オレガノ🌿 -Long Life-

Haika(ハイカ)

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幕間 ドキッとくる夏休み! パラソル下で磯を味わいましょう♪

01. まさかそこで出会うなんて、誰が想像できるんですか!

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 都心からかなり離れた、人けのないオーシャンアベニュー。
 陽の光に反射し、白く輝く海の泡に儚い時の流れを感じながら、三人を乗せた一台の白いワゴン車が颯爽と走っていた。
 内装は至ってシンプル、ながら旅行用のトランクが三つ積まれており、メンバープレートのひらがな部分は「わ」の文字。レンタカーだ。

 「バンブーの知り合い、この辺で働いているんでしょ?」
 一人、後部座席に座っているクミンがそういいながら、車窓越しに見える広大な海の景色を眺めていた。
 服装はいつもの零細企業勤めのOLのような恰好ではなく、この日はポンパドールを下ろしたシンプルゆるふわなポニーテールが、彼女のピンクブラウンに似合うヘアスタイルである。服装はクリーム色のゆったりしたタックワイドパンツに、トップスには白いカットソーと袖が網レースのリネンジャケットを羽織った、動きやすさを重視した夏のマストアイテムで揃えられていた。

 前席にはミントとバンブーの二人が座っていて、彼らもこの日は、普段の仕事やランニング時のモードから完全に切り離した着こなしであった。
 ハンドルを握るミントは収縮性のある黒のテーラードパンツに、水色の半袖オープンカラーシャツが腕時計の色味と調和している。助手席のバンブーも紺のデニムパンツに、筋肉質のボディが冴える白のワイドフィットタフTという、非常にシンプルなファッションだ。
 合同会社オレガノにとって貴重な夏休みであるこの時期、彼らはバンブーの紹介で、都会から離れた海岸沿いのホテルで二泊三日の休暇を満喫しにきたのであった。

「ハイ。友達のツバサくんネ? むかし、コロちゃんShockで仕事なくなっただから、こっちのホテル転勤したネ。彼、すっごいイイ人。ホテル安くしてもらった」
「その件は本当に助かったよ、恩に着る。しかし、本当に静かな所だな」
「だってしゃちょー、若い子タクサン、うるさい所あんま好きじゃない。ワタシ知ってル」
「くすっ」

 と、クミンが後ろで静かに吹きだし笑いをする。
 ミントの事は、小学校の頃の彼の姿を見ているから分かるのだろう。確かにミントは娯楽そのものには興味があるが、人の声が騒がしい所は昔から好まない性格だ。自分一人の内面世界にふけれるような音楽鑑賞や、リラックスできる開放的な空間に惹かれる傾向がある。
 バンブーはその辺り熟知しているようで、今回ホテル勤めの知り合いにゴマ擦り・・・・をしたという経緯だ。そんなこんなで話しているうちに、彼らを乗せた車はこじんまりとした小さなホテルに到着したのであった。

 「あ。これ、持っていかないと…!」

 こうして所定の位置に駐車したワゴン車を降りる際、クミンは後部座席ドアのポケットに入れていた炭酸ジュースのペットボトルを手に取った。
 この暑い時期、あっという間に灼熱地獄と化す車内に炭酸入りジュースのペットボトルを放置するのは危険だ。温度上昇で二酸化炭素が気化し、内圧上昇による膨張のすえ爆発を起こす危険があるからである。レンタカーなので、車内をそれで汚すわけにはいかなかった。


 ――――――――――


 「ヘイ! ツバサくん、元気してタ~?」
 「いらっしゃいませ。久しぶりだね、バンブーくん」

 足を運んだホテルは、ごく普通のこじんまりとした壁紙に大理石柄のステッカーを貼った内装のレセプション。そこのフロントとして立っている、スポーツ狩りの頭が特徴の二十代男性であるツバサの元へ、バンブーが笑顔で挨拶をしたのであった。

 「そちらは、お連れ様ですか?」
 と、ツバサが機転を利かせるようにミントとクミンがいる方向へ手を差し伸べた。二人はうんと頷き、バンブーが嬉しそうに説明した。
 「そう。二人、ワタシのフレンドね? いまサマーバケーションダカラ、今日ヨヤクした」
 「かしこまりました。えー、鯨井様、空島様、竹田様の三名ですね。お待たせいたしました、鍵をお渡しします。ごゆっくり、お過ごし下さいませ」
 そういって、ツバサがパソコンのキーボードを早打ちしてから、ミント達へ所定の部屋に入れる鍵を渡してきた。

 鍵には大きなアクリルの長い色付きの透明棒がキーホルダーとしてついており、いかにも古き良き時代の懐かしさを思い出させる。そんなルームキーは紛失時にもすぐに見つけられる事から、昨今のカードリーダー式とは違う利便性と古典的な風情を感じさせるのだ。


 「…あれ?」

 その時、ミントとクミンの耳にそんな女性の独り言が聞こえてきた。

 各自鍵を受けとり、自分の部屋へ荷物を置きに旅行用のトランクを転がしていた所に、聞き覚えのある声が響いたのだ。ミントもクミンもそちらへ目を向けると、
 「あれ?」
 二人とも、見覚えのある顔だった。黒髪ロングをクリップで一つにまとめた、化粧は少し控えめだけど目に力がある若い女性レセプションスタッフ。ミントは名前をあげた。

 「…美紀さん?」

 するとその「美紀」と呼ばれた女性も、自身が抱いた疑問がただの思い違いではないと気付いた安堵からか、僅かに安堵を浮かべた表情でミント達の元へ歩いてきた。

 彼女は何を隠そう、少し前までミント達が経営する合同会社オレガノのレンタル彼女として勤務していた、元スタッフの一人その人であった。

(つづく)
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