱くなり涙が頬を伝うように流れ落ちる。
それに気付いて何度も指で涙を拭うが、暫くは止まらなかった。
これは決して悪い涙なんかではない。
嬉しいものだから、彼女は泣きながら笑っていた。
そして暫くして涙が止まった後、箱を開いていく。
すると中には淡い青色のドレスが入っていた。
首元が大きく開いていて、全面には細やかな刺繍が施されている。
フリルは少なめだが、腰辺りには大きなリボンの装飾が付いていて、それが良いアクセントになっている。
ここまで大人っぽい装いのドレスを着るのは、きっと初めてな気がする。
来年にはジークヴァルトの妃として、オリヴィアは王宮へと迎え入れられる身だ。
それに相応しいドレスを彼は見立ててくれたのだろう。
彼の思いを感じ取ってしまうと、また涙が溢れてきそうになる。
オリヴィアはグッと堪えて、ドレスを手に取ると姿見の前に立ち、自分の体に重ねてみせた。
「素敵ね。これを着て夜会に参加するのが本当に楽しみだわ」
オリヴィアは想像を膨らませながら、鏡の中で微笑んでいた。
こんなに幸せな気分を感じたのは、もうどれくらい振りなのだろう。
満足するとオリヴィアはドレスを持ってテーブルの方へと戻っていった。
そんな時、箱の奥に手紙が入っていることに気付いた。
先程はドレスに感激しすぎていて、気付かなかったのだろう。
彼女はドレスを一旦テーブルの上に置くと、手紙を取った。
「……っ!!」
封筒を開けて中に書かれている文面を見た瞬間、怒涛のように感情が押し寄せてくる。
オリヴィアは顔をぐちゃぐちゃに崩し、口元を掌で覆った。
そして目元からは大粒の涙が溢れてきて、視界がぼやけて文字が霞んでしまう。
だけど、彼女の心にはそれがしっかりと刻み込まれた。
そこに書かれていたのは、たった一言だった。
『最愛の人へ』
それだけしか書かれていなかったが、オリヴィアにとっては十分過ぎるものだった。
普段の彼は『好き』とか『愛している』などの言葉は、一切言ってくれない。
そもそもこの婚約は政略的に結ばれたものであり、恋愛感情が絡んだものでは一切無かった。
しかしオリヴィアは出会った瞬間から、ジークヴァルトに恋をしてしまった。
大切にして貰っているという自覚はあったが、それはあくまでも自分が婚約者という特別な権利を得たからだと思っていた。
婚約者としては認めてくれているけど、この恋心はオリヴィアの一方通行なのだとずっと思っていた。
そう思っていたからこそ、オリヴィアにとっては堪らないほどに嬉しかった。
今彼女の心を占めている感情は、信じられない気持ちと、嬉しい気持ちの半々なのだろう。
(ジーク様、わたしはあなたのことをずっとお慕いしております。これから先も……ずっと、ずっと……)
オリヴィアはその手紙をぎゅっと胸に押しつけながら、一時の幸せを噛みしめた。
***
そして夜会の当日。
オリヴィアはジークヴァルトが贈ってくれたドレス着て、いつもよりも大人っぽい雰囲気を出していた。
髪を纏めた方が更に大人の女性に見えるのかも知れないが、そこは敢えて下ろしてもらった。
普段のようにサイドを編んでもらい、後ろには宝物である蝶の髪飾りを付けていた。
装飾品や靴もドレスと一緒に彼が贈ってくれたので、それを身に付けた。
オリヴィアはジークヴァルトが迎えに来てくれるのを、胸を高鳴らせながら待っていた。
しかし、約束していた時間を過ぎても彼は一向に現れない。
(もしかして、準備に手間取っているのかしら……。まだ時間には余裕はあるし、大丈夫よね)
オリヴィアは時計を見て、心の中でそう呟く。
しかし一時間を過ぎても一向に現れる気配がない。
さすがに彼女も心配になり、自室から出て一階へと続く階段をゆっくりと下りていった。
そんな時、オリヴィアの父である公爵の怒鳴り声が邸内に響き渡る。
「ふざけるなっ……! 娘に恥をかかせるつもりか!」
「……申し訳ありません」
(お父様……?)
オリヴィアは不安を抱えながら、二人の方へと近づいていく。
普段温厚な公爵がここまで怒鳴り散らすなんて。
「どうされましたか?」
「……リヴィ……」
彼女が声をかけると、公爵は気まずそうに視線を逸らした。
公爵に怒鳴られていた者は見知った人間では無かったが、服装を見て王宮からの使者であるとすぐに分かった。
何か嫌な予感がする。
オリヴィアはその思いから不安そうな表情を浮かべる。
「オリヴィア様、申し訳ありません。本日、ジークヴァルト殿下はお迎えには来れなくなりました」
「……え?」
突然の言葉に、オリヴィアの表情は固まってしまう。
「全くふざけた真似を……」
公爵は苛立った態度を隠すこともせず、ぼそりと呟く。
婚約者がいる者は同伴して行くのが一般的だ。
もし一人で行くようなことがあれば、周囲からは変な目で見られることになるだろう。
しかもオリヴィアは王太子の婚約者であり、ただでさえ目立つ存在だ。
そんな彼女が一人で参加することとなれば、悪目立ちすることは避けられない。
公爵は、それを娘への侮辱と受け取ったのだろう。
「何か理由があるのですよね?」
オリヴィアは震えた声で使者に問いかけた。
「はい……。本日殿下はリーゼル・テレーゼ男爵令嬢の傍に付くことに急遽決まりました。ですので、まことに申し訳ないのですが、オリヴィア様にはお一人で会場まで来られるようにと、言伝を預かって……」
「リヴィ、行く必要はない」
隣で聞いていた公爵は、吐き捨てるようにそう言った。
「お父様……」
「行けばお前は格好の笑いものだ。一体何を考えているんだ。殿下も、陛下も……」
公爵は、また娘の心が傷付くことを心配して、オリヴィアの代わりに怒ってくれているのだろう。
彼女には父のその気持ちが良く分かっていた。
それに突然の状況に、オリヴィア自身も戸惑いが消えたわけではない。
こんなに直前になって言って来るのは、さすがに酷いとオリヴィアも思っていた。
だけど、ジークヴァルトはオリヴィアにこのドレスを贈ってくれた。
そして彼の気持ちをオリヴィアはしっかりと受け取った。
きっと彼だって、今日はオリヴィアと共に参加することを心待ちにしていたのだろう。
以前彼は言っていた。
今日の夜会でリーゼルが聖女であることを公表するのだと。
その理由があるから、今回こういったことになってしまったのだとオリヴィアは既に気付いていた。
そうだとしても、やっぱり悔しいものだ。
こんな裏切り方をされるなんて思いもしなかった。
オリヴィアは、取り決めた人間を恨みたい気持ちでいっぱいだった。
今日はきっと、この国にとっては特別な日になる。
オリヴィアはジークヴァルトの婚約者として、これから起こることをしっかりと見届けなければならない気がしていた。
それにジークヴァルトと心が繋がっているのだと思えば、きっと耐えられるはずだ。
(今までだって沢山耐えてきたのだから、今回だってきっと大丈夫なはずよ……)
オリヴィアは覚悟を決めると、深く息を吸い込んだ。
「わたし、行きます」
ジークヴァルトの話を聞く限り、事情があって彼女の傍にいるのだと分かったので聞く必要がないと判断した。
お互いの気持ちは同じところに向いているのだと再確認出来たのだから、今はそれで十分だ。
オリヴィアの中にあった不安も、不満も、上手く拭い去ることが出来たのだろう。
そして授業が終わると、オリヴィアは教室に残ることなく直ぐに邸へと帰っていった。
理由は簡単だ。
ジークヴァルトがオリヴィアのために用意してくれた、ドレスが届いているから。
彼女はそれを早く自分の目で確かめたかった。
「お嬢様、お帰りなさいま……」
「ねえ、わたし宛てに何か届いていない?」
浮き立つ気持ちを抑えてはいるが、オリヴィアは我慢しきれずメイドの声を遮るように問いかけてしまう。
「え……? あ、ジークヴァルト殿下からの贈り物が……」
「ありがとうっ!」
メイドは少し考えた後に、ハッと何かに気付いて答えようとした。
その言葉を待っていたと言わんばかりに、オリヴィアの表情は明るくなっていく。
そして一方的に話を終了させると、オリヴィアは足早に自室へと向かった。
***
扉を開くと、部屋の中へと入っていく。
帰りの馬車に揺られている時から、オリヴィアの胸は高揚しており、鼓動がドクドクと響いていた。
毎年この時期になると、必ずジークヴァルトからドレスを贈られているが、これほどまでに興奮しているのは最近立て続けに嫌なことばかりが続いていた所為なのだろう。
だから喜びもひとしおだった。
テーブルの上には大きな箱と、その傍にはピンク色の薔薇の花束が置かれていた。
オリヴィアはテーブルの前に立ち、置かれている物には一切触れることなく、それらをただ眺めていた。
今までドレスと共に花束を贈られたことはなかった。
ピンク色の薔薇の花言葉は『感謝』
ジークヴァルトはどんな気持ちで、この花を選んだのだろう。
薔薇を眺めていると、その答えはわりと直ぐに見つかった。
彼はオリヴィアのことを、婚約者としてちゃんと認めてくれている。
だけど今は事情があって、あまり会うことが叶わない。
そこでこのピンク色の薔薇に気持ちを込めたのだろう。
……そんな気がする。
(最高のプレゼントね……)
眺めていると次第に感慨深い気持ちに包まれていって、目元がじわりと熱くなり涙が頬を伝うように流れ落ちる。
それに気付いて何度も指で涙を拭うが、暫くは止まらなかった。
これは決して悪い涙なんかではない。
嬉しいものだから、彼女は泣きながら笑っていた。
そして暫くして涙が止まった後、箱を開いていく。
すると中には淡い青色のドレスが入っていた。
首元が大きく開いていて、全面には細やかな刺繍が施されている。
フリルは少なめだが、腰辺りには大きなリボンの装飾が付いていて、それが良いアクセントになっている。
ここまで大人っぽい装いのドレスを着るのは、きっと初めてな気がする。
来年にはジークヴァルトの妃として、オリヴィアは王宮へと迎え入れられる身だ。
それに相応しいドレスを彼は見立ててくれたのだろう。
彼の思いを感じ取ってしまうと、また涙が溢れてきそうになる。
オリヴィアはグッと堪えて、ドレスを手に取ると姿見の前に立ち、自分の体に重ねてみせた。
「素敵ね。これを着て夜会に参加するのが本当に楽しみだわ」
オリヴィアは想像を膨らませながら、鏡の中で微笑んでいた。
こんなに幸せな気分を感じたのは、もうどれくらい振りなのだろう。
満足するとオリヴィアはドレスを持ってテーブルの方へと戻っていった。
そんな時、箱の奥に手紙が入っていることに気付いた。
先程はドレスに感激しすぎていて、気付かなかったのだろう。
彼女はドレスを一旦テーブルの上に置くと、手紙を取った。
「……っ!!」
封筒を開けて中に書かれている文面を見た瞬間、怒涛のように感情が押し寄せてくる。
オリヴィアは顔をぐちゃぐちゃに崩し、口元を掌で覆った。
そして目元からは大粒の涙が溢れてきて、視界がぼやけて文字が霞んでしまう。
だけど、彼女の心にはそれがしっかりと刻み込まれた。
そこに書かれていたのは、たった一言だった。
『最愛の人へ』
それだけしか書かれていなかったが、オリヴィアにとっては十分過ぎるものだった。
普段の彼は『好き』とか『愛している』などの言葉は、一切言ってくれない。
そもそもこの婚約は政略的に結ばれたものであり、恋愛感情が絡んだものでは一切無かった。
しかしオリヴィアは出会った瞬間から、ジークヴァルトに恋をしてしまった。
大切にして貰っているという自覚はあったが、それはあくまでも自分が婚約者という特別な権利を得たからだと思っていた。
婚約者としては認めてくれているけど、この恋心はオリヴィアの一方通行なのだとずっと思っていた。
そう思っていたからこそ、オリヴィアにとっては堪らないほどに嬉しかった。
今彼女の心を占めている感情は、信じられない気持ちと、嬉しい気持ちの半々なのだろう。
(ジーク様、わたしはあなたのことをずっとお慕いしております。これから先も……ずっと、ずっと……)
オリヴィアはその手紙をぎゅっと胸に押しつけながら、一時の幸せを噛みしめた。
***
そして夜会の当日。
オリヴィアはジークヴァルトが贈ってくれたドレス着て、いつもよりも大人っぽい雰囲気を出していた。
髪を纏めた方が更に大人の女性に見えるのかも知れないが、そこは敢えて下ろしてもらった。
普段のようにサイドを編んでもらい、後ろには宝物である蝶の髪飾りを付けていた。
装飾品や靴もドレスと一緒に彼が贈ってくれたので、それを身に付けた。
オリヴィアはジークヴァルトが迎えに来てくれるのを、胸を高鳴らせながら待っていた。
しかし、約束していた時間を過ぎても彼は一向に現れない。
(もしかして、準備に手間取っているのかしら……。まだ時間には余裕はあるし、大丈夫よね)
オリヴィアは時計を見て、心の中でそう呟く。
しかし一時間を過ぎても一向に現れる気配がない。
さすがに彼女も心配になり、自室から出て一階へと続く階段をゆっくりと下りていった。
そんな時、オリヴィアの父である公爵の怒鳴り声が邸内に響き渡る。
「ふざけるなっ……! 娘に恥をかかせるつもりか!」
「……申し訳ありません」
(お父様……?)
オリヴィアは不安を抱えながら、二人の方へと近づいていく。
普段温厚な公爵がここまで怒鳴り散らすなんて。
「どうされましたか?」
「……リヴィ……」
彼女が声をかけると、公爵は気まずそうに視線を逸らした。
公爵に怒鳴られていた者は見知った人間では無かったが、服装を見て王宮からの使者であるとすぐに分かった。
何か嫌な予感がする。
オリヴィアはその思いから不安そうな表情を浮かべる。
「オリヴィア様、申し訳ありません。本日、ジークヴァルト殿下はお迎えには来れなくなりました」
「……え?」
突然の言葉に、オリヴィアの表情は固まってしまう。
「全くふざけた真似を……」
公爵は苛立った態度を隠すこともせず、ぼそりと呟く。
婚約者がいる者は同伴して行くのが一般的だ。
もし一人で行くようなことがあれば、周囲からは変な目で見られることになるだろう。
しかもオリヴィアは王太子の婚約者であり、ただでさえ目立つ存在だ。
そんな彼女が一人で参加することとなれば、悪目立ちすることは避けられない。
公爵は、それを娘への侮辱と受け取ったのだろう。
「何か理由があるのですよね?」
オリヴィアは震えた声で使者に問いかけた。
「はい……。本日殿下はリーゼル・テレーゼ男爵令嬢の傍に付くことに急遽決まりました。ですので、まことに申し訳ないのですが、オリヴィア様にはお一人で会場まで来られるようにと、言伝を預かって……」
「リヴィ、行く必要はない」
隣で聞いていた公爵は、吐き捨てるようにそう言った。
「お父様……」
「行けばお前は格好の笑いものだ。一体何を考えているんだ。殿下も、陛下も……」
公爵は、また娘の心が傷付くことを心配して、オリヴィアの代わりに怒ってくれているのだろう。
彼女には父のその気持ちが良く分かっていた。
それに突然の状況に、オリヴィア自身も戸惑いが消えたわけではない。
こんなに直前になって言って来るのは、さすがに酷いとオリヴィアも思っていた。
だけど、ジークヴァルトはオリヴィアにこのドレスを贈ってくれた。
そして彼の気持ちをオリヴィアはしっかりと受け取った。
きっと彼だって、今日はオリヴィアと共に参加することを心待ちにしていたのだろう。
以前彼は言っていた。
今日の夜会でリーゼルが聖女であることを公表するのだと。
その理由があるから、今回こういったことになってしまったのだとオリヴィアは既に気付いていた。
そうだとしても、やっぱり悔しいものだ。
こんな裏切り方をされるなんて思いもしなかった。
オリヴィアは、取り決めた人間を恨みたい気持ちでいっぱいだった。
今日はきっと、この国にとっては特別な日になる。
オリヴィアはジークヴァルトの婚約者として、これから起こることをしっかりと見届けなければならない気がしていた。
それにジークヴァルトと心が繋がっているのだと思えば、きっと耐えられるはずだ。
(今までだって沢山耐えてきたのだから、今回だってきっと大丈夫なはずよ……)
オリヴィアは覚悟を決めると、深く息を吸い込んだ。
「わたし、行きます」
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