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2章.なりゆきリレーション
05.
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「つぼみ、俺は、…」
創くんが静かに私の腕を振りほどいた。
「…お前の初めての相手にはなれないよ。まだ、…」
はっきりと線を引かれた。
初めて創くんの本音を聞いた気がする。
「…そうだよね」
なけなしの気力をかき集めて笑顔を作った。
創くんは優しい。
ずっと頼りになるお兄ちゃんでいてくれて、私を傷つけないように関係を築いてくれていた。だけど、私じゃダメだ。
どんなに頑張っても、創くんは、私じゃダメなんだ。
「そりゃあそうだ。ごめんね、突然」
創くんから身を引く。
「周りがみんな、そんな話ばっかりでちょっと焦っちゃったんだ。柄でもないことしてごめん、忘れて」
まだ。泣くな、つぼみ。
足を動かすことだけに集中して創くんから離れると、停まったままのエレベータに乗り込んで閉ボタンを連打した。
情けなくて悔しくて苦しい。
頭で考えるのと実際に体験するのはこんなにも違う。玉砕覚悟とか、諦めもつくとか、そんなの全部、綺麗事。
「つぼみっ‼ ちょっと、待、…」
最後、ちゃんと笑えたよね。
ドアが閉まり切る直前、創くんが追いかけてくれようとしたのが見えた。
創くんは本当に優しい。
「追いかけてどうするの? 結局抱いてあげないんじゃ、あの子を傷つけるだけじゃない。中途半端な優しさはツラいだけよ」
優しくて、この上なく残酷。
笑えるほど、独りよがり。呆れるほど、役に立たない。
エレベータの中で笑いさえこみ上げてきた。
どんなに一生懸命想ったって、創くんには何の価値もない。
マンションを出て見えないところまで走ると、息が切れて涙腺が決壊した。
涙でぐちゃぐちゃの顔のまま夜の街を彷徨う。
ビルのネオンがぼやけて映る。はだけたブラウスに風が沁みる。
『心配しなくても、女の子に迫られて嫌な男なんていないよ』
コウ先輩、ダメだった。私じゃダメだった。
創くん、すごく困ってた。逆ギレして好きな人を困らせた。最低。
こんな衝動的なことしてホント痛い。ホント子ども。
創くんが着せ掛けてくれた上着が温かくて苦しい。創くんの匂いがして辛い。
壊れたように後から後から涙が溢れる。
私はずっと、創くんのことを困らせていたのかな。気を遣わせていたのかな。本当はずっと迷惑だったのかな。
振られたって死ぬわけじゃない。けど。
世界中で自分だけが必要のない人間に思える。
あてもなく街を彷徨い歩く。
行くところがない。待っている人もいない。
こんな私、誰も要らない。
創くんが静かに私の腕を振りほどいた。
「…お前の初めての相手にはなれないよ。まだ、…」
はっきりと線を引かれた。
初めて創くんの本音を聞いた気がする。
「…そうだよね」
なけなしの気力をかき集めて笑顔を作った。
創くんは優しい。
ずっと頼りになるお兄ちゃんでいてくれて、私を傷つけないように関係を築いてくれていた。だけど、私じゃダメだ。
どんなに頑張っても、創くんは、私じゃダメなんだ。
「そりゃあそうだ。ごめんね、突然」
創くんから身を引く。
「周りがみんな、そんな話ばっかりでちょっと焦っちゃったんだ。柄でもないことしてごめん、忘れて」
まだ。泣くな、つぼみ。
足を動かすことだけに集中して創くんから離れると、停まったままのエレベータに乗り込んで閉ボタンを連打した。
情けなくて悔しくて苦しい。
頭で考えるのと実際に体験するのはこんなにも違う。玉砕覚悟とか、諦めもつくとか、そんなの全部、綺麗事。
「つぼみっ‼ ちょっと、待、…」
最後、ちゃんと笑えたよね。
ドアが閉まり切る直前、創くんが追いかけてくれようとしたのが見えた。
創くんは本当に優しい。
「追いかけてどうするの? 結局抱いてあげないんじゃ、あの子を傷つけるだけじゃない。中途半端な優しさはツラいだけよ」
優しくて、この上なく残酷。
笑えるほど、独りよがり。呆れるほど、役に立たない。
エレベータの中で笑いさえこみ上げてきた。
どんなに一生懸命想ったって、創くんには何の価値もない。
マンションを出て見えないところまで走ると、息が切れて涙腺が決壊した。
涙でぐちゃぐちゃの顔のまま夜の街を彷徨う。
ビルのネオンがぼやけて映る。はだけたブラウスに風が沁みる。
『心配しなくても、女の子に迫られて嫌な男なんていないよ』
コウ先輩、ダメだった。私じゃダメだった。
創くん、すごく困ってた。逆ギレして好きな人を困らせた。最低。
こんな衝動的なことしてホント痛い。ホント子ども。
創くんが着せ掛けてくれた上着が温かくて苦しい。創くんの匂いがして辛い。
壊れたように後から後から涙が溢れる。
私はずっと、創くんのことを困らせていたのかな。気を遣わせていたのかな。本当はずっと迷惑だったのかな。
振られたって死ぬわけじゃない。けど。
世界中で自分だけが必要のない人間に思える。
あてもなく街を彷徨い歩く。
行くところがない。待っている人もいない。
こんな私、誰も要らない。
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