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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

コリレシア戦車部隊

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チュドーーーーン!

俺たちの上空を何かが飛んで行った後、ナミラーの街中で何かが爆発した。

「大砲だ!!」

智弘が叫び、続けて

「戦車かもしれない! コリレシア軍だ!!」

ゴロゴロ! グォーーーー!

地鳴りとともに地面が途切れることなく静かに揺れる。
その方向を見ると砂埃を巻き上げ徐々に近づいてくる。

ガリガリ、キーキリキリ!

ハルフェルナでは聞く事の無い金属音が響く。
車輪と車軸がすれる音。間違いない! 戦車だ。

「おい、智弘! 戦車隊はイズモニアにいるんじゃなかったのかよ!」

「俺もイズモニア方面、東から首都のリーパスへ侵攻してくると思っていた!」

「ってことは、山中もこっちにいるってことだな!」

「そう言う事だ!」

が、二人は知らなかった。
山中があっさりとバルボアに斬られ、もうこの世にはいないということを。

ドーーン! ドーン! ドーン!

戦車の一斉射撃の音が響く。
音が聞こえたときには砲弾は頭上を飛び越えていき街の方から聞こえる爆発と音が被る。

ここからではハッキリ確認できないが火の手は上がってはいないようだが、次々に街から煙が上がる。

「このままではマズイぞ! 碧! メテオを使え! ミリア! 碧を上空まで抱え飛べ!」

智弘が叫ぶように声を上げる。

「智弘! お前はどうするんだ!!」

「俺は横に周り敵を攻撃する! 
 龍之介! 囮を頼めるか?」

「任せてよ!! 小さいお姉ちゃん!」

「お前はありったけのブレスを吐け!
 出来る限り砲弾は避けろ! お前がいくら強い体を持っているといっても何発も受けるとヤバイぞ!!」

「そんなもので僕の体は傷つけられないよ!!」

「龍之介! 侮るな! 俺たちの世界の兵器は馬鹿には出来ないぞ! 
 出来る限り避けろ! いいな!」

「うん、分かったよ。お兄ちゃ」

と俺が言うと龍之介は大人しく従った。

「則之と将太は後方へ退避だ! 将太は則之の回復に努めてくれ!」

「トモ君、僕も前に出るよ!」

「将太、お前はダメだ! 回復や介護に専念してくれ!」

「でも、僕だって・・・・・」

という将太の両肩を掴み諭すように俺は言った。

「将太、お前がやられたら誰が俺たちを回復させるんだよ。 後方に下がっていてくれ」

「でも、アオ君・・・・・・」

「頼む、将太。お前が命綱なんだよ」

「わかった。後方で控えているよ。みんな無理しないでね」

将太が聞き入れてくれるとエイジアさんが側に来て

「私も戦いに参加します」

「エイジアさん! 脇腹の傷はもう大丈夫なんですか?」

「はい、もう大丈夫です。問題ありません!」

本当だろうか? 俺たちとは異なる世界から来た異世界人との戦いで負った負傷も完全には癒えていないはずだ。

「無理していませんか? それに剣士では分が悪いですよ」

「私、魔法も少しなら使えますよ」

「えっ! 魔法も使えるんですか?」

そういえば空中に円形足場を築きヒョイヒョイと空中を駆けていたな~
あの足場は魔法で作った物なのだろうか?

「万が一砲弾が当たればただでは済みませんよ!」

「当たらなければ問題ありません!」

「へっ?砲弾に当たらない自信あるの?」

ズガーンダムに出てくる『ドドメ色の落下星』のようなことを言う。

「マシンガンの玉は無数に飛んできますよ。いくらなんでも避けきれないでしょ!」

「このコートはヘルフレイムの直撃からも守ってくれますのでマシンガンなど物の数ではありませんから!」
とエイジアさんは左手で裾を掴み捲って見せた。

・・・・・・ちょっと、なにそのチート装備!
ヘルフレイムと言えば炎の最高位魔法の一つじゃないの?
それを物ともしないなんて・・・・・そのコート、俺も欲しい!!

「分かりました。無理しないでくださいね。いいですね! 危険な事はしないでくださいね。
 現代兵器はこの世界の兵器と違って威力が半端じゃないですからね。いいですね!」


「はい、分かりました。無理な事はしませんよ。碧さん」


「じゃ、俺はマジカル・ステッキを使って側面から戦車部隊に攻撃を加える」

と智弘が言うと低空でコリレシア戦車部隊の右側にある林を目指して飛んでいった。

「じゃ、ミリア! 俺を抱えて出来る限り高く飛びあがってくれ!
 龍之介も一緒に飛びあがって囮になりながら得意のブレスを吐け!
 お前も無理するなよ! いいな! それじゃ、いくぞ!」

ミリアは俺の脇の下に手を入れると抱え上げ空を飛ぶと龍之介も空に舞い上がった。


コリレシア戦車団が見える。

「ひーふーみーよー・・・・・10台。ひーふーみーよーいつむーなな・・・・20台!
 ひーふーみーよー・・・・30! 全部で30~40はありそうだな」
そして、後には装甲車らしき車両も見ることが出来る。

が、おかしい。戦車は100両あるとか言っていたが。
イズモニアとの戦いで60両も破壊されるわけが無い・・・・
どこかに伏兵が隠れているのか?それとも二手に分けたのか?

戦車の砲塔が上に向けてゆっくりと角度を上げる。

やばいな。俺たちは捕捉されたようだ。
サイズの空飛ぶ飛行物体がいればレーダーなどの索敵網に引っかかるか!
いや、現代の軍隊のハイテク装備でなくても視力のいい奴がいれば見つかるか。

ドーン! ドーン! ドーーン!!

ダン! ダーン! ダーン!!

戦車の砲塔が火を吹き、弾丸が龍之介に命中し煙を上げる!

「龍之介!!」
「子龍!!」

さすがと言うべきか! 龍之介は全長は10mほどあるが横のサイズは1mほどのスリムサイズだ。
その細い腹目掛け正確に弾丸はヒットしたのだ。

龍之介の周りの煙が無くなる。

「痛いな~!! もう!!」

龍之介の腹から青い血が流れている。

「龍之介! 腹! 腹!!」

「うん? 血が出ている。 これくらい大丈夫だよ!」

「いや、お前、血が出ているんだぞ!」

「霊峰じゃこれくらい良くあることだから」

「いや、お前、そうは言うけど・・・・」

俺の言葉を意に介さず背中を反らし背びれに光が走った。

バッシューーーン!

ジュドーーーン!

龍之介の口から雷のように光る玉が戦車へ向け発せられ命中した。
命中した戦車の辺りは砂を巻き上げ一瞬見えなくなったが、砂埃が消えると何事も無かったように戦車は疾走する。

「え!! 僕のブレス、効かないの?」

と言うと再度体を反らしブレスを打ち込む。

バシューン! チュドーーン!

2発目が命中したとき戦車は壊れることなく徐々に徐々にスピードを落とし停止した。

「龍之介のブレスでも破壊することが出来ないとは! さすが近代兵器ということか!」

龍之介は地上に降り停止した戦車を両手で持ち上げ動いている戦車に向け投げつけたが、コリレシアの戦車は簡単に避けた。

チュドーーン! チュドーーーン!!

地上に降りた龍之介目掛けコリレシア戦車の砲塔が火を吹く。

チュドーン! チュドン!

危機一髪、上空へ逃げた龍之介に向け追撃の砲弾が飛ぶ。

ドカーン! ドカーン!

また、命中し龍之介の周りに煙が立ち込める。

「痛い! 痛い!!」

龍之介の青い血がさらに噴出す。

「ミリア! 早く早く! もっと高く!!」

「お、おう。分かったのじゃ!!」

ミリアはスピードを上げ空高く舞い上がった。

「龍之介!!無理するな!! 将太のところへ戻れ!!」

「大丈夫! まだ、大丈夫!! こいつらをお姉ちゃんのところへ行かせるわけには行かないんでしょ!!」

「そうだが、無理するな! さっきより出血が酷くなっているぞ!」

俺の声は龍之介に届く事は無かった。
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