オレガノ🌿 -Long Life-

Haika(ハイカ)

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幕間 ドキッとくる夏休み! パラソル下で磯を味わいましょう♪

03. この夏旬の食材、揃えます。(※ただし肝試しはNG)

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 ミシッ…

 カサ… カサ、カサ……

 「ううん」

 音は、窓の向こうからか。
 深夜二時半。殆どの人が寝静まっている時間帯に、ミントの部屋の窓から不自然な音が僅かに聞こえた。
 窓の外、ホテル壁沿いの生い茂った草の中を野良猫が通ったのか? と思えるような。

 ミントは僅かに瞼を開けた。が、自分が耳にした異音はそれ以来こない。
 彼は気のせいだと思い、再び瞼を閉じようとする。が、


 ザッ! ザッ! ザッ! ザッ…

 「?」

 今度はより明確に、草を踏む足音が聞こえた。
 それも犬や猫ではない。リズムからして、明らかに二足歩行の生き物が発する音――。

 ミントはパッと、だけどなるべく音を立てないよう、静かにベッドから起き上がった。
 恐る恐る音がした方向へと向かい、窓の鍵を解錠したのちにその扉を開ける… が、外に繋がるその景色へ身を乗り出し、周囲を見渡しても、それらしき影は見あたらなかった。暗がりだけど、人っ子一人いない海岸沿いである。


 「……気のせい、か?」


 人らしきものが既に去った後か、それとも何かの聞き間違えか。

 どちらにしても人が出歩いていない丑三つ時に、人が寝泊まりしている部屋の前を何者かの足音が横切るのは、非常に不気味だ。
 クミンやバンブーとは違い、一階だからというのもあるのだろう。ミントは少しばかり不安を覚えた。

 ――きっと久々の休暇に頭が興奮して、ちゃんと休めていないだけだよな。寝よう。

 そう心に言い聞かせ、ミントは窓に鍵をかけると、再びベッドへと横に入った。
 平日の朝は起きるのが辛く、逆に休日に限って目が覚めて眠れないという、あれと同じ原理か。そうでなくとも眠気がある内に。ミントは翌朝の予定を狂わせないためにもしっかり瞼を閉じたのであった。


 ――――――――――


 休暇二日目。
 この日はホテルで用意された食事を終えたあと、夕方までの自由時間に三人で好きな場所へ行こうというものだった。

 ホテルで導入されているサービスはブレックファーストのみ。昼・夜の分がプランの中に用意されていないため、その場合は外食で済ませるのが宿泊客の相場だ。
 ミント達は近くの岩礁や、レンタカーを少し走らせた先の滝が流れるスポット等をゆっくり鑑賞したあと、最寄りのスーパーマーケットへ買い出しに向かった。
 ちなみに、夕べミントが耳にした謎の足音の件については、誰にも話していない。

 「ミントがいってたフルーツコーナー、ちょうど五種類とったよ~。ついでにアボカドも」
 「ありがとう。それじゃあ、あとは炭酸ジュースの小さいペットボトルと――」
 「しゃちょー! さしみ、ブロックの形なかった。大きいあるケド、それかいマス?」
 「うん。フルーツナイフがあるから、それで形成は可能だ。調味料も揃っているし、あとは総菜コーナーにある温かい白飯を人数分買って――」

 と、各自買い物かごを持って店内を歩いている三人が情報を共有した。

 買い出しの役割は分担されており、クミンのかごにはフルーツが中心で、バナナ、りんご、ぶどう、キウイ、パイナップル、アボカド、レモン汁。
 バンブーのかごにはマグロとサーモンの刺身用ブロックが四パック、さらに刻みネギ、タッパー、フルーツナイフ、深めの紙皿と紙コップ、木製スプーンや割り箸、レジ袋を数枚。
 そしてミントのかごには、ウィスキー用のロックアイス、白ごま、ミニサイズのゴマ油やみりん、醤油、わさびチューブなどの調味料が入っており、いかにも「これから自分達で料理をする」と見て分かるようなチョイスであった。

 「前に、バンブーがモニタリングの時に持ってきてくれた料理があっただろう? あれを、このバケーションで再現するんだ。道中で見つけた、山風が吹くパラソルの下でね」

 そういって、ミントを先頭に最後のコーナーへ向かった。
 クミンのかごに白飯を三パック、ミントのかごにミネラルウォーターと炭酸ジュースのペットボトル、そしてレジ横にあった何らかのお菓子を追加し、レジスターへ清算しにいく。

 会計は済ませた。材料も揃った。
 これで、あとはミントがいうパラソルのスポットまで、車で向かうだけだ。

(つづく)
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