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「行きがかり上、手を貸すのはまあ百歩譲って好きにすればいいけど、…」
私の内心などお見通しのマキちゃんは、牛乳を飲み終わった卯月の背中を優しく撫でながら、
「何があっても絶対あの子を好きになっちゃダメよ。何をどう考えてもあんたたちに未来はないからね!!」
くっきりはっきり、ぐっさりと釘を刺した。
「な、…ないないない」
あはは、と薄っぺらい笑顔を張り付けて片手を振る私は、自分でも胡散臭いと思う。
穂月を好きとか、…
彼は頭がおかしいし得体がしれないし。
激しく年下だし高校生だし子連れだし。
ないないない、どう考えてもない。
大体私はもういい大人で、立場も世間体もあるし、結婚とかも考えているわけで。真面目なだけが取り柄だし。そんないい年して運命の恋とか、奇跡の恋とか、夢みたいなこと思ってないし。
ないないない、あるわけない。
穂月を好きとか、…
「…ナナエさあ、…あんたがそこまで馬鹿とは思わないけど」
そんな私を可哀想なものを見るような目で見て、マキちゃんが盛大なため息をついた。
「泣きたくなったらいつでも言いな。一緒に泣いてあげるから」
「マ、…マキちゃ―――んっ」
卯月をはさんでマキちゃんにヒシっとしがみついたら、
「もうかよ? 早いな」
「ははうええ~~~~」
頼りがいのあるマキちゃんは、ぷくぷくの頬っぺたを擦りつけてきた卯月と合わせて、両腕にまとめて抱きしめてくれた。
「この子、…卯月? 3歳の割には小さいけど、すごくもの分かりがいいね。なんかそれなりのお家で厳しくしつけられたんじゃないかなあ? とりあえず、警察に行方不明者届が出されてないかだけは確認しておいた方がいいよ」
マキちゃんの言葉に激しくうなずく。
穂月の言葉を信じて時代を超えたんだとしたら、彼らは数え年だし、男子の教育は今より相当厳しいものがあっただろう。
なんて。
穂月と卯月には何か事情があるんだろう。だけど、帰るべき場所があるのなら、そこに帰るのが一番いい。
大丈夫。ちゃんと分かっている。
私の内心などお見通しのマキちゃんは、牛乳を飲み終わった卯月の背中を優しく撫でながら、
「何があっても絶対あの子を好きになっちゃダメよ。何をどう考えてもあんたたちに未来はないからね!!」
くっきりはっきり、ぐっさりと釘を刺した。
「な、…ないないない」
あはは、と薄っぺらい笑顔を張り付けて片手を振る私は、自分でも胡散臭いと思う。
穂月を好きとか、…
彼は頭がおかしいし得体がしれないし。
激しく年下だし高校生だし子連れだし。
ないないない、どう考えてもない。
大体私はもういい大人で、立場も世間体もあるし、結婚とかも考えているわけで。真面目なだけが取り柄だし。そんないい年して運命の恋とか、奇跡の恋とか、夢みたいなこと思ってないし。
ないないない、あるわけない。
穂月を好きとか、…
「…ナナエさあ、…あんたがそこまで馬鹿とは思わないけど」
そんな私を可哀想なものを見るような目で見て、マキちゃんが盛大なため息をついた。
「泣きたくなったらいつでも言いな。一緒に泣いてあげるから」
「マ、…マキちゃ―――んっ」
卯月をはさんでマキちゃんにヒシっとしがみついたら、
「もうかよ? 早いな」
「ははうええ~~~~」
頼りがいのあるマキちゃんは、ぷくぷくの頬っぺたを擦りつけてきた卯月と合わせて、両腕にまとめて抱きしめてくれた。
「この子、…卯月? 3歳の割には小さいけど、すごくもの分かりがいいね。なんかそれなりのお家で厳しくしつけられたんじゃないかなあ? とりあえず、警察に行方不明者届が出されてないかだけは確認しておいた方がいいよ」
マキちゃんの言葉に激しくうなずく。
穂月の言葉を信じて時代を超えたんだとしたら、彼らは数え年だし、男子の教育は今より相当厳しいものがあっただろう。
なんて。
穂月と卯月には何か事情があるんだろう。だけど、帰るべき場所があるのなら、そこに帰るのが一番いい。
大丈夫。ちゃんと分かっている。
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