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第三章 王立学校
誕生と崩壊
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時は流れ、俺とリーリヤの間には子供が産まれた。吸血鬼と人間のハーフなど前代未聞だが、獣人と人間の混血は存在するので大丈夫だと確信はあった。
そうして誕生したリーメアは母に似て、自由奔放な子だった。使用人にちょっかいをかけたり、外で探険まがいなことをしたりと、とにかく元気の有り余るような子供であった。
俺から受け継いだ魔法の才と魔力量も顕著に現れ、二人の愛情を受け健やかに育っていった。
リーリヤがいて、メアがいて、この時が人生で最高潮だっただろう。しかし、その幸せはメアが12歳になる時に突然崩壊を始めた。
「フリード君! メアが!」
いつも通り自室にいると、血相を変えたリーリヤが部屋に飛び込んで来た。そのただならぬ様子にザワつく心を抑え、メアの元に急いだ。
「これは……」
メアは吐血をし、胸を押さえて呻き声を上げていた。顔は青白くなり、呼吸もままならない。この症状、見覚えがある。
「吸血衝動か?」
吸血鬼には吸血衝動というものがある。その名の通り、血を吸いたくなるというものだが、これを放置したままにしておくと欲に溺れ、本能のままに動く怪物と化してしまう。
そうなる兆候として、倦怠感や発熱、場合によっては今のメアのように吐血をすることもある。もっとも、ここまで酷い症状は初めて見たのだが。
基本的に発現は六歳の頃に起こるのだが、メアはハーフだ。それがきっと発現を遅らせたのだろう。
「血だ、血を持ってこい! 早くしろ!」
近くにいた使用人に呼びかけ、急いで人間の血のストックを取りにいかせる。その間、治癒魔法をかけ続けなんとかもたせた。
「持ってきました!」
小瓶に入った人の血を受け取り、それをゆっくりとメアに飲ませる。飲んでなんとかなる、そう思っていた矢先、
「……う、うぅぅぅぅ……」
「どうした!?」
血を飲んだ瞬間、突如メアが苦しみだす。先程の様子とはまた違う、原因はこの血か?
「くっ……どうすれば……」
「私の血ならどう!?」
リーリヤが指を切り、血を垂らす。別の血なら平気かもしれない。そう思い、メアにそれを吸わせた。
すると、途端に顔色が良くなり、急を凌ぐことができた。しかし、今度は入れ替わりでリーリヤが倒れる。
「……!? おい、リーリヤ! しっかりしろ!」
まるで呪いにでもかかったかのように痛みに喘ぎ、苦悶の表情を浮かべている。その苦しむ姿に心が締め付けられ、焦りがひたすらに募った。
「メアの吸血が原因か……?」
結局この時は何もわからず、時間による回復に頼るしかなかった。
▷▶▷
その出来事の後、色々と分かってきた。
まず第一に、メアが人から直接血を吸うと、その人間は衰弱しきってしまう。そのため、この方法は使えない。
次に、普通の吸血鬼のように、間接的に血を摂取することも何故か不可能だ。これはモノを変えても特に意味がなかったので、間違いない。
なので急遽、血を吸わなくても大丈夫なように術式を組んだ。メアの魔力を全て代償に組み上げた術式、こうでもしないとまず本能を従えるのは不可能だ。
だが、成長と共にそれで抑えるのは困難になるだろう。もって数年、大体メアが二十歳になる頃までがタイムリミットだ。
そして、そのせいでメアは外に出ることも叶わなくなってしまった。太陽の光に弱い吸血鬼は、魔力という防護壁を纏っている。それが使えなくなったものだから、陽の光を浴びるだけで体が燃えてしまう。
打てる手段がもうない。俺の『アレ』もこういったものには応用が利かない。正真正銘詰みだ。
「いや……」
ここで一つの考えが浮かぶ。これは禁じ手だ、でも俺なら実現できる。立場的にも、気持ち的にも、どう考えても悪手なのに、これしか方法がない。ならば、やるしかないのではないだろうか。
「……人間を……この手で支配する」
どす黒い感情が湧き上がり、それを受け入れようとしたその時、
「……フリード君。話があるんだ———」
その言葉から始まる、とある提案。俺は後に、この時の事を深く後悔することになる。
そうして誕生したリーメアは母に似て、自由奔放な子だった。使用人にちょっかいをかけたり、外で探険まがいなことをしたりと、とにかく元気の有り余るような子供であった。
俺から受け継いだ魔法の才と魔力量も顕著に現れ、二人の愛情を受け健やかに育っていった。
リーリヤがいて、メアがいて、この時が人生で最高潮だっただろう。しかし、その幸せはメアが12歳になる時に突然崩壊を始めた。
「フリード君! メアが!」
いつも通り自室にいると、血相を変えたリーリヤが部屋に飛び込んで来た。そのただならぬ様子にザワつく心を抑え、メアの元に急いだ。
「これは……」
メアは吐血をし、胸を押さえて呻き声を上げていた。顔は青白くなり、呼吸もままならない。この症状、見覚えがある。
「吸血衝動か?」
吸血鬼には吸血衝動というものがある。その名の通り、血を吸いたくなるというものだが、これを放置したままにしておくと欲に溺れ、本能のままに動く怪物と化してしまう。
そうなる兆候として、倦怠感や発熱、場合によっては今のメアのように吐血をすることもある。もっとも、ここまで酷い症状は初めて見たのだが。
基本的に発現は六歳の頃に起こるのだが、メアはハーフだ。それがきっと発現を遅らせたのだろう。
「血だ、血を持ってこい! 早くしろ!」
近くにいた使用人に呼びかけ、急いで人間の血のストックを取りにいかせる。その間、治癒魔法をかけ続けなんとかもたせた。
「持ってきました!」
小瓶に入った人の血を受け取り、それをゆっくりとメアに飲ませる。飲んでなんとかなる、そう思っていた矢先、
「……う、うぅぅぅぅ……」
「どうした!?」
血を飲んだ瞬間、突如メアが苦しみだす。先程の様子とはまた違う、原因はこの血か?
「くっ……どうすれば……」
「私の血ならどう!?」
リーリヤが指を切り、血を垂らす。別の血なら平気かもしれない。そう思い、メアにそれを吸わせた。
すると、途端に顔色が良くなり、急を凌ぐことができた。しかし、今度は入れ替わりでリーリヤが倒れる。
「……!? おい、リーリヤ! しっかりしろ!」
まるで呪いにでもかかったかのように痛みに喘ぎ、苦悶の表情を浮かべている。その苦しむ姿に心が締め付けられ、焦りがひたすらに募った。
「メアの吸血が原因か……?」
結局この時は何もわからず、時間による回復に頼るしかなかった。
▷▶▷
その出来事の後、色々と分かってきた。
まず第一に、メアが人から直接血を吸うと、その人間は衰弱しきってしまう。そのため、この方法は使えない。
次に、普通の吸血鬼のように、間接的に血を摂取することも何故か不可能だ。これはモノを変えても特に意味がなかったので、間違いない。
なので急遽、血を吸わなくても大丈夫なように術式を組んだ。メアの魔力を全て代償に組み上げた術式、こうでもしないとまず本能を従えるのは不可能だ。
だが、成長と共にそれで抑えるのは困難になるだろう。もって数年、大体メアが二十歳になる頃までがタイムリミットだ。
そして、そのせいでメアは外に出ることも叶わなくなってしまった。太陽の光に弱い吸血鬼は、魔力という防護壁を纏っている。それが使えなくなったものだから、陽の光を浴びるだけで体が燃えてしまう。
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「いや……」
ここで一つの考えが浮かぶ。これは禁じ手だ、でも俺なら実現できる。立場的にも、気持ち的にも、どう考えても悪手なのに、これしか方法がない。ならば、やるしかないのではないだろうか。
「……人間を……この手で支配する」
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