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blue.39
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デジタルアートミュージアムで、
「すごいっ、きれいっ、楽しい―――っ」
超巨大な作品群に身体ごと飛び込んだ。
光と闇を目で楽しみ、音響を耳で楽しみ、水に足を浸してその感触を楽しむ。
が。
「和泉さんっ、ちょ、…待って」
巨大なボルダリングやクライミングのアートで見事に遅れをとった。
もがく私を、和泉さんは笑顔で待っていてくれて、
「ほら」
その大きくて温かい手を差し出してくれた。
私が和泉さんの手につかまると、
「これで、一緒に歩けるな」
和泉さんがつなぎ方を変えた。
とたんに心臓が一オクターブ跳ね上がった。
これは。このつなぎ方は。
指と指が絡まる。
手のひら全部が触れ合う。
手首も腕も擦れ合う。
お互いの体温が伝わる。
心臓の音まで伝わる。
「…和泉さん」
「ん?」
全く自然な感じで私を見下ろす和泉さんの顔が近い。
腕も肩も頭も髪も、全部触れてしまいそうなほど近い。
これは。恋人の距離、じゃないですか。
和泉さんと恋人繋ぎのまま、
アクアパークで光に浮かぶクラゲの群れと水中生物を見た。
宝石箱みたいにカラフルな熱帯魚の水槽に癒された。
のんびり動く大きな亀の優しい瞳に和泉さんを重ねた。
ショップでもふもふしたアザラシのぬいぐるみを見ていたら、
「そっくりだな」と笑われた。
サルかアザラシか。悩ましいところだ。
って、なんか違う!
夜風に当たりながら川沿いの道を歩いた。
ライトアップされた街路樹の向こうに七色に輝くタワーが見えた。
熱気を冷まそうとして空を見上げたら、
暗い空に微かな月が浮かんでいた。
一つだけ。
和泉さんに確かめたいことがある。
ずっと繋いでいる手の温かさが私に勇気をくれた。
私に出来ることがあるなら。
きっと何でもするから。
「お茶飲んでくか」
和泉さんに手を引かれて、明治時代を彷彿とさせる洋館めいた珈琲茶房に入った。
コーヒーの芳しい香りが漂う店内は、アンティークな家具や食器が並んでいた。そして絶対コーヒーに合う麗しいケーキたちが一斉に私に微笑みかけた。
「け、…ケーキセットにしてもいいですか」
舌なめずりする勢いでショーケースのケーキを見ていると、
「お前、…変わらないな」
和泉さんがすごく優しい顔をして頷きかけてくれた。
「すごいっ、きれいっ、楽しい―――っ」
超巨大な作品群に身体ごと飛び込んだ。
光と闇を目で楽しみ、音響を耳で楽しみ、水に足を浸してその感触を楽しむ。
が。
「和泉さんっ、ちょ、…待って」
巨大なボルダリングやクライミングのアートで見事に遅れをとった。
もがく私を、和泉さんは笑顔で待っていてくれて、
「ほら」
その大きくて温かい手を差し出してくれた。
私が和泉さんの手につかまると、
「これで、一緒に歩けるな」
和泉さんがつなぎ方を変えた。
とたんに心臓が一オクターブ跳ね上がった。
これは。このつなぎ方は。
指と指が絡まる。
手のひら全部が触れ合う。
手首も腕も擦れ合う。
お互いの体温が伝わる。
心臓の音まで伝わる。
「…和泉さん」
「ん?」
全く自然な感じで私を見下ろす和泉さんの顔が近い。
腕も肩も頭も髪も、全部触れてしまいそうなほど近い。
これは。恋人の距離、じゃないですか。
和泉さんと恋人繋ぎのまま、
アクアパークで光に浮かぶクラゲの群れと水中生物を見た。
宝石箱みたいにカラフルな熱帯魚の水槽に癒された。
のんびり動く大きな亀の優しい瞳に和泉さんを重ねた。
ショップでもふもふしたアザラシのぬいぐるみを見ていたら、
「そっくりだな」と笑われた。
サルかアザラシか。悩ましいところだ。
って、なんか違う!
夜風に当たりながら川沿いの道を歩いた。
ライトアップされた街路樹の向こうに七色に輝くタワーが見えた。
熱気を冷まそうとして空を見上げたら、
暗い空に微かな月が浮かんでいた。
一つだけ。
和泉さんに確かめたいことがある。
ずっと繋いでいる手の温かさが私に勇気をくれた。
私に出来ることがあるなら。
きっと何でもするから。
「お茶飲んでくか」
和泉さんに手を引かれて、明治時代を彷彿とさせる洋館めいた珈琲茶房に入った。
コーヒーの芳しい香りが漂う店内は、アンティークな家具や食器が並んでいた。そして絶対コーヒーに合う麗しいケーキたちが一斉に私に微笑みかけた。
「け、…ケーキセットにしてもいいですか」
舌なめずりする勢いでショーケースのケーキを見ていると、
「お前、…変わらないな」
和泉さんがすごく優しい顔をして頷きかけてくれた。
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