イバラの鳥かご〜ここには君と僕、だけ〜

咲蓮

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そして、春休み当日。

バイトに採用された僕は、さっそく現地へ向かった。

「こんにちは~…」

カランコロンと扉を開ければ、店長の美奈子さんと女性スタッフがいた。

「あ、萩谷くんね!よろしくね~」
「よろしくお願いします!」

『良かった、優しそう…』

「宮島莉奈です!よろしくね!」

宮島さんはポニーテールで、ハツラツとした印象の女性だった。

「宮島さんはここ長いから、色々教えて貰ってね」
「なんでも聞いてね!」
「はい。よろしくお願いします」

カフェでの仕事は思ったよりも楽しかった。

店長と宮島さんと3人のシフトの事が多くて、僕にとっても優しくしてくれた。

『良かった…学校で俊一くんしか友達出来ないから僕、人に嫌われる人なんじゃないかと思ってた…』

楽しくて、バイトに行くのが毎日楽しみだった。

宮島さんは僕の2つ上の大学生。
優しくて明るくて、頼れる人だ。

僕がミスしてもさりげなくフォローしてくれたり、差し入れをくれたり。

「流星くん」
と呼ばれると、嬉しかった。

お互いの学校の話や将来の話…ちょっとした時間にお話上手な宮島さんはよく話しかけてきてくれた。


春休みも終盤にかかる頃にはすっかり宮島さんと仲良くなっていた。

『僕、バイトこのまま続けたいな…』

当初、春休みだけの予定だったがすごく楽しくてこれからも続けようかなと思っていた矢先、バイトが終わったあと、宮島さんに話しかけられた。

「流星くん!お疲れ様~」
「お疲れ様です」
「ねぇ、ほんとに春休み終わったらバイト辞めちゃうの?」
「最初はそのつもりだったんですけど…やっぱり続けたいなって思ってます。でもちょっと迷ってて…」
「えー!流星くん辞めちゃ寂しいよー!」
「そんな…ありがとうございます。そんな事言ってくださって」
「またぁ!固いって流星くん!」

あははと笑う宮島さん。

弾ける笑顔はこっちまで明るい気分にさせてくれる。

「なんで迷ってるの??勉強忙しい?」
「あ…いや…。僕、一番仲良い友達がいるんですけど、まだその人に確認とれてなくて…」
「え?確認?なんの?」
「えっと、バイト続けていいかっていう…」
「なにそれ?」

びっくりする宮島さん。

『そんな変なことかな…?』

俊一くんになんでも許可を得るのが当たり前になってた僕にとって、新鮮な反応だった。

「なんで友達にそんな気使ってるの?」
「え、…」
「流星くんのやりたいようにすればいいんじゃない?」

『僕の…やりたいように…』

宮島さんの言葉がキラキラと僕の心に降り注ぐ。

「ずっとその人とだけ一緒にいるのもさ、なんか勿体なくない?流星くん本当はもっと友達多いタイプでしょ?」
「いや…僕、友達いないんです。転校して1人も出来なくて…それで今の友達だけが仲良くなってくれたんです」
「ふーーん…」

宮島さんはん~と、考えをめぐらす。

「なんかさ、彼女とか作ったら?せっかく高校生なんだし!もっと色々楽しみなよ」
「え!?彼女!?」
「あはは!びっくりしすぎ!流星くんモテるでしょ?絶対」
「そんな…僕、告白されたこととかもないですし…っ」
「えーー?相当美形なのになんで??」

『嬉しい…こんなに褒めてくれるなんて…なんだか宮島さんには気を使わず話せるな…』

いつも、俊一くんには謝ってばかりだから…。

「!!?」
「ん?どした?」
「あ…なんでも…」

『僕、今何考えて、…』

いくら宮島さんがいい人だからって、俊一くんと比較するのは絶対に良くない。

一瞬でもそんな事を考えたのが、俊一くんに伝わったような感じがしてヒヤリと汗が流れる。

『大丈夫、俊一くんの事好き…好き…大好き…』

だから、怒らないで。お願い。

俊一くんはここにはいないし、バレるはずもないのに涙が出そうになる。

怒った時の彼は豹変するから。
意識が飛んでも、何度も何度も僕を凌辱するから。

「…………っ」
ズクズクと穴が疼く。
触られてもないのに乳首や、ソレがゾワゾワと気持ちいい錯覚に陥る。

まるで今、俊一くんに触られているかのように。

『やだ!なんで…っ、なんでこんな…』

「流星くん!?」
「!?」

宮島さんの言葉でハッとした。
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