Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

remo

文字の大きさ
26 / 124

blue.25

しおりを挟む
「ちょっとあんた、研究室から干されたんじゃないでしょうね!?」

広報課に戻ると、早速橙子さんから睨まれた。

「違いますよー。今日は和泉さんが早退しちゃったんです」

まあ、相変わらず研究室では何の役にも立っていないけど。
和泉さんが何か言ってくれたのか、本日の風当たりはあまり強くなかった。

「そうか。それなら良かった」

橙子さんがあからさまにほっとしたような表情を見せた。
…出来の悪い部下でごめんなさい。

「あんたのまとめた資料、よくできてたよ」

こっちを見ないまま、橙子さんがぼそっとつぶやいた。
不意打ちで誉められて、弱った涙腺が刺激されてしまう。

「橙子さ―――んっ」

抱き付こうとしたら、橙子さんがちょうど椅子を引いて立ち上がり、行き場を失くした私は勢い余ってその隣の木下さんに受け止めてもらった。

「…すみません」

「手つなぎ出勤なんて、浮かれてるからじゃないですか」

なんか、ひんやりした空気が流れた。

「…すみません」

まあ確かに、浮かれていたのは事実。だけども。

「和泉碧は、高梨麻雪しか選べませんよ」

木下さんが表情を変えないまま冷たい口調でつぶやいた。

「え、…?」
「さっさとどいてください。のんきな社員さんと違って、こっちは残業できないんですから」

問い返しても、冷たい口調で畳みかけられただけだった。

「…すみません」

すごすごと自席に戻ると、

「あんた、あの和泉さんと手つなぎ出勤!? いつの間にそんなことになってんの―――!?」

興奮した橙子さんに首を絞められたけど、ちょっとそれどころじゃなかった。

木下さん、和泉さんのこと知ってるのかな。
和泉さんの寂し気な微笑みの理由を。

橙子さんの向こうに座る木下さんの横顔を盗み見る。

木下沙良さんは派遣社員さんで勤務中はほとんど無駄話をせず、ひたすら業務をこなして定時に帰る。

美人で仕事が早くて、実はひそかにお近づきになりたかったんだけど、どうもいつも怒られる。

…よし。

「橙子さん、私、今日定時で帰っていいですか」
「…好きにしなよ、リア充め」

隣で橙子さんがぶつぶつ呟いている。

「やっぱり女は隙がないとダメなのか。ドジっ子がいいのか。突っ込んで鼻血か? 鼻血なのか?」
「…落ち着け」

あ。森先輩がしゃべった。

「会議」
「あ、そうだった! 森くん、ありがとっ」

橙子さんが怒涛の勢いで書類をばらまきながら飛んで行った。

その後姿を見つめる森先輩の視線が優しい。
え! これって、…

にやにやしながら森先輩を見ていたら、前から消しゴムが飛んできた。

…照れやさん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】

remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。 佐倉ここ。 玩具メーカーで働く24歳のOL。 鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。 完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。 【完結】ありがとうございました‼

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。 今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。 家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。 だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?

さんかく片想い ―彼に抱かれるために、抱かれた相手が忘れられない。三角形の恋の行方は?【完結】

remo
恋愛
「めちゃくちゃにして」 雨宮つぼみ(20)は、長年の片想いに決着をつけるため、小湊 創(27)に最後の告白。抱いてほしいと望むも、「初めてはもらえない」と断られてしまう。初めてをなくすため、つぼみは養子の弟・雨宮ななせ(20)と関係を持つが、―――… 【番外編】追加しました。 ⁂完結後は『さんかく両想い』に続く予定です。

私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない

朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。 止まっていた時が。 再び、動き出す―――。 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦* 衣川遥稀(いがわ はるき) 好きな人に素直になることができない 松尾聖志(まつお さとし) イケメンで人気者 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*

年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25) 「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」 ◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20) 「京都案内しようか?今どこ?」 再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。 「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」 「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

処理中です...