Feel emotion ー恋なんていらない、はずなのに。年下イケメン教え子の甘い誘いにとろけて溺れる…【完結】 

remo

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feel.5

04.

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「ごめんね、黎。斗哉が急にパパに会いたいって」
「まあ。ちょうど居たからいいけど」

斗哉くんを抱っこしたまま、女性がにこやかに黎くんと会話する。

美人。完璧。非の打ち所がない。
容姿端麗とは、こういう人を言うんだな。

同性でも見惚れるほどの完璧に整った美し過ぎる女性に、言葉が出ない。
自分と同じヒト科の動物とは信じられない。

そりゃあ比べてみれば、ブスでオバサンなのもうなずける。
そもそも比べていただいたことがおこがましい。

「黎。こちらは?」

アホみたいに完璧美人を眺めていたら、女性が私に気づいて会釈してくれた。

黎くんが少し間を置いてから、

「…高校ん時の先生」

素っ気なく言った。

他に説明できる関係性はないんだけど、それ以外に言いようがないんだけど、
どうしてこんなに寂しく思うんだろう。
どうしてこんなにやり切れない気がするんだろう。

「初めまして。一ノ瀬 みおです。黎がいつもお世話になっています」

完璧美人は美し過ぎる笑顔で挨拶をしてくれて、

「息子の斗哉です」

男の子の紹介までしてくれたのに、

「あ、…はい」

何て返したか、ほとんど記憶にない。

イチノセ。

黎くんと同じ苗字。
黎くんのお姉さんとか妹さんとかだったら、結婚したら姓は変わる、わけで。

…完敗。

澪さん、美し過ぎる。圧倒的過ぎる。
文句のつけようがない。勝負にならない。

今すぐ消えたい。

「パパのリンゴみにいこっ」

…パパ。

斗哉くんが澪さんから降りると、その美しい手を引っ張った。
白くて細くて一点のくすみもなくて。

白魚のようとは、こういう手を言うんだな。
つまらないことを考えた。

『手は顔ほどに年齢ものを言う』

どこの会社だったかな。
通勤電車の中吊りで見たハンドケアの広告を思い出す。
しわ、乾燥、しみ、血管の浮き、…

自分の手を固く握りしめた。

今すぐ泣きたい。

黎くんにつないでもらうなんて、おこがましいにもほどがあった。

「…どうぞ、ごゆっくりしていって下さいね」

澪さんが人好きのする笑顔を浮かべたまま頭を下げて、黎くんの特設ギャラリーの方に消えていった。

マキシワンピースの長い裾がふわりと揺れる、その美しい後姿から目を離せずにいると、

「俺らも行く?」

黎くんが私の手に指を絡めた。
から、反射的に手を引っ込めてしまった。

「…ゆの?」

黎くんが驚いたように見つめているのが分かるけど、泣かないようにするのが精いっぱいで、上手く取り繕えない。
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