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幕間 ドキッとくる夏休み! パラソル下で磯を味わいましょう♪
02. 夜の誘惑。ダメだと分かっていても、お腹が空くんです。
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「退職後、どうしているのかな~と思っていたけど、ここで働いていたのね」
「ホテルの仕事、イイネ! 元気してただからワタシ、嬉しい」
あのあと、ミントとクミンが元レンタル彼女スタッフの美紀と再会する所を見かけたバンブーも立ち寄り、四人でホール端を沿って歩くように軽くお喋りする事になった。
とはいえ本人は勤務中なので、他に来客がいないとはいえあまり時間や場所を取らせるわけにはいかず、すぐ要点だけ話して各自自分の部屋に行くまでである。そこも考慮した上で、ミントが美紀に笑顔でこういった。
「うちの事務所から大分遠い場所で働いているんだな。ここ地元に引っ越してきた感じか」
「はい。退職後すぐの事なので、最初は何もかも慌ただしくて! でも、今ではすっかりこの土地での暮らしも慣れましたよ。現地の方々がもう心が温かくて、良い人達ばかりで」
「そうか。それは良かった。うちのスタッフ達が、たまに美紀さんの事を訊いてくるんだよ。あの子は今どうしているのかな~? って」
「あー、あはは。皆いい人達だなぁ。はい。もし聞かれたら『本人は元気でやってる』と伝えて頂けると嬉しいです♪」
と、美紀がニカッと笑顔を見せる。
言動からしても分かる通り、彼女はとても聡明で人懐っこい性格だ。レンタル彼女の時代から接客スキルも申し分なく、基本的に誰に対しても分け隔てなく接する事が出来るタイプである。だから、このホテルの仕事にも向いているのだろうとミント達は解釈した。
ところで一同、ゆっくり歩きながらエレベーター前まで辿り着いたので、ミントはここでエレベーターを前に眺める様な形で立ち止まった。
クミンとバンブーの二人がエレベーターのドアが開くのを待っている間、美紀がホテル出入口を一瞥してから一礼した。
「では、私はこれで。ごゆっくり、お過ごし下さいませ」
こうして美紀が元のレセプションへ歩いて戻る後ろ姿を見ながら、ミント達三人は当時のエピソードを語り合った。
「あの子、相変わらずだね~。本当にエネルギッシュで、愛嬌があって。さすがレンタル彼女サービスで一時期、人気一位をとっただけあるなぁ」
「あぁ。だけど退職するにはあまりにも早くて、実に惜しい人材だった。でも、ああいうコミュ力のある子ほど、理想の相手を見つけるのも早いのがマッチングの相場だ」
「しゃちょー、ミキさん止めなかったノ? 彼女、なんでレンタル彼女ヤめた?」
と、バンブーがキョトンとした表情を浮かべた。
もうすぐエレベーターがここ一階へ到着する手前、ミントが困り笑顔で説明する。
「あーそうか、バンブーは知らないんだったな。彼女、結婚を機に退職したんだよ。流石に配偶者ができるのに、レンタル彼女サービスを続けるのは双方が良くてもモラルに反するから… といってね。俺もこれには賛成した」
「あー。I see, I see」
「ねー、私もそれ聞いた時はビックリしたもん! まさか彼氏がいたなんてさ。でも、その時期から考えると、もう今ごろは入籍した後なのかな? あの様子からして、きっと旦那さんとも上手くいっているのかも」
「うん。そうだといいな」
そうこう話しているうちに、エレベーターが到着し、その銀色のドアが開いた。
バンブーとクミンがその中へ入り、笑顔で見守るミントと部屋の階が別々になる。最後に、彼らはこんな会話をしてエレベーターのドアが閉まった。
「しかしミントだけ一階なんてね。別々で、寂しくない?」
「大丈夫だよ。他に空きの部屋がなかったんだろ? 会いたい時にはいつでもすぐに会えるんだし、俺がいいって言ったんだから、二人は二階からの絶景をぜひ楽しんで」
――――――――――
――郊外の静かなホテルだから、静かでゆったりできるのはいいけど、やはり何かしら欲しい時にすぐ手に入らないのは不便だなぁ… 仕方ない。外の自販機で飲み物でも買うか。
この日の夜。ミントは少しばかり、憂鬱な一日の最後を過ごしていた。
ある程度夜更かししても朝は早く起きれる関係で、まだ眠くない内に何か口にしたい衝動に駆られる。だけど都会ほど便利ではないため、ミントは仕方なくホテル出入口の横にある自動販売機で飲み物を買う事にした。
軽く外出するくらいなら問題のない服装に着替え、部屋を出る。するとホールを歩いて出入口を出る直前で、彼の良く知る人物と顔合わせした。
「あっ」
クミンだ。彼女もどういう事か、ちょうど外出の帰りであった。
手には幾つか商品の入ったレジ袋が握られており、長いこと外にいたのか袋の一部が少し汗をかいている。ミントは一旦立ち止まり、クミンに話しかけた。
「もう寝ているのかと」
「あー、それがちょっと眠れなくてね。気晴らしに、コンビニへ買い物にって感じ」
「そうか」
「そういうこと。じゃ、おやすみー」
そういって、クミンとは出入口を前に行動が別となった。
こんな夜遅い時間に食事だなんて健康に良くないと心配になるが、ミントも今の自分の行動を考えると人に言えない立場である。だから軽く挨拶だけして、さっさと自販機の飲み物を買って部屋へ戻ったのであった。
(つづく)
「ホテルの仕事、イイネ! 元気してただからワタシ、嬉しい」
あのあと、ミントとクミンが元レンタル彼女スタッフの美紀と再会する所を見かけたバンブーも立ち寄り、四人でホール端を沿って歩くように軽くお喋りする事になった。
とはいえ本人は勤務中なので、他に来客がいないとはいえあまり時間や場所を取らせるわけにはいかず、すぐ要点だけ話して各自自分の部屋に行くまでである。そこも考慮した上で、ミントが美紀に笑顔でこういった。
「うちの事務所から大分遠い場所で働いているんだな。ここ地元に引っ越してきた感じか」
「はい。退職後すぐの事なので、最初は何もかも慌ただしくて! でも、今ではすっかりこの土地での暮らしも慣れましたよ。現地の方々がもう心が温かくて、良い人達ばかりで」
「そうか。それは良かった。うちのスタッフ達が、たまに美紀さんの事を訊いてくるんだよ。あの子は今どうしているのかな~? って」
「あー、あはは。皆いい人達だなぁ。はい。もし聞かれたら『本人は元気でやってる』と伝えて頂けると嬉しいです♪」
と、美紀がニカッと笑顔を見せる。
言動からしても分かる通り、彼女はとても聡明で人懐っこい性格だ。レンタル彼女の時代から接客スキルも申し分なく、基本的に誰に対しても分け隔てなく接する事が出来るタイプである。だから、このホテルの仕事にも向いているのだろうとミント達は解釈した。
ところで一同、ゆっくり歩きながらエレベーター前まで辿り着いたので、ミントはここでエレベーターを前に眺める様な形で立ち止まった。
クミンとバンブーの二人がエレベーターのドアが開くのを待っている間、美紀がホテル出入口を一瞥してから一礼した。
「では、私はこれで。ごゆっくり、お過ごし下さいませ」
こうして美紀が元のレセプションへ歩いて戻る後ろ姿を見ながら、ミント達三人は当時のエピソードを語り合った。
「あの子、相変わらずだね~。本当にエネルギッシュで、愛嬌があって。さすがレンタル彼女サービスで一時期、人気一位をとっただけあるなぁ」
「あぁ。だけど退職するにはあまりにも早くて、実に惜しい人材だった。でも、ああいうコミュ力のある子ほど、理想の相手を見つけるのも早いのがマッチングの相場だ」
「しゃちょー、ミキさん止めなかったノ? 彼女、なんでレンタル彼女ヤめた?」
と、バンブーがキョトンとした表情を浮かべた。
もうすぐエレベーターがここ一階へ到着する手前、ミントが困り笑顔で説明する。
「あーそうか、バンブーは知らないんだったな。彼女、結婚を機に退職したんだよ。流石に配偶者ができるのに、レンタル彼女サービスを続けるのは双方が良くてもモラルに反するから… といってね。俺もこれには賛成した」
「あー。I see, I see」
「ねー、私もそれ聞いた時はビックリしたもん! まさか彼氏がいたなんてさ。でも、その時期から考えると、もう今ごろは入籍した後なのかな? あの様子からして、きっと旦那さんとも上手くいっているのかも」
「うん。そうだといいな」
そうこう話しているうちに、エレベーターが到着し、その銀色のドアが開いた。
バンブーとクミンがその中へ入り、笑顔で見守るミントと部屋の階が別々になる。最後に、彼らはこんな会話をしてエレベーターのドアが閉まった。
「しかしミントだけ一階なんてね。別々で、寂しくない?」
「大丈夫だよ。他に空きの部屋がなかったんだろ? 会いたい時にはいつでもすぐに会えるんだし、俺がいいって言ったんだから、二人は二階からの絶景をぜひ楽しんで」
――――――――――
――郊外の静かなホテルだから、静かでゆったりできるのはいいけど、やはり何かしら欲しい時にすぐ手に入らないのは不便だなぁ… 仕方ない。外の自販機で飲み物でも買うか。
この日の夜。ミントは少しばかり、憂鬱な一日の最後を過ごしていた。
ある程度夜更かししても朝は早く起きれる関係で、まだ眠くない内に何か口にしたい衝動に駆られる。だけど都会ほど便利ではないため、ミントは仕方なくホテル出入口の横にある自動販売機で飲み物を買う事にした。
軽く外出するくらいなら問題のない服装に着替え、部屋を出る。するとホールを歩いて出入口を出る直前で、彼の良く知る人物と顔合わせした。
「あっ」
クミンだ。彼女もどういう事か、ちょうど外出の帰りであった。
手には幾つか商品の入ったレジ袋が握られており、長いこと外にいたのか袋の一部が少し汗をかいている。ミントは一旦立ち止まり、クミンに話しかけた。
「もう寝ているのかと」
「あー、それがちょっと眠れなくてね。気晴らしに、コンビニへ買い物にって感じ」
「そうか」
「そういうこと。じゃ、おやすみー」
そういって、クミンとは出入口を前に行動が別となった。
こんな夜遅い時間に食事だなんて健康に良くないと心配になるが、ミントも今の自分の行動を考えると人に言えない立場である。だから軽く挨拶だけして、さっさと自販機の飲み物を買って部屋へ戻ったのであった。
(つづく)
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