戦国男子高校生に言い寄られてます!?【完結】

remo

文字の大きさ
85 / 92
iiyori.10

04.

しおりを挟む
「え―――っと。感動の再会シーンに水を差して悪いんだけど。菜苗、5分くらい寝てただけだからね」

「正確には4分23秒。三宮さんもほぼ同時間で目覚めました」

頼れる養護教諭の真木鈴華ことマキちゃんと、教え子の女子生徒・坂下沙里さんが、私たちの運命の再会に容赦なく割り込み、

「つまり菜苗は刺されて寝てた5分くらいの間に、過去の記憶を取り戻してきたってこと?」

「過去というか、前世の記憶みたいなものですかね?」

取っ散らかったままの状況整理に乗り出した。

「え、私、寝てたの??」
「そらもうぐっすりと」
「ていうか、5分??」
「4分23秒です」
「早くない???」

ちょっと待ってよ。
都切丸で刺されて飛ばされた霊魂で体験してきた、穂月となえの戦国一大絵巻物語はそんな夢オチみたいな軽々しい感じなの??

「マ、…マキちゃんがおマキさんで、鷹峰くんが鷹朋さんで、雪だるまマモルが本物の達磨だったっていうのに??」

この時を超えたミラクル感とか、内から湧き上がる得も言われぬ感動は、私の一人芝居だっての??

「時切丸が見せた残像かもしれぬな」

多分結構ショックな顔をしていたんであろう、私を慰めるように穂月が背中をポンポン撫でた。

そうだよ、みんな。命がけの時空飛行を居眠り扱いして、温度差がひどいよ。

でも、穂月だけは感動を分かち合ってくれてる気がする。
穂月は過去の記憶を持ったまま時空を超えてきたからなのかな? だとしたら、最初に再開した時、感極まった感じの穂月を頭がおかしい扱いして警察呼ぼうとした私って、…最低じゃん。

「まあ、確かに」「不思議な刀だったね」
「不思議というか不気味」「消えちゃったもんね」

穂月の言葉にマキちゃんと坂下さん、そして、ぼんやりと放心状態の三宮さんをかかえている鷹峰くんも同意した。

「時切丸、消えたの?」

言われてみれば、刺されたはずの胸は全く痛くないし、傷跡もないし、刀自体もどこにもない。

「こう、吸い込まれるようにね」
「確かに刺さった気がしたけどね」

そうか。
私と三宮さんの霊魂は時切丸と一緒に時空を超えたんだ。向こうでの時間の流れとこっちでの時間の流れは違うのかもしれない。そもそも時空を切断するなんて、自分が経験しなきゃ信じられない。

「あの、…あたし、何を?」

何だか不思議な感慨に呆然としていたら、同じくぼんやりとしていた三宮さんが鷹峰くんの膝から降りて辺りを見回した。

「あなたはそこにいるちんけな年増を『偽物』扱いして刀で刺した後、気を失って倒れてたの」

もはや懐かしい響きですらある。ちんけな年増。
いや、マキちゃん。そこは「寝てた」で統一しようよ。

「偽物、…?」

小首を傾げる三宮さんには確かに三姫の面影がある。
魂が抜けるほど穂月に焦がれて、でも最終的には納得して晴信と行った三姫。穂月を思う気持ちは、本物に違いない。

「我こそが、穂月の運命の『なえ』で、そこでイチャイチャしているなえちゃんセンセ―は偽物だって」

鷹峰くんのイチャイチャに若干の非難を感じる。
穂月独裁の志田城とは違って、ここは健全な学び舎でしたね、…

「なえ? …あたし、恵奈えな、だけど」

三宮さんが長いまつ毛を瞬かせて、眩しそうに穂月を見つめた。

「は?」「え?」「なっ?」

誰もが固まる中、鷹峰くんが吹いた口笛に乗って、

桜百合さゆり学園高校1年、三宮恵奈えな、16歳。好きな言葉は『顔がよければすべてよし』です」

三宮恵奈さんがにっこり笑う。

あんた、なえ、ちゃうやんけ――――――っ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...