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9章.甘くて苦いほんのりしょっぱい味を知る
04.
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オレンジピールが美味しく出来上がり、カシスやブルーベリーの収穫もでき、アップルピースもいい感じに作れたので、当日は柑橘系かベリー系のお茶にしようかな、と密かに考えていたところ、
「お前、桃みたいだな」
風呂でジョシュアに甘噛みされて、思考が止まった。
…桃。
ジョシュアが言うとなんかやらしいんだけど、そうか、桃。桃な。ピーチティというやつだ。
桃の葉やすももは乾燥させてお茶にも使ってみたのだが、桃本体はみずみずしさが売りというか、ドライにするのがなかなか難しい。甘い香りを保つためには、…
「こっち見ろ」
思考を漂わせていたら、ジョシュアに強引に向き直らされて、
「い、…っ⁉」
首筋に牙を立てられた。
ヤバい。快感に思考が溶けていく。
ジョシュアの牙で噛まれても全く痛くはないけれど、恐ろしい中毒性がある。甘い痺れが全身を駆け巡り、もっと欲しくてたまらなくなる。おまけに噛み痕が甘美に疼く。
仕事を終えて帰ってきたジョシュアは俺が淹れたお茶を飲むと、ハーブバスに直行するのが日課になっている。
俺はお茶の時点でジョシュアに溶かされて既にぐすぐすで、有無を言わさず連れていかれる羽目になる。だから、これだけははっきりさせておきたい。バスプレイにはまっているのは俺じゃなくてジョシュアだ。俺が風呂でやりたいわけじゃない。まあ、やりたくないわけでもないけど。やりたいわけじゃ、なくも、なくも、…
「俺を前にして考え事とは余裕だな」
「…そ、ういうわけじゃ、…っ」
ない、と言おうとしたけど、込み上げる快感に息が上がって、お前誰だよと言いたくなるような悩ましげな声が漏れる。クソ恥ずかしい。恥ずかしいのに、抑えられない。
「お前は俺がいなくても楽しそうに草刈ってるし、…」
ジョシュアは少し拗ねた声音で何やらぶつぶつ言いながら、牙を抜き差しして俺を弄ぶ。
お爺さんは山へ芝刈りに、みたいなテンションで、草刈り言うなよ、などと考える余裕は1ミリもない。牙で貫かれるともうそのことしか考えられない。身体の隅々まで感度が最高潮に達し、ジョシュアを求めてあっという間に切羽詰まる。
「ジョシュア、…っ」
「…お前の肌は白いから噛み痕が映えるな」
小さくくすぶり続ける快感に震えながら、ジョシュアに焦がれて、ジョシュアが欲しくて、涙目でねだる俺の首筋に噛み痕を付けて、ジョシュアが満足そうにその痕を舌で舐った。
…桃。なんか、思いつきそうだったのに。
結婚披露パーティを3日後に控え、俺のハーブ熱も盛り上がっていた。
季節や天候に合わせてその日のハーブティを決め、前々から仕込んでおいたドライフルーツも使いながら、お茶を淹れて王宮中に届けることが安定して出来るようになってきた。待ち構えてくれている人もいる。リフレッシュしたい人には爽快感やさっぱりしたものが好まれることが多い。女性には甘い香りのものも人気がある。今日の一杯は何なのか、わくわくすると言ってくれる人もいた。
そんな中、披露パーティで出すお茶を未だ決められず、俺らしいって何だろう、って思っていたから。
桃。なんて、31歳童貞だった(今も?)俺には、全然似合わないような気もするけど、…
「いつもは真っ白なのに、俺が触るとどこもかしこも桃色になって、甘く溶ける、…」
このエロい獣人王の言うことを真に受けていいのか、俺?
「お前、桃みたいだな」
風呂でジョシュアに甘噛みされて、思考が止まった。
…桃。
ジョシュアが言うとなんかやらしいんだけど、そうか、桃。桃な。ピーチティというやつだ。
桃の葉やすももは乾燥させてお茶にも使ってみたのだが、桃本体はみずみずしさが売りというか、ドライにするのがなかなか難しい。甘い香りを保つためには、…
「こっち見ろ」
思考を漂わせていたら、ジョシュアに強引に向き直らされて、
「い、…っ⁉」
首筋に牙を立てられた。
ヤバい。快感に思考が溶けていく。
ジョシュアの牙で噛まれても全く痛くはないけれど、恐ろしい中毒性がある。甘い痺れが全身を駆け巡り、もっと欲しくてたまらなくなる。おまけに噛み痕が甘美に疼く。
仕事を終えて帰ってきたジョシュアは俺が淹れたお茶を飲むと、ハーブバスに直行するのが日課になっている。
俺はお茶の時点でジョシュアに溶かされて既にぐすぐすで、有無を言わさず連れていかれる羽目になる。だから、これだけははっきりさせておきたい。バスプレイにはまっているのは俺じゃなくてジョシュアだ。俺が風呂でやりたいわけじゃない。まあ、やりたくないわけでもないけど。やりたいわけじゃ、なくも、なくも、…
「俺を前にして考え事とは余裕だな」
「…そ、ういうわけじゃ、…っ」
ない、と言おうとしたけど、込み上げる快感に息が上がって、お前誰だよと言いたくなるような悩ましげな声が漏れる。クソ恥ずかしい。恥ずかしいのに、抑えられない。
「お前は俺がいなくても楽しそうに草刈ってるし、…」
ジョシュアは少し拗ねた声音で何やらぶつぶつ言いながら、牙を抜き差しして俺を弄ぶ。
お爺さんは山へ芝刈りに、みたいなテンションで、草刈り言うなよ、などと考える余裕は1ミリもない。牙で貫かれるともうそのことしか考えられない。身体の隅々まで感度が最高潮に達し、ジョシュアを求めてあっという間に切羽詰まる。
「ジョシュア、…っ」
「…お前の肌は白いから噛み痕が映えるな」
小さくくすぶり続ける快感に震えながら、ジョシュアに焦がれて、ジョシュアが欲しくて、涙目でねだる俺の首筋に噛み痕を付けて、ジョシュアが満足そうにその痕を舌で舐った。
…桃。なんか、思いつきそうだったのに。
結婚披露パーティを3日後に控え、俺のハーブ熱も盛り上がっていた。
季節や天候に合わせてその日のハーブティを決め、前々から仕込んでおいたドライフルーツも使いながら、お茶を淹れて王宮中に届けることが安定して出来るようになってきた。待ち構えてくれている人もいる。リフレッシュしたい人には爽快感やさっぱりしたものが好まれることが多い。女性には甘い香りのものも人気がある。今日の一杯は何なのか、わくわくすると言ってくれる人もいた。
そんな中、披露パーティで出すお茶を未だ決められず、俺らしいって何だろう、って思っていたから。
桃。なんて、31歳童貞だった(今も?)俺には、全然似合わないような気もするけど、…
「いつもは真っ白なのに、俺が触るとどこもかしこも桃色になって、甘く溶ける、…」
このエロい獣人王の言うことを真に受けていいのか、俺?
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