オレガノ🌿 -Long Life-

Haika(ハイカ)

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第一章 その彼女、手料理あげればレンタルできます!

02. その手料理、ただそのまま貰うなんて事はしません。

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 その別室。窓口からは見えない壁の向こうには、数台のモニターが置かれた部屋がある。
 部屋の一角には台所が設けられており、その横に小さな冷蔵庫、その上にオーブンレンジ、更に台所の端にはコンロ、そして理科室に置かれている様な機材が幾つも置かれていた。テナントとはいえ、最後の項目さえなければ、一般住宅にあるキッチンとなんら変わりない。

 「お? 帰宅完了のお知らせがきたね。よーしよしよし」

 そのキッチンとしての役割が強い部屋で、モニターを凝視しているのは空島そらじまクミン。淡い色のフォカマイユを意識したロングカットソー、セミロングの茶髪をポンパドールに結び、ピンクゴールドの細縁眼鏡をかけている。零細企業で事務職をやっていそうな風貌の女性だ。ミントはクミンに、細田から受け取ったタッパーを手渡したのであった。

 「おまたせ。これ、よろしく」
 「はいはーい。十三時スタートだったエリちゃん、さっき帰宅したって」
 「オッケー、よかった。このままいけば、今月はペケゼロでいけそうだ」
 「サンカクは一つあったけどね。じゃ、これ検査かけとくわ」

 ミントが頷くまでの二人のやりとりは、とてもスムーズに見える。ミントがまた別の部屋へと続くドアの前で待機している間、クミンは台所へ移動しタッパーの蓋を開けた。
 中身は野菜たっぷりのカレー、クルトンの入ったグリーンサラダ、そしてリンゴのウサギ二切れ。見ているだけで非常に食欲のそそる三品だが、クミンはそれら料理に温度計の長い針の様なものを三本、斜めに深く刺した。
 針の柄には白くて細いコードが伸びており、それらは一台の見慣れない白い筐体へと繋がっている。クミンはその筐体のモニターに表示された何かしらの数字を見て、こういった。

 「オッケー、オッケー。品質、異物混入コンタミネーション、異常ナシ!」
 「早いな。さすが化学分析技能士」
 「上層部の不祥事で前職倒産したけどねー」

 白けた表情でそういうクミンは国家資格の所有者だ。成分や化学物質の識別、分析に長けており、料理の中に毒物や如何わしいもの・・・・・・・が混入されていないか調べたのであった。
 プランの支払い条件に設定しているとはいえ、他人の料理など、中に何を入れられているか分からない。もちろん、混入が認められた場合はそれなりの対処をする。だからその結果が分かるまでの間、ミントはドアノブを握ったまま先には進まなかった。

 ガチャリ。
 ミントはクミンからの結果を聞いてすぐ、ドアノブを回した。
 ゆっくり開けると、そこはバックヤードと思しき仕事用の様々な備品と椅子が設置されている場所。その椅子の一つに、二十歳前後の焦茶色の髪をした女性が座っていた。
 「おまたせ、カリンさん。ボタンの準備はできた?」
 ミントが優しく声をかけると、カリンと名を呼ばれた女性は「はい!」といい、椅子から立ち上がった。白いカーディガンにピンクのロングスカート。明らかにデートの格好である。
 その間、クミンは安全を確認した料理をタッパーから別の食器に移し替えていた。

 カリンが「よろしくお願いします」と挨拶をしながら、部屋を去る前にその様子をチラッと見て、内心「おいしそう」と目を輝かせていたのは言うまでもない。

(つづく)
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