Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

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「木下さん、お茶しませんか―――!?」

定時退席した木下さんを追いかけて、更衣室に突撃した。
が。

「…無駄ですよ」

対応は相変わらずクールだった。

「碧さんを好きになっても」

…碧さん。

木下さんのややつり気味で切れ長の瞳が一瞬切なげに瞬いた。
やっぱり木下さんと和泉さんて、…

「付き合ってたんですか?」

勇気を出して聞いてみたものの、

「あなたとお茶をする無駄な時間はありません。失礼します」

わー。ばっさりー。

木下さんは静かにロッカーを閉めて更衣室のドアに手をかける。

「…ブルーレインさえなければ」

謎めいた言葉を残して更衣室のドアがゆっくりと閉まった。

ブルーレイン。

ってなに!?

ていうか、木下さんが元カノで麻雪さんが今カノだったら、綺麗系から可愛い系まで、キリッと系からおっとり系まで、オールオッケーってことで。

…今更だけど、和泉さん、モテるんだなぁ。

まあ、あの見た目であの中身だもんね。

自分の手のひらを見つめてから握りしめる。

『離したくない』

って、言ってくれたの、空耳だったかも。
それか、なんか杖がわりが欲しかったとか。
手が冷たくて暖を取りたかったとか。

自分で考えて落ち込んできたので、頭を切り替えようと、スマートフォンを取り出してブルーレインを検索してみた。

いくつかヒットした中で、それらしいのを眺める。

『ブルーレインは20××年にウィンエンターテイメントが発表した世界最先端のVRゲーム。昏睡状態で意識に直接働きかけ、異世界に転生したようなリアルなゲーム体験が出来るのが最大の魅力。』

ふむふむ。

ちらちらスマホを見ながら、会社のビルを出ようとしたところで、後ろから走ってきた誰かにぶつかられ、派手に転んだ。

歩きスマホ、ダメ、絶対。

「すみま、…」

起き上がって、私につまずいた人に謝ろうとしたら、舌打ちされて睨まれた。

「邪魔っ!」

「…すみません」

もう一度謝ると、男の人は恨みがましい視線を向けて再度舌打ちしてから、苛立たしげに行ってしまった。

…怖いし。

っていうか、今の人どこかで見たような気がする…

立ち上がって歩き出すと、靴の下で何かが音を立てた。

慌てて足をどかしてのぞき込むと、

「…USB?」

キーフォルダーのような小さなUSBメモリが落ちていた。
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