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secret.Ⅱ
10.
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「ウ、…」
ウルフが欲しくて、無意識に唇が開く。
「誰としたんだ? この欲しがりな唇で、…」
ウルフの指は俺の唇を弄ぶけど、中まで入れてくれない。
ウルフの柔らかな唇が皮肉にゆがむ。青く冷徹な瞳で俺をとらえて離さないまま、甘い吐息で俺の肌をくすぐる。さっきまでウルフが迸っていた俺の中がその熱を求めてみだらに燻ぶる。
「…キス」
目の前で酷薄に揺れるウルフの唇に塞がれたい。
「して、…ウルフ」
待ちきれなくてウルフにおもねるのに、長い指にさえぎられて冷たい唇はぎりぎり触れてくれない。柔らかく優しくたどられて、すぐ目の前でひけらかされてるのに、届きそうで届かない。
「言ってみろ。誰とキスした?」
俺のバカ。なんでウルフを試すようなこと言っちゃったんだ。
ウルフに焦らされてもどかしさに泣きたくなる。
「ウルフ、…っ」
「俺が欲しいなら言え。怒らないから」
圧倒的な迫力の中に、一片の甘さを浮かべて、澄んだ青い瞳が俺を射抜く。
嘘じゃん。もう怒ってるじゃん。
と思うも、ウルフに囚われた俺はこの青に逆らえない。ウルフの綺麗な青い瞳。
鮮烈な青。眩しく誇り高い青。俺をとらえて離さない、…俺の青。
「…アオ」
なんかもうこらえきれなくてすがるように吐き出した。
意地っ張りで見栄っ張りな俺の精一杯の強がり。笑わば笑え。でも、俺とアオはあの時確かに通じ合ってたんだ。
瞬間、ウルフの青い目が驚きに見開かれて、それから、愛しさに溢れた。
「…そうか」
ウルフがまとっていたとげとげしさは瞬時になくなり、いつも俺に向けられる慈愛みたいな曇りない愛情で溢れた。
ウルフの唇が俺に触れて、俺を開いて、俺をたどる。戯れるように軽く触れ合って、確かめるように瞳が絡んだ。ウルフの青に釘付けになりながら、ウルフの舌を受け入れる。俺は待ち焦がれていたウルフに触れられて、キスだけで軽く達した。
俺が欲しいのは唯一無二のウルフの気持ちなんだ。
誰とどこで何をしていようと。
そりゃあかなりチクチクするけど。
どうしても、ウルフが好きだ。
「俺も、…」
たくさんキスして、俺の頭はウルフ一色になって、気が付けばまた心地良いウルフの体温に抱かれて、舌先も中心も繋がって、ゆっくりゆっくりウルフに溶けた。俺に触れるウルフの手が愛情に満ちていて、俺を見つめるウルフの目が愛おしさに溢れている。俺を舐めるウルフの舌は慈しみに濡れていて、俺と繋がるウルフは迷いのない信念で貫かれている。
「お前が初めてだよ」
緩やかに繰り返されるたっぷりとした蜂蜜のような甘い快感の海を漂う俺にウルフが囁く。低くて甘い艶やかに濡れた声。
全然嘘じゃん。ウルフの嘘つき。
でも。すげー好き。
ウルフが欲しくて、無意識に唇が開く。
「誰としたんだ? この欲しがりな唇で、…」
ウルフの指は俺の唇を弄ぶけど、中まで入れてくれない。
ウルフの柔らかな唇が皮肉にゆがむ。青く冷徹な瞳で俺をとらえて離さないまま、甘い吐息で俺の肌をくすぐる。さっきまでウルフが迸っていた俺の中がその熱を求めてみだらに燻ぶる。
「…キス」
目の前で酷薄に揺れるウルフの唇に塞がれたい。
「して、…ウルフ」
待ちきれなくてウルフにおもねるのに、長い指にさえぎられて冷たい唇はぎりぎり触れてくれない。柔らかく優しくたどられて、すぐ目の前でひけらかされてるのに、届きそうで届かない。
「言ってみろ。誰とキスした?」
俺のバカ。なんでウルフを試すようなこと言っちゃったんだ。
ウルフに焦らされてもどかしさに泣きたくなる。
「ウルフ、…っ」
「俺が欲しいなら言え。怒らないから」
圧倒的な迫力の中に、一片の甘さを浮かべて、澄んだ青い瞳が俺を射抜く。
嘘じゃん。もう怒ってるじゃん。
と思うも、ウルフに囚われた俺はこの青に逆らえない。ウルフの綺麗な青い瞳。
鮮烈な青。眩しく誇り高い青。俺をとらえて離さない、…俺の青。
「…アオ」
なんかもうこらえきれなくてすがるように吐き出した。
意地っ張りで見栄っ張りな俺の精一杯の強がり。笑わば笑え。でも、俺とアオはあの時確かに通じ合ってたんだ。
瞬間、ウルフの青い目が驚きに見開かれて、それから、愛しさに溢れた。
「…そうか」
ウルフがまとっていたとげとげしさは瞬時になくなり、いつも俺に向けられる慈愛みたいな曇りない愛情で溢れた。
ウルフの唇が俺に触れて、俺を開いて、俺をたどる。戯れるように軽く触れ合って、確かめるように瞳が絡んだ。ウルフの青に釘付けになりながら、ウルフの舌を受け入れる。俺は待ち焦がれていたウルフに触れられて、キスだけで軽く達した。
俺が欲しいのは唯一無二のウルフの気持ちなんだ。
誰とどこで何をしていようと。
そりゃあかなりチクチクするけど。
どうしても、ウルフが好きだ。
「俺も、…」
たくさんキスして、俺の頭はウルフ一色になって、気が付けばまた心地良いウルフの体温に抱かれて、舌先も中心も繋がって、ゆっくりゆっくりウルフに溶けた。俺に触れるウルフの手が愛情に満ちていて、俺を見つめるウルフの目が愛おしさに溢れている。俺を舐めるウルフの舌は慈しみに濡れていて、俺と繋がるウルフは迷いのない信念で貫かれている。
「お前が初めてだよ」
緩やかに繰り返されるたっぷりとした蜂蜜のような甘い快感の海を漂う俺にウルフが囁く。低くて甘い艶やかに濡れた声。
全然嘘じゃん。ウルフの嘘つき。
でも。すげー好き。
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