【完結】君への祈りが届くとき

remo

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Ⅱ.有輝

02.

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天使を見つけたのは、まだ寒さが残る頃。
時間だけが俺に与えられた全てで。
何もすることがなくて、ただ街をフラフラしていた。

みんな行くところがあって。
やるべきことがあって。
せわしなくかいがいしく。
毎日一生懸命に先に進んでいくのに。

俺だけ。
何も見つけられずに。
何も変わらない日々を罪深く生きていた。

俺には何もない。
何の価値もない。

虚無感だけで、毎日が終わっていく。

土手の上から川を眺めながら歩いていたら、
川べりに光を浴びて、天使が立っていた。
曇った空から天使の梯子が降りてきて、
つかの間地上に遊びに来たみたいに。

俺を。
迎えに来てくれたみたいに。

驚かさないように、静かに土手を降りていくと、
天使が川に何か落とした。

天使の後ろ姿と流れて行く何かを見比べて、
下流に拾いに走った。

だいぶ流されてから、やっと追いついて棒で引き寄せて拾うと、

『1072番 諏訪あかり』

高校入試のための受験票だった。

受験票には写真が貼られていて、横顔しか見えなかった天使が、こちらを向いて写っていた。

目を離せなくなった。

もうだいぶ長いこと、どんなものにも反応することがなかった心の奥深い部分で、何かが、音を立てて動き始めた。

夢。とか。希望。とか。
ずっと昔にどこかに無くしてしまって、もう自分には二度と見つけられないと思っていた、何か。

濡れてしまった受験票を胸に抱いて、急いで上流へ戻ったけれど、天使の姿はどこにも見えなくなっていた。

諏訪あかり。
受験会場 明学館高等学校。

俺の同級生たちは、今日高校入試を受けるんだっけ、と思い出した。
だいぶ前に中学の担任と親が話していたような気がする。
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