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「あー、…なんか香恋ちゃんさ。昼間、高野チーフが佐倉のこと運んでるの見てから、機嫌悪いんだよね。ほら、やっぱ、チーフはファンが多いからさ?」
「…はい、大丈夫です。ありがとうございます」
シュート先輩がなけなしのフォローをしてくれて、涙がにじんだ。
ただでさえ落ち込んでいるところに、香恋ちゃんのとげのある言葉は追い討ちのように鋭く突き刺さる。
その打撃は甚だしく、これでもかというほど深い傷になって私を血の海に沈めた。
それは、多分。
香恋ちゃんの指摘が真実だから。
奥歯を強く強く噛みしめた。
『高野さんがお気の毒過ぎて見ていられません』
私は会社にもチーフにも迷惑をかけてばかりいる。自分でも分かっている。
私にできることは、
与えてもらった仕事をきちんとやること。
そして。
『みんな思ってますよ、いない方がいいって』
なるべく早く、チーフから離れること。
緑川さんが警察に連行された今、
チーフにかくまってもらう必要はない。
もう、チーフのマンションにいる理由は何もない。
いつの間にかこんなにも
かけがえのない存在になっていたのに。
もはや、自分が愚かすぎて笑いさえこみ上げる。
好き。なんて。そんなの。
迷惑なだけなのに。
それからはひたすら仕事に打ち込んだ。
戻ってきた香恋ちゃんのデスクからは冷たいオーラが吹き荒れていたけれど、気にならないくらい集中した。
すっぽかしてしまったイベント会議のメンバーに謝罪し、概要を教えてもらう。
(株)ベースパワーの担当さんと連絡を取って、周年記念商品の販売予定を確認する。
担当店舗に自社商品の在庫状況を確認して、製造部署に発送依頼する。
山積みの書類仕事を端から片付ける、…
やるべきこと、出来ることに没頭していると、いつの間にかすっかり日が傾いていた。
フロアには、終業時刻間近の特有な空気が漂っている。
けど。
チーフとまりな先輩はまだ帰ってこない。
大事な商談のためだってわかってるのに。
しかも私のせいなのに。
そこにまりな先輩を伴っていると思うと、
やっぱり心の底がざわざわした。
「あ~~」
ふいに、隣から流れてきていた超絶冷たい空気が止んだ。
「どうしたんですかぁ~」
代わりに、香恋ちゃんの可愛らしさMaxの声が聞こえてきた。
何事かと顔を上げたのと、頭の上に優しい手の感触を感じたのが、
ほぼ同時だった。
「お疲れ。終わった?」
「…千晃くん」
完璧に整ったプロポーションで千晃くんが私の後ろに立ち、
滑らかな手を私の頭にのせて、
見惚れるほど美しい微笑みを浮かべながら私を見ていた。
私が何か言うより早く、
「あのぅ、常盤さん。香恋、会ったらお願いしたいことがあったんですぅ」
隣席の香恋ちゃんが、千晃くんのスーツの裾をつまんで、
上目遣いに千晃くんを見上げた。
「…はい、大丈夫です。ありがとうございます」
シュート先輩がなけなしのフォローをしてくれて、涙がにじんだ。
ただでさえ落ち込んでいるところに、香恋ちゃんのとげのある言葉は追い討ちのように鋭く突き刺さる。
その打撃は甚だしく、これでもかというほど深い傷になって私を血の海に沈めた。
それは、多分。
香恋ちゃんの指摘が真実だから。
奥歯を強く強く噛みしめた。
『高野さんがお気の毒過ぎて見ていられません』
私は会社にもチーフにも迷惑をかけてばかりいる。自分でも分かっている。
私にできることは、
与えてもらった仕事をきちんとやること。
そして。
『みんな思ってますよ、いない方がいいって』
なるべく早く、チーフから離れること。
緑川さんが警察に連行された今、
チーフにかくまってもらう必要はない。
もう、チーフのマンションにいる理由は何もない。
いつの間にかこんなにも
かけがえのない存在になっていたのに。
もはや、自分が愚かすぎて笑いさえこみ上げる。
好き。なんて。そんなの。
迷惑なだけなのに。
それからはひたすら仕事に打ち込んだ。
戻ってきた香恋ちゃんのデスクからは冷たいオーラが吹き荒れていたけれど、気にならないくらい集中した。
すっぽかしてしまったイベント会議のメンバーに謝罪し、概要を教えてもらう。
(株)ベースパワーの担当さんと連絡を取って、周年記念商品の販売予定を確認する。
担当店舗に自社商品の在庫状況を確認して、製造部署に発送依頼する。
山積みの書類仕事を端から片付ける、…
やるべきこと、出来ることに没頭していると、いつの間にかすっかり日が傾いていた。
フロアには、終業時刻間近の特有な空気が漂っている。
けど。
チーフとまりな先輩はまだ帰ってこない。
大事な商談のためだってわかってるのに。
しかも私のせいなのに。
そこにまりな先輩を伴っていると思うと、
やっぱり心の底がざわざわした。
「あ~~」
ふいに、隣から流れてきていた超絶冷たい空気が止んだ。
「どうしたんですかぁ~」
代わりに、香恋ちゃんの可愛らしさMaxの声が聞こえてきた。
何事かと顔を上げたのと、頭の上に優しい手の感触を感じたのが、
ほぼ同時だった。
「お疲れ。終わった?」
「…千晃くん」
完璧に整ったプロポーションで千晃くんが私の後ろに立ち、
滑らかな手を私の頭にのせて、
見惚れるほど美しい微笑みを浮かべながら私を見ていた。
私が何か言うより早く、
「あのぅ、常盤さん。香恋、会ったらお願いしたいことがあったんですぅ」
隣席の香恋ちゃんが、千晃くんのスーツの裾をつまんで、
上目遣いに千晃くんを見上げた。
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