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「お前、…帰るのか」
優しく、確かめるように唇に触れていた穂月が、じっと私を覗き込む。穂月の目は、この戦国に生きる少女なえに取り憑いた、私を見ているように思える。…なんて、考え過ぎかな。
でも。
穂月は、私が間者でも、生霊でも、得体がしれなくてもいいと言ってくれた。
私も。
穂月が戦国武将でも、時を超えた高校生でも、子持ちでも。
歳の差があっても。妄言でも。騙されてても。何もかもを無くしても。
「穂月がいいよ。穂月、大好き、…」
穂月に手を伸ばすと穂月がしっかり抱きしめてくれた。
「なえ。次は、…祝言を上げるぞ」
私の存在を確かめるように、穂月の腕が、手のひらが、指先が私をたどる。
穂月の甘く柔らかい唇が優しい雨のように落ちてくる。
もっと穂月を感じたいのに、ぽつりと水に落としたインクみたいに、じんわりと意識が揺れていく。
タイムリミット。待って。もう少し。
「うん。未来で待ってる、…」
自分から穂月に腕を伸ばし、唇を合わせ、舌を伸ばしてねだる。
ただ。そばにいてくれるだけでいい。
同じ景色を見たり同じざわめきを聞いたり同じ匂いを嗅いだり。
笑ったり怒ったり。ふざけたり抱き合ったり。
絡み合う舌先を、交わる温度を、この深くて儚い繋がりを。
今度は絶対忘れないから。
薄く翳った視界の中で、月を映して金色に光る穂月の瞳が私を射る。
「分かった。何があっても必ずお前に会いに行く」
穂月が鞘に収まったままの時切丸を懐から出して傍らに置いた。
月の光を浴びて黄金に輝く刀は、柄に精巧な巻模様が施されており、とても綺麗だけどどこか禍々しくもあり、魂を吸い寄せられるような魅力がある。合戦の際は大刀となり護身用には懐刀となるこの不思議な刀は、今は月光を反射させ、そして自らも内側から眩いばかりの光を放っていた。
「わ、…」
時切丸が放つ光で自分を包む世界の全てが真っ白になる。
何も見えない、何も聞こえない、誰もいない、何もない。
ただ穂月と繋がる二人だけの空間に投げ出された。
「お前に、俺を刻ませて、…」
穂月の熱い塊が一突きで奥深くまで私を満たす。
待ち焦がれて甘く潤み切った中が、一瞬で歓喜に溢れる。
もの凄い熱量の快感が一気に膨れ上がって弾け、身体の隅々まで轟音で浸透していく。喘ぎ声も痙攣も全部穂月に飲み込まれ、決定的なしるしが私の中に刻まれたのが分かった。
「愛してる、…」
真っ白な世界で、時切丸の刀身が薄く笑った三日月みたいな口を開けた。
その薄い口が徐々に開いて本来交わらないはずの時を切り裂き、私をはるか彼方に漂っている時の切れ端に結び付けた。
優しく、確かめるように唇に触れていた穂月が、じっと私を覗き込む。穂月の目は、この戦国に生きる少女なえに取り憑いた、私を見ているように思える。…なんて、考え過ぎかな。
でも。
穂月は、私が間者でも、生霊でも、得体がしれなくてもいいと言ってくれた。
私も。
穂月が戦国武将でも、時を超えた高校生でも、子持ちでも。
歳の差があっても。妄言でも。騙されてても。何もかもを無くしても。
「穂月がいいよ。穂月、大好き、…」
穂月に手を伸ばすと穂月がしっかり抱きしめてくれた。
「なえ。次は、…祝言を上げるぞ」
私の存在を確かめるように、穂月の腕が、手のひらが、指先が私をたどる。
穂月の甘く柔らかい唇が優しい雨のように落ちてくる。
もっと穂月を感じたいのに、ぽつりと水に落としたインクみたいに、じんわりと意識が揺れていく。
タイムリミット。待って。もう少し。
「うん。未来で待ってる、…」
自分から穂月に腕を伸ばし、唇を合わせ、舌を伸ばしてねだる。
ただ。そばにいてくれるだけでいい。
同じ景色を見たり同じざわめきを聞いたり同じ匂いを嗅いだり。
笑ったり怒ったり。ふざけたり抱き合ったり。
絡み合う舌先を、交わる温度を、この深くて儚い繋がりを。
今度は絶対忘れないから。
薄く翳った視界の中で、月を映して金色に光る穂月の瞳が私を射る。
「分かった。何があっても必ずお前に会いに行く」
穂月が鞘に収まったままの時切丸を懐から出して傍らに置いた。
月の光を浴びて黄金に輝く刀は、柄に精巧な巻模様が施されており、とても綺麗だけどどこか禍々しくもあり、魂を吸い寄せられるような魅力がある。合戦の際は大刀となり護身用には懐刀となるこの不思議な刀は、今は月光を反射させ、そして自らも内側から眩いばかりの光を放っていた。
「わ、…」
時切丸が放つ光で自分を包む世界の全てが真っ白になる。
何も見えない、何も聞こえない、誰もいない、何もない。
ただ穂月と繋がる二人だけの空間に投げ出された。
「お前に、俺を刻ませて、…」
穂月の熱い塊が一突きで奥深くまで私を満たす。
待ち焦がれて甘く潤み切った中が、一瞬で歓喜に溢れる。
もの凄い熱量の快感が一気に膨れ上がって弾け、身体の隅々まで轟音で浸透していく。喘ぎ声も痙攣も全部穂月に飲み込まれ、決定的なしるしが私の中に刻まれたのが分かった。
「愛してる、…」
真っ白な世界で、時切丸の刀身が薄く笑った三日月みたいな口を開けた。
その薄い口が徐々に開いて本来交わらないはずの時を切り裂き、私をはるか彼方に漂っている時の切れ端に結び付けた。
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