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33 勇者一行+夏+俺=店舗拡張?
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アクレシアは二日酔いのまま帰っていき、今度は知り合いと飲みに来るって言ってた。
調子に乗って空けたカミュ キュヴェの被害総額が白金貨1枚で済まなかった事に衝撃を受けつつ、営業に戻っている。
いや~、アクレシアは果物酒しか飲んでないのを知ってるから、やらかしたのは完全に俺だ・・・はっはっはっ、もう笑うしかないわ。
一晩で、それも仕入れ値で200万円とか無いわぁ・・・
自己嫌悪してる暇があったら仕事すっかな。
さて、以前から考えてたのだが、店でチューハイやサワー系も出していく準備を始める事にする。
ちなみにチューハイっていうのは焼酎ハイボールの略で、炭酸水+焼酎+ソフトドリンク
サワーっていうのは、酸味のある果汁+蒸留酒+炭酸水+砂糖(もしくはシロップ)で作るわけだ。
似ているが厳密にいえば違う物である。
サワーの方は焼酎に限らず、ウォッカやジン、ウィスキーなんかも使われる。
チューハイは焼酎限定だ。そりゃそうだろう焼酎ハイボールだからな!
余談だがカルピスサワーなんてものがあるが、あれは名称が定着してるだけで厳密にいえばサワーではない事を知識として覚えておこう。
そんなわけで、最近暑くなってきたし、この辺りも売れるだろうと判断した。
夏の出張出店はこれと生ビールで行こうと決めてる。
今日の所は、仕入れの安い甲類焼酎を使うわけだが、今回は俺の好みで宝酒造の『純』をセレクト
ガツンと鼻に来る強めなアルコール臭と飲んだらキリっと辛口という通好みの焼酎だ。
サワー系に用意するのは、レモン、グレープフルーツ、ライム、梅酢
チューハイのソフトドリンクは適当にペットボトルで出すから考えなくていい。
銅貨5枚という格安で販売する。
そうすれば客も来やすくなってくれるだろうと期待してる。
アルコール濃度も10%くらいなので女性でも飲みやすい・・・この世界だと女性も普通に強い酒を当たり前のように飲むんだが、それはまぁ好みって事で。
フィリアンとケインに味見を頼む
「確かに飲みやすくて美味しいです。若い女性に人気が出そうですね」
「シュワシュワが気持ちいいね、美味しいよ」
フィリアンとケインからもOKが出ました。
なので自信をもって提供できる!できれば、エルディラント伯爵家の次女アーリア様を中心に若い女性に広めていければと思ってる。
招待状を出すのに商業ギルドのSランクという肩書がこれほどありがたく感じたのは初めての事だ。
早速アーリア様宛に試飲会の招待状をしたためる。
『ご都合のいい日で大丈夫です、是非多数のご友人をお誘い頂けたら幸いです』という一文は加えてある。
これだけで頭のいいアーリア様はわかってくれるだろう。
俺は業務用の生ビール・チューハイディスペンサーを設置する
これで手間を一気に省ける!
フィリアンに使い方を説明し何回か作らせてみる。
元々簡単にできる物だからあっさりと習得した。
まぁ、ビールの注ぎ方はまだまだだな・・・
ある程度の準備が整った所でハンティにお使いを頼む
「ハンティ、商業ギルドにこの手紙をエルディラント伯爵家のアーリア様に届けるように依頼を出してきて」
俺はハンティに手紙と銀貨を一枚持たせる
「わっかりましたぁ!」
「配達料の残りで買い食いして来てもいいよ」
そう言って送り出した。
さ~て、面白くなってきたぞぉ
俺は嬉々として店内の飾りつけに入るのだった。
数日後、アーリア様から返事が届く。
『真っ先にわたくしに声を掛けて頂いた事嬉しく思います。気が早いですが次のルナの日にお伺いいたしますわ』って内容だ。
3日後か、さっさと売り始めたい俺は大歓迎だ!
今回は大サービスだ!つまみも大量に用意しようと心に決め、作り置きを始める。
チューハイは意外とどんなつまみも合う。だからこその居酒屋チョイスだ。
唐揚げ、ギョーザ、フライドポテト、野菜スティックとマヨネーズ、ゴマソース
串カツ、豚の冷しゃぶ、エビチリなんかを思いつくまま作ってインベントリに入れていく。
摘まみながら作ってると楽しくなってくる。
フィリアンに味見をさせながら細々と15品くらい作った。
「ハル様、御機嫌ですね」
「あぁ、なんか最近暗かったから、こんな時こそはっちゃけなきゃ」
満面の笑顔でフィリアンと話す
「そうですね、店が一気に明るくなった気がします」
真面目だなぁ・・・そこが可愛いんだが。
こんなとこ勇者に見られたら宴会が始まるぞ・・・
ヤバッこれフラグだ
「そうだねハル、これは宴会をしなくては」
しまった、カズキか!?
「いつから見てた?」
ニヤニヤと笑いながら俺を指さし
「ギョーザを自作してる辺りからだ!ハーッハッハッハッ」
真ドヤァといった表情で高笑いしてくれた・・・殴ってもいいですか?割と本心で
「美味しそうな居酒屋メニューではないか!生ビールとウーロンハイが鉄板だろ!」
「ハルさん、ゴチになります」
「俺も生中ね」
賢者!剣聖!一緒だったのか、やれやれだ
見つかったのが運の尽きか、リハーサルも兼ねて食わせてやるよ!
そうして俺は厨房に戻り、ひたすらつまみを作っていく。
久しぶりの居酒屋メニューに舌鼓を打つ勇者一行
俺とフィリアン、ハンティもその輪に加わり飲み食いを楽しんだ
「そうそうハル、やっとポーションショップの準備が整ったぞ」
カズキからの突然の報告、結構時間が掛かったな・・・
「店員は大丈夫なのか?」
「あぁ、借金奴隷ちゃんを2人ハルの名前で登録してある。レベリングもしたし大丈夫だ」
至れり尽くせりですな。
「フェルの工房から運び出せば明日からでも始められるぞ」
「カズキの方からフェルに言っておいてくれ、その方が言う事を聞く」
とりあえず投げる、責任者って事で一度は見に行かなきゃだが、今はいい
「農園も順調だし安定供給できそうだよ」
賢者も楽しそうに言う
「そこでハルに頼みがあるんだが」
「断る」
申し訳なさそうに言うカズキだったが面倒!即!斬!だ
「まだ何も言ってないんだがな」
「悪いがこれ以上俺に仕事をさせないでくれ」
むぅっと一瞬黙るが勝手に話を続けようとする
「夏場だけでもビアガーデンやらないか?」
無茶振りキタコレ、ふざけてるのか?
「やらねーよ!面倒見切れん!」
これならどうだ!と勝ち誇った笑みでカズキは続ける
「じゃぁ、俺達がやるから機材の手配を」
「商売敵を増やす気はねーよ」
俺はお客様がミスルトウに来て欲しいの!転売卸の売り上げなんて期待してないの
「残念だなぁ、チューハイとかこの店で捌ききれなくなると思うんだが」
「俺の身体は一つしかねーんだよ!」
そしたらトドメを刺しに来やがった・・・
「百歩譲ってこの店拡張しよう」
ォィォィ.....
「もう少し従業員入れて1階はこのままの感じで、2階と屋上はテーブル席オンリーで固定メニュー」
「さすがカズキ!いいアイディアだね」
「それならハルの負担も少なくね?」
お前ら・・・
「一等地を地上げしなきゃ」
どこのヤクザだ・・・
「住居スペースは3階に作ればOKじゃない?」
引っ越しもかよ・・・
「店ができたらハルに移動してもらって」
「社員寮とか近くにあるからここは便利なんだが」
「大丈夫!長屋ごと移動するから」
このチート野郎!どんだけだよ・・・
「外側は魔法建築でいいから内装だけドワーフ入れて」
「「イイネ!」」
俺を無視して話が進んでいく・・・
「ポーションの利益で返してもらえばいいからハルは出費無いよ」
そういう問題じゃないよね・・・君達・・・
久しぶりの暴走勇者だな、そう来るなら、
「従業員は奴隷子ちゃん5人でレベリングと購入費」
「「「余裕っす!面積も倍くらいでOK」」」
面積倍って、俺の苦労を考えてないな・・・
「各階と屋上のエレベーター必須」
できる限りの無茶を言って抵抗してみる
「なんとかする、俺に任せろ」
賢者は余裕の表情だ・・・
「社員寮の工事もまだ終わってないのにできるのか?」
「大丈夫だろ?それごと移転するから」
賢者のセリフに思う、チートここに極まれり
「全部揃ったら教えてくれ・・・」
勇者達の勢いに完全敗北した俺だった。
後から聞いた話だが、この店舗拡張は、この前の病気蔓延の時の俺への褒章だったらしい。
デュオラント様、フォーセリア公爵、ハインデル様が出資するという。
ソーマが手に入らないから強引に褒章を出した形か・・・
店よりソーマくれよぉぉぉぉって心の中で叫んだ俺だった。
そして三日後
アーリア様達がミスルトウに来てくれました。
「本日はお招きに預かりありがとうございますわ」
「こちらこそ御足労願いまして申し訳ありません。」
といった感じの定型文で挨拶が進み、俺達はお嬢様方を席に案内する。
お嬢様方のお話はマシンガンのようです
「今日はとても楽しみでしたわ」
「私もです、急なお誘いでしたがミスルトウの新作と聞いては居ても立ってもいられませんでしたわ」
「本当に、先の疫病の波を食い止めたのもハルヒト様と聞きましたわ」
「まぁ!爵位が貰えてもおかしくないのではなくって?」
「お断りになられたそうよ、欲の無いお方ですわね」
面倒が嫌いなだけです
「コホン、え~っと、本日はミスルトウの新作試食試飲会に来ていただき本当にありがとうございます。若くて綺麗な女性の心を掴めるお酒をという事でお集まりいただきました。どうぞお心のままに感想をお聞かせいただけたら幸いでございます。」
長い前口上からお酒と料理を運び始める。
うん、これをやるには手狭だな、拡張の話は渡りに船だったかもしれない
そう思いながら一杯目の説明に入る
「こちらのお酒はレモンサワーと申します、酸味の強い果物を生かす飲みやすいお酒となっております。並んでる料理はお好きな物を好きなだけご自身でお取りくださいませ」
あくまで試食会だ、格式に拘る必要は無い。
アーリア様がエビチリに手を伸ばすと他の方々もそれぞれ料理に手を伸ばし始めた。
「舌の上で弾ける感じと爽やかな果物で酒精がそれほど感じられませんわ」
「この小麦の皮で包まれた料理に合いますわね」
好評になるのはわかってる、ここから広がってくれればいいのだ
コークハイやウーロンハイなどを交えつつ紹介していく。
一杯当たりの量はそれほど多くしなかったから次々と紹介していける
「そういえば、大通りの一角が領主様によって召し上げられたとか聞きましたわ」
・・・まさか、俺の店か?強引な手で買い上げたのか?
「伺ってますわ、なんでもこちらのお店の店舗拡張と聞いてますわ」
やっぱりか・・・
「でも、もう新しい建物が建ってるらしいですわよ」
賢者のチート半端ないな・・・
「お店が広くなったらダンスとかもできるかしら?」
拡張面積は聞いてません、少なくともお茶会をするのに問題なくなると思う
「そうなったら楽しいですわね!」
そりゃぁ楽しいでしょう、貴女方は・・・
どう考えても俺の方は『心労マシ苦労マシマシ脂汗つらめ』だ、なんかいい感じにG系の呪文みたいになったな
流行を広めるには貴族からっていうのを実践しようとこの催しを企画したんだが、
手応えありって感じだ!
お嬢様方は気に入ったチューハイやサワーを次々とおかわりしていく
ツマミの方も減りが早い
「このように自分で取り分けるのは楽しいですわね」
「庶民スタイルなのかしら?この方式は同席の方との親近感が増しますわ」
ふむ、こっちも意味でも好評だ、これは予想外
「ハルヒト様、本日はデザートのご用意はあるのかしら?」
お茶会に毎回来てくれてるお嬢様が聞いてくる。
「勿論御用意ございますよ、食事の方もいい感じに進んでますので、そろそろお持ちいたしましょうか?」
「えぇ!是非!」
満面の笑みで言ってくれた
今日のデザートはストロベリーシャーベットとチョコジェラートだ
綺麗に盛り合わせてお出しする
「お待たせいたしました、デザートのストロベリーシャーベットとチョコジェラートでございます」
そう名前だけ告げて配っていく。
「「「冷たくて甘いですわ!」」」
そりゃそうだ、大概のアイスは冷たくて甘いものだ・・・
こうしてデザートまで満足いただけたのを確認して試食会は終了となった。
来てくれたお礼という事でお土産にガトーショコラを持たせる。
「新作の宣伝よろしくお願いいたします。」
ストレートに言う俺、ここは商売人の顔である。
「お任せくださいな、私もまた来させていただきますわ」
「拡張後も楽しみにしております」
「ほんとうに美味しかったですわ」
「ご馳走様でした、これなら知り合いに自信を持ってお勧めできますわ」
「また新作ができたら呼んでくださいませ」
ってな感じで終了した。
入れ替わりで30人ものお嬢様を急に集めてくださったアーリア様にはガトーショコラに加え果実酒とエルディラント伯爵にとカミュ キュヴェをお礼に持たせる
「本日はありがとうございました。移転が済みましたらお茶会もやりやすくなると思います。今後とも御贔屓によろしくお願いいたします。」
格式ばった礼をするとアーリア様が満面の笑みで嬉しそうに
「ハル様のお役に立てて何よりでした、と~~~っても美味しかったですわ、またよろしくね」
酔ってるのか、若干言葉が崩れてるアーリア様でした。
試食会で聞いた思いがけない勇者達と領主の行動に溜息をつく
わずか3日で地上げを済ませ、建物ができるって、どう考えてもおかしいよね・・・
俺の感覚狂ってないよね・・・
調子に乗って空けたカミュ キュヴェの被害総額が白金貨1枚で済まなかった事に衝撃を受けつつ、営業に戻っている。
いや~、アクレシアは果物酒しか飲んでないのを知ってるから、やらかしたのは完全に俺だ・・・はっはっはっ、もう笑うしかないわ。
一晩で、それも仕入れ値で200万円とか無いわぁ・・・
自己嫌悪してる暇があったら仕事すっかな。
さて、以前から考えてたのだが、店でチューハイやサワー系も出していく準備を始める事にする。
ちなみにチューハイっていうのは焼酎ハイボールの略で、炭酸水+焼酎+ソフトドリンク
サワーっていうのは、酸味のある果汁+蒸留酒+炭酸水+砂糖(もしくはシロップ)で作るわけだ。
似ているが厳密にいえば違う物である。
サワーの方は焼酎に限らず、ウォッカやジン、ウィスキーなんかも使われる。
チューハイは焼酎限定だ。そりゃそうだろう焼酎ハイボールだからな!
余談だがカルピスサワーなんてものがあるが、あれは名称が定着してるだけで厳密にいえばサワーではない事を知識として覚えておこう。
そんなわけで、最近暑くなってきたし、この辺りも売れるだろうと判断した。
夏の出張出店はこれと生ビールで行こうと決めてる。
今日の所は、仕入れの安い甲類焼酎を使うわけだが、今回は俺の好みで宝酒造の『純』をセレクト
ガツンと鼻に来る強めなアルコール臭と飲んだらキリっと辛口という通好みの焼酎だ。
サワー系に用意するのは、レモン、グレープフルーツ、ライム、梅酢
チューハイのソフトドリンクは適当にペットボトルで出すから考えなくていい。
銅貨5枚という格安で販売する。
そうすれば客も来やすくなってくれるだろうと期待してる。
アルコール濃度も10%くらいなので女性でも飲みやすい・・・この世界だと女性も普通に強い酒を当たり前のように飲むんだが、それはまぁ好みって事で。
フィリアンとケインに味見を頼む
「確かに飲みやすくて美味しいです。若い女性に人気が出そうですね」
「シュワシュワが気持ちいいね、美味しいよ」
フィリアンとケインからもOKが出ました。
なので自信をもって提供できる!できれば、エルディラント伯爵家の次女アーリア様を中心に若い女性に広めていければと思ってる。
招待状を出すのに商業ギルドのSランクという肩書がこれほどありがたく感じたのは初めての事だ。
早速アーリア様宛に試飲会の招待状をしたためる。
『ご都合のいい日で大丈夫です、是非多数のご友人をお誘い頂けたら幸いです』という一文は加えてある。
これだけで頭のいいアーリア様はわかってくれるだろう。
俺は業務用の生ビール・チューハイディスペンサーを設置する
これで手間を一気に省ける!
フィリアンに使い方を説明し何回か作らせてみる。
元々簡単にできる物だからあっさりと習得した。
まぁ、ビールの注ぎ方はまだまだだな・・・
ある程度の準備が整った所でハンティにお使いを頼む
「ハンティ、商業ギルドにこの手紙をエルディラント伯爵家のアーリア様に届けるように依頼を出してきて」
俺はハンティに手紙と銀貨を一枚持たせる
「わっかりましたぁ!」
「配達料の残りで買い食いして来てもいいよ」
そう言って送り出した。
さ~て、面白くなってきたぞぉ
俺は嬉々として店内の飾りつけに入るのだった。
数日後、アーリア様から返事が届く。
『真っ先にわたくしに声を掛けて頂いた事嬉しく思います。気が早いですが次のルナの日にお伺いいたしますわ』って内容だ。
3日後か、さっさと売り始めたい俺は大歓迎だ!
今回は大サービスだ!つまみも大量に用意しようと心に決め、作り置きを始める。
チューハイは意外とどんなつまみも合う。だからこその居酒屋チョイスだ。
唐揚げ、ギョーザ、フライドポテト、野菜スティックとマヨネーズ、ゴマソース
串カツ、豚の冷しゃぶ、エビチリなんかを思いつくまま作ってインベントリに入れていく。
摘まみながら作ってると楽しくなってくる。
フィリアンに味見をさせながら細々と15品くらい作った。
「ハル様、御機嫌ですね」
「あぁ、なんか最近暗かったから、こんな時こそはっちゃけなきゃ」
満面の笑顔でフィリアンと話す
「そうですね、店が一気に明るくなった気がします」
真面目だなぁ・・・そこが可愛いんだが。
こんなとこ勇者に見られたら宴会が始まるぞ・・・
ヤバッこれフラグだ
「そうだねハル、これは宴会をしなくては」
しまった、カズキか!?
「いつから見てた?」
ニヤニヤと笑いながら俺を指さし
「ギョーザを自作してる辺りからだ!ハーッハッハッハッ」
真ドヤァといった表情で高笑いしてくれた・・・殴ってもいいですか?割と本心で
「美味しそうな居酒屋メニューではないか!生ビールとウーロンハイが鉄板だろ!」
「ハルさん、ゴチになります」
「俺も生中ね」
賢者!剣聖!一緒だったのか、やれやれだ
見つかったのが運の尽きか、リハーサルも兼ねて食わせてやるよ!
そうして俺は厨房に戻り、ひたすらつまみを作っていく。
久しぶりの居酒屋メニューに舌鼓を打つ勇者一行
俺とフィリアン、ハンティもその輪に加わり飲み食いを楽しんだ
「そうそうハル、やっとポーションショップの準備が整ったぞ」
カズキからの突然の報告、結構時間が掛かったな・・・
「店員は大丈夫なのか?」
「あぁ、借金奴隷ちゃんを2人ハルの名前で登録してある。レベリングもしたし大丈夫だ」
至れり尽くせりですな。
「フェルの工房から運び出せば明日からでも始められるぞ」
「カズキの方からフェルに言っておいてくれ、その方が言う事を聞く」
とりあえず投げる、責任者って事で一度は見に行かなきゃだが、今はいい
「農園も順調だし安定供給できそうだよ」
賢者も楽しそうに言う
「そこでハルに頼みがあるんだが」
「断る」
申し訳なさそうに言うカズキだったが面倒!即!斬!だ
「まだ何も言ってないんだがな」
「悪いがこれ以上俺に仕事をさせないでくれ」
むぅっと一瞬黙るが勝手に話を続けようとする
「夏場だけでもビアガーデンやらないか?」
無茶振りキタコレ、ふざけてるのか?
「やらねーよ!面倒見切れん!」
これならどうだ!と勝ち誇った笑みでカズキは続ける
「じゃぁ、俺達がやるから機材の手配を」
「商売敵を増やす気はねーよ」
俺はお客様がミスルトウに来て欲しいの!転売卸の売り上げなんて期待してないの
「残念だなぁ、チューハイとかこの店で捌ききれなくなると思うんだが」
「俺の身体は一つしかねーんだよ!」
そしたらトドメを刺しに来やがった・・・
「百歩譲ってこの店拡張しよう」
ォィォィ.....
「もう少し従業員入れて1階はこのままの感じで、2階と屋上はテーブル席オンリーで固定メニュー」
「さすがカズキ!いいアイディアだね」
「それならハルの負担も少なくね?」
お前ら・・・
「一等地を地上げしなきゃ」
どこのヤクザだ・・・
「住居スペースは3階に作ればOKじゃない?」
引っ越しもかよ・・・
「店ができたらハルに移動してもらって」
「社員寮とか近くにあるからここは便利なんだが」
「大丈夫!長屋ごと移動するから」
このチート野郎!どんだけだよ・・・
「外側は魔法建築でいいから内装だけドワーフ入れて」
「「イイネ!」」
俺を無視して話が進んでいく・・・
「ポーションの利益で返してもらえばいいからハルは出費無いよ」
そういう問題じゃないよね・・・君達・・・
久しぶりの暴走勇者だな、そう来るなら、
「従業員は奴隷子ちゃん5人でレベリングと購入費」
「「「余裕っす!面積も倍くらいでOK」」」
面積倍って、俺の苦労を考えてないな・・・
「各階と屋上のエレベーター必須」
できる限りの無茶を言って抵抗してみる
「なんとかする、俺に任せろ」
賢者は余裕の表情だ・・・
「社員寮の工事もまだ終わってないのにできるのか?」
「大丈夫だろ?それごと移転するから」
賢者のセリフに思う、チートここに極まれり
「全部揃ったら教えてくれ・・・」
勇者達の勢いに完全敗北した俺だった。
後から聞いた話だが、この店舗拡張は、この前の病気蔓延の時の俺への褒章だったらしい。
デュオラント様、フォーセリア公爵、ハインデル様が出資するという。
ソーマが手に入らないから強引に褒章を出した形か・・・
店よりソーマくれよぉぉぉぉって心の中で叫んだ俺だった。
そして三日後
アーリア様達がミスルトウに来てくれました。
「本日はお招きに預かりありがとうございますわ」
「こちらこそ御足労願いまして申し訳ありません。」
といった感じの定型文で挨拶が進み、俺達はお嬢様方を席に案内する。
お嬢様方のお話はマシンガンのようです
「今日はとても楽しみでしたわ」
「私もです、急なお誘いでしたがミスルトウの新作と聞いては居ても立ってもいられませんでしたわ」
「本当に、先の疫病の波を食い止めたのもハルヒト様と聞きましたわ」
「まぁ!爵位が貰えてもおかしくないのではなくって?」
「お断りになられたそうよ、欲の無いお方ですわね」
面倒が嫌いなだけです
「コホン、え~っと、本日はミスルトウの新作試食試飲会に来ていただき本当にありがとうございます。若くて綺麗な女性の心を掴めるお酒をという事でお集まりいただきました。どうぞお心のままに感想をお聞かせいただけたら幸いでございます。」
長い前口上からお酒と料理を運び始める。
うん、これをやるには手狭だな、拡張の話は渡りに船だったかもしれない
そう思いながら一杯目の説明に入る
「こちらのお酒はレモンサワーと申します、酸味の強い果物を生かす飲みやすいお酒となっております。並んでる料理はお好きな物を好きなだけご自身でお取りくださいませ」
あくまで試食会だ、格式に拘る必要は無い。
アーリア様がエビチリに手を伸ばすと他の方々もそれぞれ料理に手を伸ばし始めた。
「舌の上で弾ける感じと爽やかな果物で酒精がそれほど感じられませんわ」
「この小麦の皮で包まれた料理に合いますわね」
好評になるのはわかってる、ここから広がってくれればいいのだ
コークハイやウーロンハイなどを交えつつ紹介していく。
一杯当たりの量はそれほど多くしなかったから次々と紹介していける
「そういえば、大通りの一角が領主様によって召し上げられたとか聞きましたわ」
・・・まさか、俺の店か?強引な手で買い上げたのか?
「伺ってますわ、なんでもこちらのお店の店舗拡張と聞いてますわ」
やっぱりか・・・
「でも、もう新しい建物が建ってるらしいですわよ」
賢者のチート半端ないな・・・
「お店が広くなったらダンスとかもできるかしら?」
拡張面積は聞いてません、少なくともお茶会をするのに問題なくなると思う
「そうなったら楽しいですわね!」
そりゃぁ楽しいでしょう、貴女方は・・・
どう考えても俺の方は『心労マシ苦労マシマシ脂汗つらめ』だ、なんかいい感じにG系の呪文みたいになったな
流行を広めるには貴族からっていうのを実践しようとこの催しを企画したんだが、
手応えありって感じだ!
お嬢様方は気に入ったチューハイやサワーを次々とおかわりしていく
ツマミの方も減りが早い
「このように自分で取り分けるのは楽しいですわね」
「庶民スタイルなのかしら?この方式は同席の方との親近感が増しますわ」
ふむ、こっちも意味でも好評だ、これは予想外
「ハルヒト様、本日はデザートのご用意はあるのかしら?」
お茶会に毎回来てくれてるお嬢様が聞いてくる。
「勿論御用意ございますよ、食事の方もいい感じに進んでますので、そろそろお持ちいたしましょうか?」
「えぇ!是非!」
満面の笑みで言ってくれた
今日のデザートはストロベリーシャーベットとチョコジェラートだ
綺麗に盛り合わせてお出しする
「お待たせいたしました、デザートのストロベリーシャーベットとチョコジェラートでございます」
そう名前だけ告げて配っていく。
「「「冷たくて甘いですわ!」」」
そりゃそうだ、大概のアイスは冷たくて甘いものだ・・・
こうしてデザートまで満足いただけたのを確認して試食会は終了となった。
来てくれたお礼という事でお土産にガトーショコラを持たせる。
「新作の宣伝よろしくお願いいたします。」
ストレートに言う俺、ここは商売人の顔である。
「お任せくださいな、私もまた来させていただきますわ」
「拡張後も楽しみにしております」
「ほんとうに美味しかったですわ」
「ご馳走様でした、これなら知り合いに自信を持ってお勧めできますわ」
「また新作ができたら呼んでくださいませ」
ってな感じで終了した。
入れ替わりで30人ものお嬢様を急に集めてくださったアーリア様にはガトーショコラに加え果実酒とエルディラント伯爵にとカミュ キュヴェをお礼に持たせる
「本日はありがとうございました。移転が済みましたらお茶会もやりやすくなると思います。今後とも御贔屓によろしくお願いいたします。」
格式ばった礼をするとアーリア様が満面の笑みで嬉しそうに
「ハル様のお役に立てて何よりでした、と~~~っても美味しかったですわ、またよろしくね」
酔ってるのか、若干言葉が崩れてるアーリア様でした。
試食会で聞いた思いがけない勇者達と領主の行動に溜息をつく
わずか3日で地上げを済ませ、建物ができるって、どう考えてもおかしいよね・・・
俺の感覚狂ってないよね・・・
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勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
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断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
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「パーティーを抜けてほしい」
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私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
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私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
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