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第26話 裏切り者は誰だ
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(しくじった・・・)
シルフィアが明確にそう判断したのは、もう少しでファイレーンとウォーバルがいるはずの所、勇者との最終決戦場に着く、というところだった。
逃げながらなので、後ろの二人をコントロールすることは土台無理だったのだが、
仮面の剣士だけがついて来て、ライカの姿が見えなくなってしまった。
(ライカだけ置いていっちゃったのか)
もちろん、ライカにも着いてこられたらダメなのだが、ライカという邪魔する者がいなくなったことで、仮面の剣士の追跡が速くなった。
「くそっ!!!」
シルフィアは仮面の剣士に反撃しようとするが、しかし剣士の攻撃の方が速かった。
ドガァアア!!
衝撃を受け、シルフィアは反撃の力を失った。
そして仮面の剣士はシルフィアを担ぎ上げると、先へ・・・。
勇者との決戦場へと向かった。
そこには程なくしてたどり着いた。
ファイレーンとウォーバルがいた。
(よかった、無事か・・・)
仮面の剣士に担がれたまま、シルフィアはかろうじて二人の姿を視界に入れることができ、ひとまずは安堵した。
ドラゴンはいないようだ。
だが、結果的には、シルフィアはドラゴンよりも厄介な敵をこの場に連れてきてしまった。
(どうしよう)
シルフィアは傷を負っているし、結構きついのだが、頑張ればまだ戦えるつもりだ。
ファイレーンとウォーバルと、三人力を合わせれば・・・。
そんなことを考えていたが、ファイレーンとウォーバルの様子がおかしい。
ファイレーンの影にウォーバルが重なっているのでよく見えないが、
ウォーバルがファイレーンに刃を突き付けている・・・?
(なんで・・・?)
シルフィアの頭は次々に現れる疑問でいっぱいだった。
◆
「どういう・・・」
どういうことですか、ウォーバル。
と言おうとしたファイレーンだったが、その前にウォーバルが口を開いた。
「どういうつもりだ、ファイレーン・・・!!」
「え!?」
ファイレーンからすれば、それはまさに「こっちの台詞」だったが、
しかしウォーバルは真剣そのもの、怒りを込めたものだった。
「なぜお前のモンスターがシルフィアをあそこまで傷つけている!!
そこまでする必要は無いはずだ!
まさか、ドラゴンもお前の仕業か!?」
「ええ!?」
(え!?)
ファイレーンは声に出して、シルフィアは心の中でそう言った。
(え、このモンスターって、ファイレーンが作った奴だったの?)
シルフィアは引き続き心の中で・・・担がれているから声を出しにくいからだが・・・そう思ったが、図らずもファイレーンがその返事を答えてくれた。
「ち、違いますよ!私がドラゴンなんて冗談でも作るわけないじゃないですか!
それに、あんなモンスター私は作ってません!知らない奴です!」
あんな、とは仮面の剣士のことだ。
(そうだよね。こんな強いモンスターはファイレーンでも作れないよね。
でもボクも最初はファイレーンのモンスターだと思ったもんな。
ウォーバルがそう思っても仕方ないか・・・?)
シルフィアは担がれたままそう思った。
しかしそろそろきつくなってきたので降ろしてほしいのだが、仮面の剣士は動かない。
ファイレーンとウォーバルの動向を伺っているのだろうか。
「ハッ!どうだかな。そもそも最初から怪しかったんじゃないか?
この迷宮での準備も全部ファイレーンがやってたし、
お前ならドラゴンを模したモンスターを作って操れてもおかしくない。
一体何を企んでるんだ!!」
「なっ・・・!」
ファイレーンは首筋に刃を立てられたまま、その首筋に血管が浮き出らんばかりに気色ばんだ。
続いてファイレーンの口から出た言葉には、彼女にしては珍しく本気の怒りが込められていた。
「ひどい!!
頑張って殆ど一人で準備してたのに!!ひどいじゃないですか!!
徹夜で頑張ったのに!!ワンオペで!」
ウォーバルはファイレーンの予想外の反応に・・・・主に徹夜で頑張ったのに、の辺りの迫力に、若干気おされているようだ。
「大体怪しいって言うんなら、ウォーバルの方こそ、作戦前なのに私の前らか消えてコソコソウロウロしてたじゃないですか!」
「・・・!」
予想外の反撃だったようだ。しかしウォーバルは即座に反論した。
「あれは!お前が裏切って俺たちに向けた罠でも仕掛けているんじゃないかと思って、見回りしていただけだ!!」
「そ、そんなに信用してなかったんですか!?ひどい!最低!」
ファイレーンはウォーバルの方を向き直って、
つまり仮面の剣士とシルフィアには背を向けて、
ウォーバルと顔を突き合わせて反論・・・いや、これはもはやケンカか、
を続行した。
「大体この一連の作戦を考えたのは全部お前じゃないか!
お前が俺たちを裏切ろうとしていたのなら、全部お前の掌の上ってことも可能だろう!
この状況に誘導するために、あんな、妙におかしな作戦ばかりになったんじゃないのか!」
「妙!?おかしな!?この作戦をそんな風に思ってたんですか!?
あんまりじゃないですか!
みんなのために一生懸命考えたのにーー!!」
(変な作戦だと思ってたんだ。ボクもだよ、ウォーバル)
シルフィアは思わず同意してしまった。
しかしファイレーンは本気で憤慨しているように見える。
「大体なんですか!
四天王の三人しかいないと思って、みんなのキャラ付けや演出を一人で頑張って考えたのに!
勝手に知らない新キャラが出てきて!
グリーズとか言う嫌味な優男が出てきただけでも頭を抱えたのに、
今この場になって、何かカッコいい仮面の謎の剣士とか!
そんなキャラがいると知ってたら、私だって自分で使いたかったですよ!」
段々何に対して怒っているか分からなくなってきた。
ウォーバルもどう反論すればいいか、困っているようだ。
もはや収拾がつかなくなって、シルフィアは色々なことを諦めた。
取り合えず、仮面の剣士がいきなり暴れださないように、自分だけは注意を払っておこう、と、ケンカしている同僚二人のためにそう思った。
だがその時・・・・。
考えてみれば、この場に登場しても全くおかしくない来訪者が現れた。
ドガァァアアン!!!
音がして――――たぶん通路の途中の瓦礫を吹き飛ばしたのだろう―――
すぐに勇者が飛び出してきた。
「オラァ!!デカい声出しやがって!!!
おかげでようやく見つけられたぜ!!」
ライカは現れざまに剣を振りかざし、仮面の剣士に突き付けた。
仮面の剣士もシルフィアを抱えたまま勇者の方に剣を向け、お互い剣を突き付けた状態で一度停止した。
ファイレーンもそちらを振り返る。
ウォーバルも、ファイレーンに突き付けた刃はそのままだが、ライカの方を警戒した。
取り合えずその状態で、全員動きが止まった。
ライカは先ほどの勢いのまま続ける。
「テメェら!よくもシアを誘拐しやがったな!
オレを生贄にしたいなら、最初から俺だけを狙いやがれ!
この卑怯者が!!」
ライカのその怒声に、シルフィアもファイレーンも目をぱちくりさせてしまった。
最初に冷静に分析したのはシルフィアだった。
(なるほど、ライカから見たら、
ボクが魔王軍のモンスターにさらわれて、四天王がいる場所に連れてこられたのを助けに来た、
って状況になるのか)
つまり、図らずとも最初の作戦通りの状況になっているわけだ。
だがライカも、この状況がおかしなことにようやく気付いた。
特に大きいところは、四天王のウォーバルが四天王のファイレーンに刃を突きつけているところだ。
仮面の剣士とライカが剣を突き合わせ、
仮面の剣士がシルフィアを抱え上げ、
ウォーバルがファイレーンに刃を突きつける。
「テメェら!どういう状況だ!?」
ライカがさらに怒号を上げた。
しかしそれは、シルフィアもファイレーンもウォーバルも、
皆思っていたことだった。
シルフィアが明確にそう判断したのは、もう少しでファイレーンとウォーバルがいるはずの所、勇者との最終決戦場に着く、というところだった。
逃げながらなので、後ろの二人をコントロールすることは土台無理だったのだが、
仮面の剣士だけがついて来て、ライカの姿が見えなくなってしまった。
(ライカだけ置いていっちゃったのか)
もちろん、ライカにも着いてこられたらダメなのだが、ライカという邪魔する者がいなくなったことで、仮面の剣士の追跡が速くなった。
「くそっ!!!」
シルフィアは仮面の剣士に反撃しようとするが、しかし剣士の攻撃の方が速かった。
ドガァアア!!
衝撃を受け、シルフィアは反撃の力を失った。
そして仮面の剣士はシルフィアを担ぎ上げると、先へ・・・。
勇者との決戦場へと向かった。
そこには程なくしてたどり着いた。
ファイレーンとウォーバルがいた。
(よかった、無事か・・・)
仮面の剣士に担がれたまま、シルフィアはかろうじて二人の姿を視界に入れることができ、ひとまずは安堵した。
ドラゴンはいないようだ。
だが、結果的には、シルフィアはドラゴンよりも厄介な敵をこの場に連れてきてしまった。
(どうしよう)
シルフィアは傷を負っているし、結構きついのだが、頑張ればまだ戦えるつもりだ。
ファイレーンとウォーバルと、三人力を合わせれば・・・。
そんなことを考えていたが、ファイレーンとウォーバルの様子がおかしい。
ファイレーンの影にウォーバルが重なっているのでよく見えないが、
ウォーバルがファイレーンに刃を突き付けている・・・?
(なんで・・・?)
シルフィアの頭は次々に現れる疑問でいっぱいだった。
◆
「どういう・・・」
どういうことですか、ウォーバル。
と言おうとしたファイレーンだったが、その前にウォーバルが口を開いた。
「どういうつもりだ、ファイレーン・・・!!」
「え!?」
ファイレーンからすれば、それはまさに「こっちの台詞」だったが、
しかしウォーバルは真剣そのもの、怒りを込めたものだった。
「なぜお前のモンスターがシルフィアをあそこまで傷つけている!!
そこまでする必要は無いはずだ!
まさか、ドラゴンもお前の仕業か!?」
「ええ!?」
(え!?)
ファイレーンは声に出して、シルフィアは心の中でそう言った。
(え、このモンスターって、ファイレーンが作った奴だったの?)
シルフィアは引き続き心の中で・・・担がれているから声を出しにくいからだが・・・そう思ったが、図らずもファイレーンがその返事を答えてくれた。
「ち、違いますよ!私がドラゴンなんて冗談でも作るわけないじゃないですか!
それに、あんなモンスター私は作ってません!知らない奴です!」
あんな、とは仮面の剣士のことだ。
(そうだよね。こんな強いモンスターはファイレーンでも作れないよね。
でもボクも最初はファイレーンのモンスターだと思ったもんな。
ウォーバルがそう思っても仕方ないか・・・?)
シルフィアは担がれたままそう思った。
しかしそろそろきつくなってきたので降ろしてほしいのだが、仮面の剣士は動かない。
ファイレーンとウォーバルの動向を伺っているのだろうか。
「ハッ!どうだかな。そもそも最初から怪しかったんじゃないか?
この迷宮での準備も全部ファイレーンがやってたし、
お前ならドラゴンを模したモンスターを作って操れてもおかしくない。
一体何を企んでるんだ!!」
「なっ・・・!」
ファイレーンは首筋に刃を立てられたまま、その首筋に血管が浮き出らんばかりに気色ばんだ。
続いてファイレーンの口から出た言葉には、彼女にしては珍しく本気の怒りが込められていた。
「ひどい!!
頑張って殆ど一人で準備してたのに!!ひどいじゃないですか!!
徹夜で頑張ったのに!!ワンオペで!」
ウォーバルはファイレーンの予想外の反応に・・・・主に徹夜で頑張ったのに、の辺りの迫力に、若干気おされているようだ。
「大体怪しいって言うんなら、ウォーバルの方こそ、作戦前なのに私の前らか消えてコソコソウロウロしてたじゃないですか!」
「・・・!」
予想外の反撃だったようだ。しかしウォーバルは即座に反論した。
「あれは!お前が裏切って俺たちに向けた罠でも仕掛けているんじゃないかと思って、見回りしていただけだ!!」
「そ、そんなに信用してなかったんですか!?ひどい!最低!」
ファイレーンはウォーバルの方を向き直って、
つまり仮面の剣士とシルフィアには背を向けて、
ウォーバルと顔を突き合わせて反論・・・いや、これはもはやケンカか、
を続行した。
「大体この一連の作戦を考えたのは全部お前じゃないか!
お前が俺たちを裏切ろうとしていたのなら、全部お前の掌の上ってことも可能だろう!
この状況に誘導するために、あんな、妙におかしな作戦ばかりになったんじゃないのか!」
「妙!?おかしな!?この作戦をそんな風に思ってたんですか!?
あんまりじゃないですか!
みんなのために一生懸命考えたのにーー!!」
(変な作戦だと思ってたんだ。ボクもだよ、ウォーバル)
シルフィアは思わず同意してしまった。
しかしファイレーンは本気で憤慨しているように見える。
「大体なんですか!
四天王の三人しかいないと思って、みんなのキャラ付けや演出を一人で頑張って考えたのに!
勝手に知らない新キャラが出てきて!
グリーズとか言う嫌味な優男が出てきただけでも頭を抱えたのに、
今この場になって、何かカッコいい仮面の謎の剣士とか!
そんなキャラがいると知ってたら、私だって自分で使いたかったですよ!」
段々何に対して怒っているか分からなくなってきた。
ウォーバルもどう反論すればいいか、困っているようだ。
もはや収拾がつかなくなって、シルフィアは色々なことを諦めた。
取り合えず、仮面の剣士がいきなり暴れださないように、自分だけは注意を払っておこう、と、ケンカしている同僚二人のためにそう思った。
だがその時・・・・。
考えてみれば、この場に登場しても全くおかしくない来訪者が現れた。
ドガァァアアン!!!
音がして――――たぶん通路の途中の瓦礫を吹き飛ばしたのだろう―――
すぐに勇者が飛び出してきた。
「オラァ!!デカい声出しやがって!!!
おかげでようやく見つけられたぜ!!」
ライカは現れざまに剣を振りかざし、仮面の剣士に突き付けた。
仮面の剣士もシルフィアを抱えたまま勇者の方に剣を向け、お互い剣を突き付けた状態で一度停止した。
ファイレーンもそちらを振り返る。
ウォーバルも、ファイレーンに突き付けた刃はそのままだが、ライカの方を警戒した。
取り合えずその状態で、全員動きが止まった。
ライカは先ほどの勢いのまま続ける。
「テメェら!よくもシアを誘拐しやがったな!
オレを生贄にしたいなら、最初から俺だけを狙いやがれ!
この卑怯者が!!」
ライカのその怒声に、シルフィアもファイレーンも目をぱちくりさせてしまった。
最初に冷静に分析したのはシルフィアだった。
(なるほど、ライカから見たら、
ボクが魔王軍のモンスターにさらわれて、四天王がいる場所に連れてこられたのを助けに来た、
って状況になるのか)
つまり、図らずとも最初の作戦通りの状況になっているわけだ。
だがライカも、この状況がおかしなことにようやく気付いた。
特に大きいところは、四天王のウォーバルが四天王のファイレーンに刃を突きつけているところだ。
仮面の剣士とライカが剣を突き合わせ、
仮面の剣士がシルフィアを抱え上げ、
ウォーバルがファイレーンに刃を突きつける。
「テメェら!どういう状況だ!?」
ライカがさらに怒号を上げた。
しかしそれは、シルフィアもファイレーンもウォーバルも、
皆思っていたことだった。
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