12 / 88
第一章 私と殿下
夢からの目覚めと黒髪の青年(2)
しおりを挟む
「やっぱり国立図書館は大きいわね。久しぶりに来たら大きくて驚くわ」
視界いっぱいに広がる図書館の建物を見上げながら呟く。
「左様ですね、お嬢様そこに段差がありますのでお気を付けて」
「ルーナは心配症ね、大丈夫よ、キャッ」
「あっお嬢様!」
余所見しながら歩いていたのがダメだったらしい。忠告されていたのに段差につまづいてしまった。このままでは顔面を打ちつけ、転んでしまう。
ギュッと目をつぶって次にくる衝撃に備えたが何も起きない。
「ん……? 痛くない?」
「大丈夫かい?」
恐る恐る目を開けると正面は布だ。慌てて上を見るとフードを被った黒髪の青年が私を抱きとめていた。
「もっ申し訳ございません。庇ってくださりありがとうございます」
「いえ、怪我はないですか?」
「お陰様でありません。是非、お礼を後ほどさせてもらいたいのですがお名前をお伺いしても?」
この方が私を咄嗟に抱きとめて下さったおかげで私は傷一つ作らずに済んだのだ。お礼をするのは当然のことだろう。そう思って名前を尋ねる。
「……いえ、お礼は大丈夫です。それでは」
「えっあのっ!」
そう言って、すぐに青年は人混みに紛れてしまった。
「ルーナ、貴方あの方を見た事ある? 恐らくこの国の貴族では無いような気がするの……」
夜会や舞踏会でも見かけたことの無い顔だった。でも、身なりや仕草から貴族であるのは確実だ。
「私も存じ上げません。きっと隣国の貴族の方なのでしょう。仕草からマナー等はとても洗練されていると見受けられるので」
「……そうかもしれないわね」
少し違和感が残るが、私の記憶には無い方なのでこれ以上は分からない。頭の片隅に置いておくことにして当初の目的を果たすことにしよう。
「さてと、気を取り直してルーナは他のところを見てていいわ。用事が終わったら呼ぶから」
「分かりました。それではお使いを終わらせてきます。お嬢様、何か欲しいものがありましたらそれも買ってきますが」
「無いわ。大丈夫よ」
「それでは失礼します」
ペコリとルーナはお辞儀をして人で賑わう街の中へと消えていった。
(よしよし、一人になれたわ)
私は図書館に入る。ここには何から何まで揃っている。貴重な本も沢山あってそれらは持ち出し不可だが、コピーを取ることは許されているので皆紙に写し取っている。
「んーと。隣国の情報は………」
本棚と本棚の間を行き来しながらお目当ての場所を探す。
「あった! 隣国にある、学校の資料」
パラパラと捲りながら手短な椅子に座る。そして、目当てのページを見つけた。
「アルメリア魔法学校……一人ひとりが完璧に魔法を行使できるようになる指導をする……卒業後は魔術師になる者が大半………ここだわ!」
いきなり大声を上げてしまったため周りの視線が一斉に集まる。
身を縮こませ、アルメリア魔法学校の文字を辿る。どのような学校なのか読み込んだ上で、そのページの上に無地の羊皮紙を置いて手をあてる。
すると書かれている文章が羊皮紙に写される。これは魔力がある人なら誰でも使える生活魔法だ。とても便利で、紙さえあれば写したい書類の上にそれを置いてコピーを取ることができる。
「──私、この学校に留学生として編入して魔法の腕を上げる」
小さい声で宣言する。
何かここまで来るとなぜ留学するのか趣旨が変わっている気がするが、考えないことにした。
「帰ったら早速お父様に相談しなくては」
そのあと私はルンルンで図書館を出てルーナと一緒に公爵家に帰宅した。
視界いっぱいに広がる図書館の建物を見上げながら呟く。
「左様ですね、お嬢様そこに段差がありますのでお気を付けて」
「ルーナは心配症ね、大丈夫よ、キャッ」
「あっお嬢様!」
余所見しながら歩いていたのがダメだったらしい。忠告されていたのに段差につまづいてしまった。このままでは顔面を打ちつけ、転んでしまう。
ギュッと目をつぶって次にくる衝撃に備えたが何も起きない。
「ん……? 痛くない?」
「大丈夫かい?」
恐る恐る目を開けると正面は布だ。慌てて上を見るとフードを被った黒髪の青年が私を抱きとめていた。
「もっ申し訳ございません。庇ってくださりありがとうございます」
「いえ、怪我はないですか?」
「お陰様でありません。是非、お礼を後ほどさせてもらいたいのですがお名前をお伺いしても?」
この方が私を咄嗟に抱きとめて下さったおかげで私は傷一つ作らずに済んだのだ。お礼をするのは当然のことだろう。そう思って名前を尋ねる。
「……いえ、お礼は大丈夫です。それでは」
「えっあのっ!」
そう言って、すぐに青年は人混みに紛れてしまった。
「ルーナ、貴方あの方を見た事ある? 恐らくこの国の貴族では無いような気がするの……」
夜会や舞踏会でも見かけたことの無い顔だった。でも、身なりや仕草から貴族であるのは確実だ。
「私も存じ上げません。きっと隣国の貴族の方なのでしょう。仕草からマナー等はとても洗練されていると見受けられるので」
「……そうかもしれないわね」
少し違和感が残るが、私の記憶には無い方なのでこれ以上は分からない。頭の片隅に置いておくことにして当初の目的を果たすことにしよう。
「さてと、気を取り直してルーナは他のところを見てていいわ。用事が終わったら呼ぶから」
「分かりました。それではお使いを終わらせてきます。お嬢様、何か欲しいものがありましたらそれも買ってきますが」
「無いわ。大丈夫よ」
「それでは失礼します」
ペコリとルーナはお辞儀をして人で賑わう街の中へと消えていった。
(よしよし、一人になれたわ)
私は図書館に入る。ここには何から何まで揃っている。貴重な本も沢山あってそれらは持ち出し不可だが、コピーを取ることは許されているので皆紙に写し取っている。
「んーと。隣国の情報は………」
本棚と本棚の間を行き来しながらお目当ての場所を探す。
「あった! 隣国にある、学校の資料」
パラパラと捲りながら手短な椅子に座る。そして、目当てのページを見つけた。
「アルメリア魔法学校……一人ひとりが完璧に魔法を行使できるようになる指導をする……卒業後は魔術師になる者が大半………ここだわ!」
いきなり大声を上げてしまったため周りの視線が一斉に集まる。
身を縮こませ、アルメリア魔法学校の文字を辿る。どのような学校なのか読み込んだ上で、そのページの上に無地の羊皮紙を置いて手をあてる。
すると書かれている文章が羊皮紙に写される。これは魔力がある人なら誰でも使える生活魔法だ。とても便利で、紙さえあれば写したい書類の上にそれを置いてコピーを取ることができる。
「──私、この学校に留学生として編入して魔法の腕を上げる」
小さい声で宣言する。
何かここまで来るとなぜ留学するのか趣旨が変わっている気がするが、考えないことにした。
「帰ったら早速お父様に相談しなくては」
そのあと私はルンルンで図書館を出てルーナと一緒に公爵家に帰宅した。
111
あなたにおすすめの小説
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる