Feel emotion ー恋なんていらない、はずなのに。年下イケメン教え子の甘い誘いにとろけて溺れる…【完結】

番外編．My sunshine *澪 21歳

あなたがいないと、世界が曇る。⑤

黎は引っ越してからも、今まで通り私と斗哉を気にかけてくれる。

大学を卒業してアートデザインに専念してから、黎はますます注目されていて、国内外から多くの需要があり、事務所はかなり忙しい。

その黎が、突然、夜遅くに事務所のアトリエに籠って、恐らく徹夜で何かを作り上げていた。
それが何なのかは、翌日、黎のアート展で分かった。
黎の傍らに立っている女の人が、あの幻のブレスレットをはめていた。

「…高校ん時の先生」

黎に聞いたらちょっと照れくさそうに教えてくれた。

やっぱり高校生の時から、なんだ。
ずっと。ずっと。
黎はこの人のことを想ってたんだ。

黎と手をつないでいる女の人は、聡明そうで可愛くて、黎のブレスレットが良く似合っていた。

なんだか泣きそうになった。
黎には幸せになってほしい。

「だったら、お前が俺と幸せになることだな」
「…なんでよ、瑛多のバカ」

そう言ったけど、瑛多が帰ってきてくれて、黎も肩の荷が下りたと思う。
黎を、あのきれいな先生に返してあげなくちゃ。

「澪。好きだよ、ずっと、好きだよ」

瑛多のキスは優しい。
太陽みたいな幸せの匂いがする。

黎が早くあの先生にキスできますように、と心から願った。