13 / 49
02:里帰り
12:夜会の前座
シリルと似通った銀髪碧眼の三十台半ばほどの凛とした女性。
なるほど、これが王妃様か~、うわぁ初めて見たよ。
そりゃあ名乗る訳ないよね。この国の普通の貴族だったらその顔を知らない訳が無いもの。
済みません! 普通じゃなくてほんと済みません!
わたしが内心で平謝りしていると、
「バウムガルテン子爵だったかしら?」
「はい」
「残念だけど聞いたことが無いわね。貴女おいくつ」
「今年で十九歳になりました」
「ふうん三年前、わたくしは貴女に会っていない、違うかしら」
三年前と言えばわたしが十六歳の年。
そして十六歳と言えばデビュタントの年でもある。
貴族の令嬢はデビュタントの夜会に出席して王妃様に挨拶をする。
すると王妃様から『今後も変わらず精進なさい』と言う御優しい言葉を頂戴して、貴族の令嬢として皆からも認められるのだ。
しかしわたしは、生憎貧乏でそんなものに出る余裕は無かったから夜会には出席していなかった。
「いいえ王妃様のご記憶は間違ってございません。
わたしは事情あってデビュタントの夜会には出ておりませんでした」
「あらそう、それは良かったわ。
王妃たるわたくしが認めていないのだから、貴女がシリルに相応しくないのは当たり前です。シリル、理解できたらその目障りな娘をさっさとお帰しなさいな」
なるほどそう言う結論になるのか~
どうしましょうとシリルに視線を向けると、彼は唇を噛みしめてはいるが無言だった。
つまり止めるつもりは無いのだなと思い、
「では失礼します」
わたしは一礼するとさっさとドアを開けて出て行った。
少しは止めてくれるかもと期待したけど、やっぱり王妃様には敵わないのだね。
さて廊下に出てみたは良いがここは王宮の中だ。
ウロウロ歩き回れば不審者として捕まる恐れもあるので、まずは来た方向へ戻りつつ誰かに保護して貰うべきだろうね。
スタスタと歩き始めて少し、先ほどわたしが出てきた扉が勢いよくバンと開いた。
振り返れば、出てきたのはシリルだ。
彼は血相を変えてわたしの方へ駆けてくる。
そんなに慌てなくても良いのにとわたしは呟いた。
婚約を解消すれば、いま身に着けている借り物のドレスや宝石を返さなければならないし、今日泊まる場所でさえ苦労するだろう。
それに肩代わりして貰った借金の件もある。
残念ながらそれらの話は絶対に避けては通れない。だからわたしは立ち止まりシリルが来るのを待った。
彼はわたしの所まで来るとガシッと手首を掴んだ。
そのままぐいぐいとわたしの腕を引いて先ほどのドアへと向かう。
「痛いです!」
あの日の様に文句を言えば、無言で手首を離して手と手を結んで歩き始めた。
「離してください」
「断る」
シリルはわたしの方に振り返ることなくそう言うと、今度はノック無しで王妃様の部屋のドアを開けた。
手を繋がれているので入らない訳にはいかず、再びわたしは王妃様と対峙した。
「あらもう戻ったのクリスタ」
開口一番、口元を歪めながらチクリと嫌味を言われた。
「戻りたくなかったのですが、この通りです」
シリルに掴まれたままの手をお臍辺りまで持ち上げてアピールした。
これがわたしの、いまできる精一杯の強がりだ。
「少しだけ貴女とお話がしたいわ」
わたしは喋りたくもないが、まだ貴族であるからそのお願いと称する命令には従う必要がある。
「どうぞ何なりとお聞きください」
だからこう答える以外に道はない。
「貴女は公爵夫人と言う地位に興味が無いのかしら?」
「ありません」
「何故?」
「興味が無い事に理由が必要ですか?」
「公爵家の地位があれば、子爵家である貴女の家とは比べ物にならないほどの贅沢が出来るわ。それに魅力を感じない訳はないでしょう」
うちと比べりゃきっと王都の平民の方がよっぽど贅沢だよと思うが、いま言っているのはそう言う話じゃないだろう。
「平民であれば自分で働いて得たお金の範囲でつつましく暮らすのは普通の事です。
だからわたしは降って湧いた様な話にすがるつもりは最初からありません」
シリルと別れれば、貴族省で貴族を辞してもお父様の治療費の借金が残るらしい。しかしまぁお母様と頑張って働けば何とかなるだろうと思う。
「あなた面白い考え方をするのね。
いいわ気に入りました」
そう言うと王妃様はテーブルの上のベルを手に取り、チリリンと鳴らした。音を聞いたのだろう、側仕えの控えるドアが開き侍女らしき年配の女性が入ってくる。
「王妃様、どうかされましたか」
「この子にプレゼントしたいの、わたくしの宝石を持って来て頂戴」
「畏まりました」
侍女は一礼してまた別のドアを開けて姿を消した。たぶんあそこが服などを仕舞うクローゼットのドアなのだろう。
数分ほどで侍女がカートを引いて戻ってきた。彼女が引くカートの上には色とりどりの見たことも無い高そうな宝石が載せられている。
いや宝石店で見たし、ついでに一個だけ買って貰ったし!
「さあお好きな物をお取りなさいな」
わたしはどうするかな~とシリルの方へ視線を向けた。
しかしシリルは少しも表情を変えず、何も応えてくれなかった。
どうやら自分で考えないと駄目らしい。
ちなみに、貰っていいのと言うことが聞きたかったんじゃない。それとは逆で『これって貰わないと不敬という奴なのかな~』と、わたしの悩みはそれっきり。
借金を返すのには使えそうだけど、売るのはまた不敬だと言われそう。
ああ面倒くさいなぁ
う~んダメもとで聞いてみるか?
でも聞くことさえも不敬とされたら、うう~ん困ったぞ。
悩んだ末に腹は決まった。
持ってて困る物を貰うよりは聞いて叱られる方がよっぽどマシだ。
「王妃様、おひとつ伺ってよろしいでしょうか?」
「ええいいわよ」
「これって貰わないとダメな奴ですか?」
それを聞いた王妃は目を見開いてぽか~んと口を開いた。
部屋の中の時間が止まる。
しかし隣のシリルが堪えきれずに、「プッ」と笑いだすと、王妃様も我に返る。
「つまりいらないと言うのね」
王妃様の眼が再び猛禽類の眼に変わる。
やっぱり貰わないと駄目な奴だったのか~と今さらながらに後悔するけどもう遅い。きっと王妃様はお怒りだろう。
厳しい顔をしたまま、王妃様はカートの上から宝石を無造作に数点ほど掴み取った。
そしてわたしの手を掴み、その手の上にそれらをドンと載せて、
「クリスタ、これを授けます」
「ええっ!? 要りません! じゃなくて、こんなに沢山、恐れ多い事です」
おっと思わず本音が出てしまった。
「驚いたわ、あなたほんとに興味が無いのね」
王妃様は、ハァとため息を一つ吐いて、
「判りました。シリル貴方の勝ちだわ」
「だから言ったではないですか」
二人は知ったように顔を見合わせているのだが、はてどういう話だろうか?
「気にするな。お前が財産目当ての女ではないと証明する為に、叔母様は一芝居打ったのだ」
「ああなるほど、そう言うことですか」
と平然と返しつつ心の中ではその行為のえげつなさに戦慄する。
質問の回答が気に入らなければ最初からアウト。
しかし上手く答えたら答えたで、気に入ったわと笑顔で誘って宝石を見せておきながら、それを貰えばアウトとか、二段構えの罠とかないわー
「クリスタ、貴女をシリルの相手として認めましょう。
そのカートの宝石はお祝いにすべて持って行って構わないわよ」
まさかの三段罠だったのか!? とも思ったが、王妃様の表情は先ほどまでと違いすっかり軟化しているからどうやら本心っぽい。
念のために確認したシリルも良いぞと頷いたし……
しかしこの量。お祝いだからと有り難く貰っていい量じゃないのは確かだろう。
「いえ本当に困ります」
「あらお祝いも貰ってくれないのね」
「ええ、そうなんです。
俺も彼女にあの宝石をプレゼントするのに苦労しましたよ」
なんか宝石を貰わなかったわたしが悪いみたいな話になっているんだけど~?
高価な物をポイポイ与えてくる方もおかしいからね!
お互い様だから!
あとこれ、お借りしているだけです、貰ってませんよ。
そんな本音はさておき、お祝いと言われてしまえば、角も立つから貰わない訳にはいかない。
わたしはカートの上を宝石をじっと見て、
「えーと、ではこの品だけお祝いと言うことで頂きますね」
一番小さな宝石がついた指輪を一つだけ手に取って王妃様にお伺いした。
「一つでいいの?」
「はい十分です」
「欲が無さすぎるのは心配だったけど、一番高価な品を持っていく所は案外ちゃっかりしているのね。安心したわ」
「へ?」
これが、一番、高いですと……?
そんな事を聞いてしまうと手が震えてくるじゃないか。
「なんだ知らずに取ったのか」
震える手で指輪を落とさぬように包み込みながら、無言でコクコクと頷くわたし。
「あらあら無欲の勝利ね」
と王妃様が楽しそうに笑うと、シリルも釣られて笑い始めた。
そんな勝ち方要りません!
なるほど、これが王妃様か~、うわぁ初めて見たよ。
そりゃあ名乗る訳ないよね。この国の普通の貴族だったらその顔を知らない訳が無いもの。
済みません! 普通じゃなくてほんと済みません!
わたしが内心で平謝りしていると、
「バウムガルテン子爵だったかしら?」
「はい」
「残念だけど聞いたことが無いわね。貴女おいくつ」
「今年で十九歳になりました」
「ふうん三年前、わたくしは貴女に会っていない、違うかしら」
三年前と言えばわたしが十六歳の年。
そして十六歳と言えばデビュタントの年でもある。
貴族の令嬢はデビュタントの夜会に出席して王妃様に挨拶をする。
すると王妃様から『今後も変わらず精進なさい』と言う御優しい言葉を頂戴して、貴族の令嬢として皆からも認められるのだ。
しかしわたしは、生憎貧乏でそんなものに出る余裕は無かったから夜会には出席していなかった。
「いいえ王妃様のご記憶は間違ってございません。
わたしは事情あってデビュタントの夜会には出ておりませんでした」
「あらそう、それは良かったわ。
王妃たるわたくしが認めていないのだから、貴女がシリルに相応しくないのは当たり前です。シリル、理解できたらその目障りな娘をさっさとお帰しなさいな」
なるほどそう言う結論になるのか~
どうしましょうとシリルに視線を向けると、彼は唇を噛みしめてはいるが無言だった。
つまり止めるつもりは無いのだなと思い、
「では失礼します」
わたしは一礼するとさっさとドアを開けて出て行った。
少しは止めてくれるかもと期待したけど、やっぱり王妃様には敵わないのだね。
さて廊下に出てみたは良いがここは王宮の中だ。
ウロウロ歩き回れば不審者として捕まる恐れもあるので、まずは来た方向へ戻りつつ誰かに保護して貰うべきだろうね。
スタスタと歩き始めて少し、先ほどわたしが出てきた扉が勢いよくバンと開いた。
振り返れば、出てきたのはシリルだ。
彼は血相を変えてわたしの方へ駆けてくる。
そんなに慌てなくても良いのにとわたしは呟いた。
婚約を解消すれば、いま身に着けている借り物のドレスや宝石を返さなければならないし、今日泊まる場所でさえ苦労するだろう。
それに肩代わりして貰った借金の件もある。
残念ながらそれらの話は絶対に避けては通れない。だからわたしは立ち止まりシリルが来るのを待った。
彼はわたしの所まで来るとガシッと手首を掴んだ。
そのままぐいぐいとわたしの腕を引いて先ほどのドアへと向かう。
「痛いです!」
あの日の様に文句を言えば、無言で手首を離して手と手を結んで歩き始めた。
「離してください」
「断る」
シリルはわたしの方に振り返ることなくそう言うと、今度はノック無しで王妃様の部屋のドアを開けた。
手を繋がれているので入らない訳にはいかず、再びわたしは王妃様と対峙した。
「あらもう戻ったのクリスタ」
開口一番、口元を歪めながらチクリと嫌味を言われた。
「戻りたくなかったのですが、この通りです」
シリルに掴まれたままの手をお臍辺りまで持ち上げてアピールした。
これがわたしの、いまできる精一杯の強がりだ。
「少しだけ貴女とお話がしたいわ」
わたしは喋りたくもないが、まだ貴族であるからそのお願いと称する命令には従う必要がある。
「どうぞ何なりとお聞きください」
だからこう答える以外に道はない。
「貴女は公爵夫人と言う地位に興味が無いのかしら?」
「ありません」
「何故?」
「興味が無い事に理由が必要ですか?」
「公爵家の地位があれば、子爵家である貴女の家とは比べ物にならないほどの贅沢が出来るわ。それに魅力を感じない訳はないでしょう」
うちと比べりゃきっと王都の平民の方がよっぽど贅沢だよと思うが、いま言っているのはそう言う話じゃないだろう。
「平民であれば自分で働いて得たお金の範囲でつつましく暮らすのは普通の事です。
だからわたしは降って湧いた様な話にすがるつもりは最初からありません」
シリルと別れれば、貴族省で貴族を辞してもお父様の治療費の借金が残るらしい。しかしまぁお母様と頑張って働けば何とかなるだろうと思う。
「あなた面白い考え方をするのね。
いいわ気に入りました」
そう言うと王妃様はテーブルの上のベルを手に取り、チリリンと鳴らした。音を聞いたのだろう、側仕えの控えるドアが開き侍女らしき年配の女性が入ってくる。
「王妃様、どうかされましたか」
「この子にプレゼントしたいの、わたくしの宝石を持って来て頂戴」
「畏まりました」
侍女は一礼してまた別のドアを開けて姿を消した。たぶんあそこが服などを仕舞うクローゼットのドアなのだろう。
数分ほどで侍女がカートを引いて戻ってきた。彼女が引くカートの上には色とりどりの見たことも無い高そうな宝石が載せられている。
いや宝石店で見たし、ついでに一個だけ買って貰ったし!
「さあお好きな物をお取りなさいな」
わたしはどうするかな~とシリルの方へ視線を向けた。
しかしシリルは少しも表情を変えず、何も応えてくれなかった。
どうやら自分で考えないと駄目らしい。
ちなみに、貰っていいのと言うことが聞きたかったんじゃない。それとは逆で『これって貰わないと不敬という奴なのかな~』と、わたしの悩みはそれっきり。
借金を返すのには使えそうだけど、売るのはまた不敬だと言われそう。
ああ面倒くさいなぁ
う~んダメもとで聞いてみるか?
でも聞くことさえも不敬とされたら、うう~ん困ったぞ。
悩んだ末に腹は決まった。
持ってて困る物を貰うよりは聞いて叱られる方がよっぽどマシだ。
「王妃様、おひとつ伺ってよろしいでしょうか?」
「ええいいわよ」
「これって貰わないとダメな奴ですか?」
それを聞いた王妃は目を見開いてぽか~んと口を開いた。
部屋の中の時間が止まる。
しかし隣のシリルが堪えきれずに、「プッ」と笑いだすと、王妃様も我に返る。
「つまりいらないと言うのね」
王妃様の眼が再び猛禽類の眼に変わる。
やっぱり貰わないと駄目な奴だったのか~と今さらながらに後悔するけどもう遅い。きっと王妃様はお怒りだろう。
厳しい顔をしたまま、王妃様はカートの上から宝石を無造作に数点ほど掴み取った。
そしてわたしの手を掴み、その手の上にそれらをドンと載せて、
「クリスタ、これを授けます」
「ええっ!? 要りません! じゃなくて、こんなに沢山、恐れ多い事です」
おっと思わず本音が出てしまった。
「驚いたわ、あなたほんとに興味が無いのね」
王妃様は、ハァとため息を一つ吐いて、
「判りました。シリル貴方の勝ちだわ」
「だから言ったではないですか」
二人は知ったように顔を見合わせているのだが、はてどういう話だろうか?
「気にするな。お前が財産目当ての女ではないと証明する為に、叔母様は一芝居打ったのだ」
「ああなるほど、そう言うことですか」
と平然と返しつつ心の中ではその行為のえげつなさに戦慄する。
質問の回答が気に入らなければ最初からアウト。
しかし上手く答えたら答えたで、気に入ったわと笑顔で誘って宝石を見せておきながら、それを貰えばアウトとか、二段構えの罠とかないわー
「クリスタ、貴女をシリルの相手として認めましょう。
そのカートの宝石はお祝いにすべて持って行って構わないわよ」
まさかの三段罠だったのか!? とも思ったが、王妃様の表情は先ほどまでと違いすっかり軟化しているからどうやら本心っぽい。
念のために確認したシリルも良いぞと頷いたし……
しかしこの量。お祝いだからと有り難く貰っていい量じゃないのは確かだろう。
「いえ本当に困ります」
「あらお祝いも貰ってくれないのね」
「ええ、そうなんです。
俺も彼女にあの宝石をプレゼントするのに苦労しましたよ」
なんか宝石を貰わなかったわたしが悪いみたいな話になっているんだけど~?
高価な物をポイポイ与えてくる方もおかしいからね!
お互い様だから!
あとこれ、お借りしているだけです、貰ってませんよ。
そんな本音はさておき、お祝いと言われてしまえば、角も立つから貰わない訳にはいかない。
わたしはカートの上を宝石をじっと見て、
「えーと、ではこの品だけお祝いと言うことで頂きますね」
一番小さな宝石がついた指輪を一つだけ手に取って王妃様にお伺いした。
「一つでいいの?」
「はい十分です」
「欲が無さすぎるのは心配だったけど、一番高価な品を持っていく所は案外ちゃっかりしているのね。安心したわ」
「へ?」
これが、一番、高いですと……?
そんな事を聞いてしまうと手が震えてくるじゃないか。
「なんだ知らずに取ったのか」
震える手で指輪を落とさぬように包み込みながら、無言でコクコクと頷くわたし。
「あらあら無欲の勝利ね」
と王妃様が楽しそうに笑うと、シリルも釣られて笑い始めた。
そんな勝ち方要りません!
あなたにおすすめの小説
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。
初恋の還る路
みん
恋愛
女神によって異世界から2人の男女が召喚された。それによって、魔導師ミューの置き忘れた時間が動き出した。
初めて投稿します。メンタルが木綿豆腐以下なので、暖かい気持ちで読んでもらえるとうれしいです。
毎日更新できるように頑張ります。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。