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つうがくろのローヴァ
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でも、これでおどろいちゃいけない。
つぎの日、学校へいこうとしたら、さらにとんでもないことがあった。
いつものように、ランドセルをせおってあるいているときのこと。
その日はかぜがつよくて、耳もとでぴゅーぴゅー音がしていた。
かれはがアスファルトのうえをすべるたびに、ガサガサガリガリいう。
おまけに、とおくでサイレンやヘリコプターのエンジンがなっていて、やけにやかましい。
ふと気がつくと、前をくろいふくの人が歩いていたんだ。
でも、はなうたをうたいながら、おしりをフリフリしていたから、へんだなと思っておいぬいた。
ふりかえって見ると、ローヴァだった。
まっくろのふくに、まっくろのズボン。
今日はまっくろのぼうしもかぶっている。
びっくりして立ち止まったぼくに、ローヴァはいった。
「やっほー! あいにきたよ」
高くてかわいらしいこえ。
小さな女の子みたいに、ブンブン手をふっている。
まちがいない、ほんもののローヴァだ。
「なんで?」
「えっ! あいたいって、いってくれたじゃない。ウソだったの?」
ローヴァは目に両手をもっていって、「メソメソ」といいだした。
ウソなきするにしても、クラスの女子だってもうすこしうまいんじゃないかな。
「そんなことはおいといて」
すぐにローヴァはなきまねをやめて、かわりに目に見えないハコをおくまねをした。
「ちょっとてつだってほしいことがあったんだ。
キミがあいたいっていうから、ちょうどいいかなと思って」
「あえたのはうれしいけれど、ぜんぜんちょうどよくないよ」
ぼくは、「いつでもいいからローヴァにあいたい」なんていっていない。
それなのに、どうしてこんなことになっちゃうんだろう。
「どうしてよくないの?」
「もうすぐ学校がはじまっちゃう」
「なーんだ、そんなことか。
じゃあ、じかんをとめるね。
……ハイとめた」
じゅもんのようなものをとなえたわけでもなければ、すごそうなマシンをそうさしたわけでもない。
それなのにローヴァのいうことをしんじたのには、わけがある。
音がいっせいにとまったんだ。
かぜの音、かれはの音も。
とおくでしていたサイレンも、ヘリコプターのエンジン音も。
もし「とめた」のがウソなら、空でエンジンがとつぜんとまったヘリコプターがおっこちる音がするはずでしょ。
「あのね、すっごくたいへんなの。
どうにかしないと、『クイズ! ひらめきポン!』にでられなくなっちゃう」
「えっ!」
ぼくは思わず大きな声をだした。
それはこまるもん。
ローヴァにはこれからも、あのクイズばんぐみでわらわせてもらいたいからね。
「わかった。
なにすればいいの?」
「ありがとう!
いっしょに、たいまのけんをさがしてほしいの」
ローヴァはいいながら、クルッと回ってりょうほうの人さしゆびをじぶんのほっぺたにあてた。
不思議なポーズ。
どういういみなのか、ちょっとわからない。
おまけに、いっているいみもわからない。
「たいまのけん、ってなに?」
「こういうの」
ローヴァはぼくに手まねきしながら、ちょうどちかくにあったこうえんに入っていく。
そして、土のグラウンドにくつのつま先で文字を書いた。
退魔の剣
「あっ、たいまのけん!」
むずかしいかんじだけれど、ぼくには読めた。
よくロールプレイングゲームをするからね。
ゲームには、たまに学校では習わないようなむずかしいことばやかんじがでてくる。
読めないと先にすすめないから、がんばって読めるようになる。
書くのは、ちょっとむずかしいけれど……。
書けないけれど読めるかんじが、ぼくにはたくさんあるんだ。
「ついてきてね!」
ローヴァはそういって、先をあるきはじめた。
ぼくは、そのうしろについてあるく。
まるでロールプレイングゲームみたい!
つぎの日、学校へいこうとしたら、さらにとんでもないことがあった。
いつものように、ランドセルをせおってあるいているときのこと。
その日はかぜがつよくて、耳もとでぴゅーぴゅー音がしていた。
かれはがアスファルトのうえをすべるたびに、ガサガサガリガリいう。
おまけに、とおくでサイレンやヘリコプターのエンジンがなっていて、やけにやかましい。
ふと気がつくと、前をくろいふくの人が歩いていたんだ。
でも、はなうたをうたいながら、おしりをフリフリしていたから、へんだなと思っておいぬいた。
ふりかえって見ると、ローヴァだった。
まっくろのふくに、まっくろのズボン。
今日はまっくろのぼうしもかぶっている。
びっくりして立ち止まったぼくに、ローヴァはいった。
「やっほー! あいにきたよ」
高くてかわいらしいこえ。
小さな女の子みたいに、ブンブン手をふっている。
まちがいない、ほんもののローヴァだ。
「なんで?」
「えっ! あいたいって、いってくれたじゃない。ウソだったの?」
ローヴァは目に両手をもっていって、「メソメソ」といいだした。
ウソなきするにしても、クラスの女子だってもうすこしうまいんじゃないかな。
「そんなことはおいといて」
すぐにローヴァはなきまねをやめて、かわりに目に見えないハコをおくまねをした。
「ちょっとてつだってほしいことがあったんだ。
キミがあいたいっていうから、ちょうどいいかなと思って」
「あえたのはうれしいけれど、ぜんぜんちょうどよくないよ」
ぼくは、「いつでもいいからローヴァにあいたい」なんていっていない。
それなのに、どうしてこんなことになっちゃうんだろう。
「どうしてよくないの?」
「もうすぐ学校がはじまっちゃう」
「なーんだ、そんなことか。
じゃあ、じかんをとめるね。
……ハイとめた」
じゅもんのようなものをとなえたわけでもなければ、すごそうなマシンをそうさしたわけでもない。
それなのにローヴァのいうことをしんじたのには、わけがある。
音がいっせいにとまったんだ。
かぜの音、かれはの音も。
とおくでしていたサイレンも、ヘリコプターのエンジン音も。
もし「とめた」のがウソなら、空でエンジンがとつぜんとまったヘリコプターがおっこちる音がするはずでしょ。
「あのね、すっごくたいへんなの。
どうにかしないと、『クイズ! ひらめきポン!』にでられなくなっちゃう」
「えっ!」
ぼくは思わず大きな声をだした。
それはこまるもん。
ローヴァにはこれからも、あのクイズばんぐみでわらわせてもらいたいからね。
「わかった。
なにすればいいの?」
「ありがとう!
いっしょに、たいまのけんをさがしてほしいの」
ローヴァはいいながら、クルッと回ってりょうほうの人さしゆびをじぶんのほっぺたにあてた。
不思議なポーズ。
どういういみなのか、ちょっとわからない。
おまけに、いっているいみもわからない。
「たいまのけん、ってなに?」
「こういうの」
ローヴァはぼくに手まねきしながら、ちょうどちかくにあったこうえんに入っていく。
そして、土のグラウンドにくつのつま先で文字を書いた。
退魔の剣
「あっ、たいまのけん!」
むずかしいかんじだけれど、ぼくには読めた。
よくロールプレイングゲームをするからね。
ゲームには、たまに学校では習わないようなむずかしいことばやかんじがでてくる。
読めないと先にすすめないから、がんばって読めるようになる。
書くのは、ちょっとむずかしいけれど……。
書けないけれど読めるかんじが、ぼくにはたくさんあるんだ。
「ついてきてね!」
ローヴァはそういって、先をあるきはじめた。
ぼくは、そのうしろについてあるく。
まるでロールプレイングゲームみたい!
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