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blue.36
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何だか物思いに沈んでいたら、前に座るミオちゃんとサリちゃんがキャアキャア言い出して、何事かと思ったら、いきなり頭をはたかれた。
「お前、またラーメン食べてんの」
「…奏くん!」
奏くんが当然のようにテーブルにお盆を置いて、私の隣を陣取る。
「いただきます」
なんとも優雅な仕草でお箸を手にして、Aランチ定食を食べ始めた。
本日のAランチ。ぶり照り焼き定食。美味しそう。
いや、ラーメンと迷ったんだよ、ホント。
「…口開けろ」
え。
奏くんの声に条件反射のように口を開けると、ぶりの照り焼きを詰め込まれた。
「…美味しい」
じゃなくて!
「なんでいるの!?」
「記事のゲラ持ってきた」
涼しい顔をしてきれいな箸遣いで定食を食べつつ、
「初めまして。こいつの同級生です」
サリちゃんミオちゃんともあっという間に打ち解けている。
いや、この人さあ…
奏くんが定食を食べる口元を見るともなしに見てしまう。
めっちゃ自然だけど、…昨日私にキスしたよね。
きれいな瞳。若葉の匂い。
シャツごしの硬い胸板。
優しくて柔らかくて甘い唇。
うおっ、うお、やばい。
急速に顔に全身の熱が集まってクラクラした。
あれはただの挨拶―――――っ!!
「…なに?」
気が付けば奏くんがちょっと面白そうな顔をしてこっちを見ていた。
「またして欲しい?」
い、い、い、…
なんか読まれた!? そんでこの余裕は何。
頭を掻きむしりたいような足を踏み鳴らしたいような全身がむず痒いような状態になって、
「い―――っ」
意味もなく立ち上がり、意味不明な奇声を発すると、
奏くんには吹き出されて、サリちゃんミオちゃんには呆れられた。
「ついにサル語になったよ」
「サルの本領発揮だ」
サルじゃないしっ。別にして欲しくないしっ。
「お前、またラーメン食べてんの」
「…奏くん!」
奏くんが当然のようにテーブルにお盆を置いて、私の隣を陣取る。
「いただきます」
なんとも優雅な仕草でお箸を手にして、Aランチ定食を食べ始めた。
本日のAランチ。ぶり照り焼き定食。美味しそう。
いや、ラーメンと迷ったんだよ、ホント。
「…口開けろ」
え。
奏くんの声に条件反射のように口を開けると、ぶりの照り焼きを詰め込まれた。
「…美味しい」
じゃなくて!
「なんでいるの!?」
「記事のゲラ持ってきた」
涼しい顔をしてきれいな箸遣いで定食を食べつつ、
「初めまして。こいつの同級生です」
サリちゃんミオちゃんともあっという間に打ち解けている。
いや、この人さあ…
奏くんが定食を食べる口元を見るともなしに見てしまう。
めっちゃ自然だけど、…昨日私にキスしたよね。
きれいな瞳。若葉の匂い。
シャツごしの硬い胸板。
優しくて柔らかくて甘い唇。
うおっ、うお、やばい。
急速に顔に全身の熱が集まってクラクラした。
あれはただの挨拶―――――っ!!
「…なに?」
気が付けば奏くんがちょっと面白そうな顔をしてこっちを見ていた。
「またして欲しい?」
い、い、い、…
なんか読まれた!? そんでこの余裕は何。
頭を掻きむしりたいような足を踏み鳴らしたいような全身がむず痒いような状態になって、
「い―――っ」
意味もなく立ち上がり、意味不明な奇声を発すると、
奏くんには吹き出されて、サリちゃんミオちゃんには呆れられた。
「ついにサル語になったよ」
「サルの本領発揮だ」
サルじゃないしっ。別にして欲しくないしっ。
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