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「ねぇねぇ」
翌朝。
茉由子さんが興味津々な顔で、ススス、と音もなく近づいてきて、
「どっちが好きなの?」
「ぶふぉっ」
いきなり直球を投げてくるから、味噌汁を吹いた。
この日は休みで、チーフと千晃くんが作ってくれた純日本風の朝食を、
みんなで優雅に頂いていた。
炊き立てご飯、しじみのお味噌汁、焼き鮭、オクラと海藻のサラダ、
だし巻き卵焼き、大葉と大根おろし添え、カットフルーツ、…
…旅館ですわ。
キッチンにイケメン2人が並んでいる図を見て、
「女子、厨房に立ち入らず。料理男子最高!」
茉由子さんがるうちゃんに焼き鮭を食べさせながら、ウンウンと頷いている。
「雅、料理上手いんだよ。あたしが小さいころからやらせてたから」
そういえば、茉由子さんは、チーフしか肉親がいないって言っていた。
チーフのご家族についてはよく知らないけど、
少なくとも、あの広いキッチンに取り揃えられた調理器具は、
チーフが自分でそろえたもの、なのかもしれない。
…梨子さんじゃなくて。
だから何って話だけど。
だけど。
少しホッとした。
「まあねぇ、千晃くんはちょっといないくらいのハイクオリティさだけど、雅も結構イケてると思うんだよねぇ」
茉由子さんがキッチンを見やりながら、
で、正直どうなの? みたいなノリで迫ってくる。
けども。
いや。
いやいやいや。
「そんな立場にない、です…」
もごもごつぶやくと、
「まったまたぁ~~っ」
結構な勢いで背中を叩かれて、ジンジンした。
姐さん、痛いっす。
背中の痛みを噛みしめながらキッチンに視線を移すと、
チーフと千晃くんが仲良く立ち動いている姿が見えて、
なんだか不思議な感動を覚えた。
『めちゃめちゃ仲良くなるから』
チーフと千晃くん。
本心が分からない上司と記憶喪失の元カレ。
今、ここに一緒に居てくれるのは、奇跡みたいなものだ。
優しさが生んだ奇跡。
私の心を占める大切な人。
その優しさを信じたい。
ホントに、そんな立場にないけれど。
もし。もしも。許されるなら。
このままずっと一緒に居たい。
あの温かい腕が、変わらずそこにあってくれたら。
なんて、そんなの。
都合の良い夢だって分かってるけれど。
「ねぇ~、雅~。ここちゃんにドレス買ってあげたら?」
私の視線をたどっていた茉由子さんが、急に声を上げた。
「「は?」」
その内容についていけなくて、困惑でチーフとハモってしまった。
「周年記念パーティーがあるんでしょ? ドレスアップして、ダンスもするんだって?」
茉由子さんが明るく続ける。
「ここがオトコの見せ所だよ、雅」
キッチンから、戸惑いを隠せないチーフの視線が突き刺さる。
「…お前、着る服ないのか」
や。そんな哀れまれると、照れる。
って、違う‼︎
翌朝。
茉由子さんが興味津々な顔で、ススス、と音もなく近づいてきて、
「どっちが好きなの?」
「ぶふぉっ」
いきなり直球を投げてくるから、味噌汁を吹いた。
この日は休みで、チーフと千晃くんが作ってくれた純日本風の朝食を、
みんなで優雅に頂いていた。
炊き立てご飯、しじみのお味噌汁、焼き鮭、オクラと海藻のサラダ、
だし巻き卵焼き、大葉と大根おろし添え、カットフルーツ、…
…旅館ですわ。
キッチンにイケメン2人が並んでいる図を見て、
「女子、厨房に立ち入らず。料理男子最高!」
茉由子さんがるうちゃんに焼き鮭を食べさせながら、ウンウンと頷いている。
「雅、料理上手いんだよ。あたしが小さいころからやらせてたから」
そういえば、茉由子さんは、チーフしか肉親がいないって言っていた。
チーフのご家族についてはよく知らないけど、
少なくとも、あの広いキッチンに取り揃えられた調理器具は、
チーフが自分でそろえたもの、なのかもしれない。
…梨子さんじゃなくて。
だから何って話だけど。
だけど。
少しホッとした。
「まあねぇ、千晃くんはちょっといないくらいのハイクオリティさだけど、雅も結構イケてると思うんだよねぇ」
茉由子さんがキッチンを見やりながら、
で、正直どうなの? みたいなノリで迫ってくる。
けども。
いや。
いやいやいや。
「そんな立場にない、です…」
もごもごつぶやくと、
「まったまたぁ~~っ」
結構な勢いで背中を叩かれて、ジンジンした。
姐さん、痛いっす。
背中の痛みを噛みしめながらキッチンに視線を移すと、
チーフと千晃くんが仲良く立ち動いている姿が見えて、
なんだか不思議な感動を覚えた。
『めちゃめちゃ仲良くなるから』
チーフと千晃くん。
本心が分からない上司と記憶喪失の元カレ。
今、ここに一緒に居てくれるのは、奇跡みたいなものだ。
優しさが生んだ奇跡。
私の心を占める大切な人。
その優しさを信じたい。
ホントに、そんな立場にないけれど。
もし。もしも。許されるなら。
このままずっと一緒に居たい。
あの温かい腕が、変わらずそこにあってくれたら。
なんて、そんなの。
都合の良い夢だって分かってるけれど。
「ねぇ~、雅~。ここちゃんにドレス買ってあげたら?」
私の視線をたどっていた茉由子さんが、急に声を上げた。
「「は?」」
その内容についていけなくて、困惑でチーフとハモってしまった。
「周年記念パーティーがあるんでしょ? ドレスアップして、ダンスもするんだって?」
茉由子さんが明るく続ける。
「ここがオトコの見せ所だよ、雅」
キッチンから、戸惑いを隠せないチーフの視線が突き刺さる。
「…お前、着る服ないのか」
や。そんな哀れまれると、照れる。
って、違う‼︎
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