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第2話 魔王軍 最高幹部 四天王
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グランザと勇者の戦いの十数日前―――。
魔王城の一角に、四天王が集結するときに使われる部屋がある。
「魔天の間」と呼ばれるが、普段はほとんど使われることはない。
四天王が全員集まるような事態というのは、魔王軍にとって一大事なのだ。
だがその日はまさにその「一大事」だということだ。
大陸に君臨する魔族の王「魔王」、そしてその「魔王軍」。
その存在に盾突く、「勇者」が現れ、次々と魔族の陣営を打ち破り、ついに魔族の勢力地にまで迫ろうとしているのだ。
魔族と人間族の戦いは数百年前から続いている。
その中で、時々「勇者」と呼ばれる、人間族の強者が現れ、魔族に打撃を与えることがあった。
大抵の場合は、旅の途中で魔族にやられてしまうのだが、時折、魔族の勢力地までたどり着くほどの飛びぬけた実力者も現れる。
今回の勇者はどうだろうか。
少なくとも、魔王軍最高幹部である「四天王」に招集がかからざるを得ない事態になっているのは確かである。
今、魔天の間に四天王全員が集結していた。
千の敵を切り裂く『黒剣のグランザ』
死の風の厄災『緑光蝶のシルフィア』
命を操る錬金術師『赤命のファイレーン』
暴虐の破壊者『幻青のウォーバル』
人間族にそう恐れられる、最高戦力である。
「以上が勇者の情報です」
様々な情報、映像を表す魔術の球体を使い、魔王軍の部下が四天王に説明を終えた。
四天王は全員不遜な態度を取っている。
四天王の見た目はそれぞれ、人間族とほとんど変わらない。もともと魔族と人間族で見た目に大きな違いはない。
全員、黒いコートを着ている。魔王軍の軍服のようなものだ。
位の高いものの証として、白い縁取りが装飾としてしつらえられている。
「なるほど、確かに今までの雑魚勇者とは違うようですね。
領地を任せていた幹部たちでは勝てないのも仕方ないかも知れません」
赤命のファイレーン、長髪長身の女が眼鏡の位置を直しながらそう言った。
「しかし所詮は人間。私の敵ではありません」
「まあねー。確かにちょっと面白そうだけど。ボク達の誰かが行ったら簡単に終わっちゃうよね」
もう一人の女幹部、こちらは少女と言った風貌だが、
緑光蝶のシルフィアが、片手をパタパタさせながらそう言った。
「ハッ!そうだな。他の幹部がだらしないだけだ。あんな奴では俺の相手には不足だ」
銀の短髪で目をぎらぎらとさせた男、幻青のウォーバルはふんぞり返ってそう言った。
「ならば俺が行こうか」
黒剣のグランザが静かにそう言った。
シルフィアは面白そうにグランザの顔を覗き込んだ。
「へぇー。さすがグランザは真面目だね。
それともあの勇者に興味がある?」
「いや、そういう訳ではないが。しかし、勇者がわが魔王軍の本拠地まで迫っているなら、我々四天王から出るしかないだろう」
そう言ってグランザは立ち上がった。
「ハッ!お前がどうなろうが知ったことじゃないが、間違ってもヘマはするなよ?
四天王の名に傷をつけるわけにはいかないからな」
ウォーバルがそう言うと、グランザは一言、
「ああ」
とだけ言って部屋を出て行った。
「ちょっとは面白い戦いになるといいけどねー」
「馬鹿馬鹿しいですね。私は研究で忙しいのでこれで失礼します」
シルフィアとファイレーンがそう言って部屋から出て行った。
ウォーバルもそれに合わせて、その場から幻のように消えた。
残された魔王軍の部下は、四天王の頼もしさに安心しきっていた。
◆
そして一週間後・・・・
グランザ敗北の報告を受け、四天王の残りの三人は大パニックの中、緊急会議を開いていた。
魔王城の一角に、四天王が集結するときに使われる部屋がある。
「魔天の間」と呼ばれるが、普段はほとんど使われることはない。
四天王が全員集まるような事態というのは、魔王軍にとって一大事なのだ。
だがその日はまさにその「一大事」だということだ。
大陸に君臨する魔族の王「魔王」、そしてその「魔王軍」。
その存在に盾突く、「勇者」が現れ、次々と魔族の陣営を打ち破り、ついに魔族の勢力地にまで迫ろうとしているのだ。
魔族と人間族の戦いは数百年前から続いている。
その中で、時々「勇者」と呼ばれる、人間族の強者が現れ、魔族に打撃を与えることがあった。
大抵の場合は、旅の途中で魔族にやられてしまうのだが、時折、魔族の勢力地までたどり着くほどの飛びぬけた実力者も現れる。
今回の勇者はどうだろうか。
少なくとも、魔王軍最高幹部である「四天王」に招集がかからざるを得ない事態になっているのは確かである。
今、魔天の間に四天王全員が集結していた。
千の敵を切り裂く『黒剣のグランザ』
死の風の厄災『緑光蝶のシルフィア』
命を操る錬金術師『赤命のファイレーン』
暴虐の破壊者『幻青のウォーバル』
人間族にそう恐れられる、最高戦力である。
「以上が勇者の情報です」
様々な情報、映像を表す魔術の球体を使い、魔王軍の部下が四天王に説明を終えた。
四天王は全員不遜な態度を取っている。
四天王の見た目はそれぞれ、人間族とほとんど変わらない。もともと魔族と人間族で見た目に大きな違いはない。
全員、黒いコートを着ている。魔王軍の軍服のようなものだ。
位の高いものの証として、白い縁取りが装飾としてしつらえられている。
「なるほど、確かに今までの雑魚勇者とは違うようですね。
領地を任せていた幹部たちでは勝てないのも仕方ないかも知れません」
赤命のファイレーン、長髪長身の女が眼鏡の位置を直しながらそう言った。
「しかし所詮は人間。私の敵ではありません」
「まあねー。確かにちょっと面白そうだけど。ボク達の誰かが行ったら簡単に終わっちゃうよね」
もう一人の女幹部、こちらは少女と言った風貌だが、
緑光蝶のシルフィアが、片手をパタパタさせながらそう言った。
「ハッ!そうだな。他の幹部がだらしないだけだ。あんな奴では俺の相手には不足だ」
銀の短髪で目をぎらぎらとさせた男、幻青のウォーバルはふんぞり返ってそう言った。
「ならば俺が行こうか」
黒剣のグランザが静かにそう言った。
シルフィアは面白そうにグランザの顔を覗き込んだ。
「へぇー。さすがグランザは真面目だね。
それともあの勇者に興味がある?」
「いや、そういう訳ではないが。しかし、勇者がわが魔王軍の本拠地まで迫っているなら、我々四天王から出るしかないだろう」
そう言ってグランザは立ち上がった。
「ハッ!お前がどうなろうが知ったことじゃないが、間違ってもヘマはするなよ?
四天王の名に傷をつけるわけにはいかないからな」
ウォーバルがそう言うと、グランザは一言、
「ああ」
とだけ言って部屋を出て行った。
「ちょっとは面白い戦いになるといいけどねー」
「馬鹿馬鹿しいですね。私は研究で忙しいのでこれで失礼します」
シルフィアとファイレーンがそう言って部屋から出て行った。
ウォーバルもそれに合わせて、その場から幻のように消えた。
残された魔王軍の部下は、四天王の頼もしさに安心しきっていた。
◆
そして一週間後・・・・
グランザ敗北の報告を受け、四天王の残りの三人は大パニックの中、緊急会議を開いていた。
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