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blue.66
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「おや」
「まあ」
背が高くて英国紳士そのもののお父さんは、鼻が高くて瞳が青い。
わああっ、かっこいい―――っ
小柄で全体的に丸い感じのお母さんは人懐っこい微笑みが奏くんに似ている。
きゃああっ、可愛らしい―――っ
ってそうじゃなく。
挨拶よ―――っ、のい!
「あ、…あのっ、え、…えええ、…」
秋くんのバカ―――――っ
余計なこと言うから、何て言えばいいのかわからなくなっちゃったじゃん。
「どっ、どっ、…」
私と奏くんの関係は、悲しいことに同級生しかないんだっての。
なんかテンパってカミカミで、せめて髪の毛くらい梳かしてからくるべきだったーとか思っていたら、ベッドの方で衣擦れの音がして、
少しかすれた甘い声。
心に染みる深い声。
一瞬で心をつかまれるあの、
涙が出るほど恋しかった奏くんの声が、
「…アミィ?」
…別の女の人を呼んだ。
ちょっと、ちょっと―――っ
そこは嘘でも「のい」でしょ―――! などという突っ込みも追いつかず。
「奏くん…っ」
アミィじゃないけど。
呼ばれてないけど。
もはや完全に場違いのような気がしないでもないけど、
だけど。
奏くんの声を聞いたら、もう居ても立ってもいられなくて、ベッドの枕元に駆け寄った。
「か、なで、…くん?」
白いベッドの上に、奏くんがいた。
頭と腕に痛々しく包帯が巻かれていて、少し痩せたような気もするけど、…
生きてる。動いてる。
確かに。そこにいる。
涙が溢れて止まらなかった。
滑らかな肌。柔らかく揺れる髪。
長いまつ毛。形のいい鼻。桜色の唇。
奏くんのきれいな二重が瞬いて、少し空をさまよってからその瞳に私を映した。
「…本宮?」
息が、止まる。
奏くんの声が私を呼んだけど、返事が出来なかった。
永遠に続く深い闇を明るく照らすアースアイ。
宇宙に浮かぶ地球のような青と淡褐色の瞳。
心まで照らし出す不思議な瞳の色。
時間と空間が遠ざかる。
過去と今が交錯する。
音と色が消えてなくなる。
月の光を浴びて青い鳥が羽ばたいた。
「…あおくん」
とめどなく流れる涙の向こうで、
奏くんの瞳が、不思議な色をたたえて真っ直ぐに私を見ていた。
「まあ」
背が高くて英国紳士そのもののお父さんは、鼻が高くて瞳が青い。
わああっ、かっこいい―――っ
小柄で全体的に丸い感じのお母さんは人懐っこい微笑みが奏くんに似ている。
きゃああっ、可愛らしい―――っ
ってそうじゃなく。
挨拶よ―――っ、のい!
「あ、…あのっ、え、…えええ、…」
秋くんのバカ―――――っ
余計なこと言うから、何て言えばいいのかわからなくなっちゃったじゃん。
「どっ、どっ、…」
私と奏くんの関係は、悲しいことに同級生しかないんだっての。
なんかテンパってカミカミで、せめて髪の毛くらい梳かしてからくるべきだったーとか思っていたら、ベッドの方で衣擦れの音がして、
少しかすれた甘い声。
心に染みる深い声。
一瞬で心をつかまれるあの、
涙が出るほど恋しかった奏くんの声が、
「…アミィ?」
…別の女の人を呼んだ。
ちょっと、ちょっと―――っ
そこは嘘でも「のい」でしょ―――! などという突っ込みも追いつかず。
「奏くん…っ」
アミィじゃないけど。
呼ばれてないけど。
もはや完全に場違いのような気がしないでもないけど、
だけど。
奏くんの声を聞いたら、もう居ても立ってもいられなくて、ベッドの枕元に駆け寄った。
「か、なで、…くん?」
白いベッドの上に、奏くんがいた。
頭と腕に痛々しく包帯が巻かれていて、少し痩せたような気もするけど、…
生きてる。動いてる。
確かに。そこにいる。
涙が溢れて止まらなかった。
滑らかな肌。柔らかく揺れる髪。
長いまつ毛。形のいい鼻。桜色の唇。
奏くんのきれいな二重が瞬いて、少し空をさまよってからその瞳に私を映した。
「…本宮?」
息が、止まる。
奏くんの声が私を呼んだけど、返事が出来なかった。
永遠に続く深い闇を明るく照らすアースアイ。
宇宙に浮かぶ地球のような青と淡褐色の瞳。
心まで照らし出す不思議な瞳の色。
時間と空間が遠ざかる。
過去と今が交錯する。
音と色が消えてなくなる。
月の光を浴びて青い鳥が羽ばたいた。
「…あおくん」
とめどなく流れる涙の向こうで、
奏くんの瞳が、不思議な色をたたえて真っ直ぐに私を見ていた。
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