Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

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「おー、奏。久しぶり!」
「なんだよ、可愛い子連れて」

奏くんに連れられて入ったラーメン屋さんは都心の裏通りを入ってすぐの場所にあり、ダイニングバーのような佇まいで、女の子もたくさんいるカジュアルな感じのお店だった。

おしゃれなのに活気があって気取りない感じが心地良い。
奏くんは常連さんみたいで、店員さんとラフに会話している。

かっ、可愛い子って私ですか―――!?

店員さんのリップサービスに一瞬浮かれたけど、よく考えてみたら奏くんはいつも可愛い女の子を連れていたから、まあ、一種の定説みたいなものだろう。

テーブル席に座ると、ずっと奏くんと繋いでいた手が離れた。なんだか心細くなって、慌てて自分の手を握り締めた。

しっかりしろ、のい。
同級生に再会して、ご飯食べに来ただけだから。
それ以上でも以下でもないから。

ていうかさぁ。
私が足捻ったからなんだけどさ。
奏くんと手つないで歩いてたなんて高校の人たちに知られたら、確実に殺されるな…

忘れもしない。

高校2年の文化祭で、奏くんのバンドがステージに立っていて、熱狂的なファンで体育館が埋め尽くされていた。

文化祭実行委員だった私は端っこで見回りをしていたんだけど。
興奮した集団が前列の人を押して誰かが倒れ込んだ。

急いで駆け寄ったら群衆にもみくちゃにされて、あっという間に上に何人もの人に乗られて折り重なって倒れて息が出来なかった。

苦しい。痛い。熱い。

ものすごい圧迫感から急に解放されて、気づいたら私の腕をつかんだ奏くんにステージに引き上げられていた。

「…叫べば」

汗と涙でぐちゃぐちゃで、制服もよれよれで。
私だって好きで実行委員になったんじゃない。

私だって好きで言いたいことも言えずに、周りの顔色をうかがって生きているんじゃない。
何のためにここにいて、何をして生きていきたいのかなんて、自分が一番わからない。

ステージの上で絶叫した。

とたんに、しがらみから解放されて自由になった。
嘘みたいに身体が軽くなった。
自分は自分で、ここにいていいんだと思った。

んだけど。

その後が怖かった。
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