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Ⅱ.有輝
04.
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「へぇ、お前も好きなヤツなんているんだな」
部屋であかりの受験票を見ていたら、後ろから兄貴がのぞき込んできた。
「見るなよ」
受験票を伏せる。
「…かわいそうに。お前が近づいたら、不幸になる」
兄貴の挑発には慣れている。
息を止めて、目を閉じた。
「せいぜい気をつけるんだな」
嘲るような言葉を残して、兄貴が部屋を出ていく。
静かに、息を吐いた。
兄貴の言うことは正しい。
瀬能も、母も、円香も、…俺が不幸にした。
その家族も。自分の家族も。
俺は穢れている。
瀬能の耳をつんざくような悲鳴は今でも鮮やかによみがえる。
母は最期まで俺の心配をしていた。
なのに俺は、立ち会えなかった。
そして円香は、俺に助けを求めていたのに、
俺は気づくのが遅すぎた。
俺は穢れている。
「有輝くん、少し、薬を変えようか」
中里大学附属病院は、以前俺が入院していて、今でも通っているところだ。
そして母も、円香も、ここで亡くなった。
担当医の森先生は、入院時から、ずっと俺を診てくれている。
「起きる時に、少しだるくなるかもしれないけれど、前のものより良く眠れるはずだ。ただ、くれぐれも使用量を守るようにね」
入院中に、不眠症、と診断された。
退院してからも、薬をもらい続けている。
でも、薬の効力にはムラがあり、最近はほとんど効果がなかった。
手に入れた新しい薬は。
多分。
俺に眠りを与えてくれる。
本当はずっと、
もう起きる必要はないんじゃないかと思っている。
病院帰りに川沿いを歩く。
暮れかかった空に天使の梯子が見える。
あかりが俺を迎えに来た天使で、
俺を眠らせてくれたらいいのに。
部屋であかりの受験票を見ていたら、後ろから兄貴がのぞき込んできた。
「見るなよ」
受験票を伏せる。
「…かわいそうに。お前が近づいたら、不幸になる」
兄貴の挑発には慣れている。
息を止めて、目を閉じた。
「せいぜい気をつけるんだな」
嘲るような言葉を残して、兄貴が部屋を出ていく。
静かに、息を吐いた。
兄貴の言うことは正しい。
瀬能も、母も、円香も、…俺が不幸にした。
その家族も。自分の家族も。
俺は穢れている。
瀬能の耳をつんざくような悲鳴は今でも鮮やかによみがえる。
母は最期まで俺の心配をしていた。
なのに俺は、立ち会えなかった。
そして円香は、俺に助けを求めていたのに、
俺は気づくのが遅すぎた。
俺は穢れている。
「有輝くん、少し、薬を変えようか」
中里大学附属病院は、以前俺が入院していて、今でも通っているところだ。
そして母も、円香も、ここで亡くなった。
担当医の森先生は、入院時から、ずっと俺を診てくれている。
「起きる時に、少しだるくなるかもしれないけれど、前のものより良く眠れるはずだ。ただ、くれぐれも使用量を守るようにね」
入院中に、不眠症、と診断された。
退院してからも、薬をもらい続けている。
でも、薬の効力にはムラがあり、最近はほとんど効果がなかった。
手に入れた新しい薬は。
多分。
俺に眠りを与えてくれる。
本当はずっと、
もう起きる必要はないんじゃないかと思っている。
病院帰りに川沿いを歩く。
暮れかかった空に天使の梯子が見える。
あかりが俺を迎えに来た天使で、
俺を眠らせてくれたらいいのに。
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